<その5>
◆どんなに世界が平和になり、地球環境が守られていたとしても、
そこに暮している人々が豊かで安全な生活を送ることができなければ、その政治はやはり失敗なのである。
◆「アメリカの傘」があったおかげで、日本は外交も防衛のことも考えずに、
経済復興に全精力を集中できた。この時代の日本において、政治はいったい何をしてきたのか。
それは高度成長で生まれた富をどうやって公平に配分するかということに尽きた。
この「富の再配分」に戦後政治が終始した結果、日本は政治不在、
リーダー不在の国家になってしまった。
代わりに現われてきたのは、小泉首相のようなパフォーマンス政治家であり、
その行なっている「改革」とは結局のところ、内政においては強者の論理に
よる格差の拡大であり、外交においては、無批判な対米追従政治にすぎないことは今さら言うまでもないだろう。
◆日本では政権を取っても内閣に入れるメンバーはその数や実際の権力も限られているが、
イギリスでは政府に入って行政に携わる与党政治家の数は百数十人に達する。
権限を持った政治家が責任を持って行政に関わっていくことで、
イギリスでは官僚が「政治家もどき」になることを防いでいるわけである。
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