<その1>
著者の小出先生の肩書は、京都大学の助教、つまり一時代前の助手である。国策である原発に異議を申し立てたため、出世できなかった大学人の1人である。
公害問題にしてもそうであるが、国家体制というものに盾を突くとクビにはならないが・・・。
著者はかつて原子力に夢を持ち、研究に足を踏み入れた人間であるが、その後その危険性知り、自分の考え方を180度変えている。
ここでひとつ疑問に思ったことは、原発とは専門家としてある程度研究してみないと危険だとは思わないものなのかということである。
原発イコール核兵器であるという認識が、唯一の被爆国である日本社会において、コンセンサスになっていないことが非常に恐ろしいことである。
以下、本書よりインパクトのある箇所を要約して、御紹介していきたい。
◆原子炉は今もきわめて危機的な状態にあります。それどころか、このままだとチェルノブイリを越える大事故に発展する可能性さえ十分あります。
それは毎日大量の水を注入しているにもかかわらず、原子炉が正常に冷却できていないからです。
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