中川尚の飛耳長目(税理士読書日記)TEL 東京・渋谷 03-3462-6595
山城新伍「現代・河原乞食考」(解放出版社) 2011年9月26日(月)
<その2> かつて阿部定事件というのがあった。 現在においても人々の意識の中に残っているこの事件は、1936年(昭和11年)つまり、 2・26事件が起こったのと同じ年だったのである。 その当時の言論機関は2・26事件が国家に対する軍部の反乱であったことを、重々承知していてその火を拡大させてはならない、 世間の人々の関心をどこかにそらさねばならないと考えた。 事実、2・26事件が起こった直後、戒厳令がしかれ、世相は不安と不満のムードで充満していた。 事件を起こした青年将校に共鳴する者もいて、軍部内での主導権を争って暗闘がくりひろげられていた。 そんな不安な空気の中で起こったのが5月の阿部定事件だったのである。 当時のマスコミはそれに飛びつき、単なる猟奇的スキャンダルを大々的に報道した。あえてすり替えた。」 山城氏は何年か前に亡くなったはずだが、本書を読み通してみると、本当に骨があり筋のある役者だったことがよくわかるのである。
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