＜その１＞
　 著者の増田氏の主張の中で、特にインパクトのある箇所を要約して御紹介しておこう。
◆ユーロ圏のGDPの世界経済に占めるシェアは1969年に36％だったのが、直近では26％〜27％となっている。 要するにヨーロッパ経済はユーロ圏ができてからどんどん落ち目になっている。
◆日本の輸出依存率は16.1％しかないのである。中国の半分、韓国の3分の1でしかない。
言い換えれば、円高の方が原油、材料、素材の輸入が安く行われるため、トータルではメリットが出る。
また、日本政策金融公庫が2010年10月末に実施した小企業対象のアンケート調査では、円高で事業に「マイナスの影響がある」と答えたのは、16.8％にすぎない。
◆中国が一番怖いのは、アメリカの核兵器でもなければ北朝鮮の暴発でもない。インフレなのだ。 インフレを極度に怖れている。
ごく最近でも物価高が政権を揺るがす火種となった例もチュニジア、エジプトと続出しているだけに頭を悩ませている。
◆世界経済史上、40年以上にわたり一貫して自国通貨が上昇し続けているのにもかかわらず、貿易黒字体質がビクともしなかったのは、古今東西、日本だけである。