<その5>
◆「政治主導」という名の国民の声を代弁する動きは、官僚機構によって「ポピュリズム」として馬鹿にされる。
それは官僚機構にとって政策の実現のために費やすことができる「時間軸」が長いからである。
官僚機構は全く選挙を気にする必要がない。政治家より官僚が優位に立つのはそのためである。
◆前任者の路線を引き継ぐことになる昇進した官僚たちは、その与えられた「時間軸」をフルに利用し、入り替わりが激しい政治家たちを教育する側に回る。
民間部門での経験のない二世議員、頭デッカチのインテリ政治家が多いため、官僚主義に対する反論となり得る実利的なビジネス主義がない。
◆政治家にとって重要なのは、政策を練り上げるために、必要な「時間軸」と「世界観の衝突を調整する交渉力」である。鳩山政権は、自民党政権が何年もかけて沖縄・アメリカの利害調整を行った結果つくった普天間移設案の見通しを、わずか数ヶ月で行なうことを政権の主要課題としてしまった。これは時間軸の考え方からすればこれは間違いなく失敗する。
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