<その1>
著者の古賀氏は改革派官僚(現在は退職)として名を馳せた人物である。以下本書より参考となる主張のくだりを要約して御紹介しておきたい。
◆民間企業では課長ポストの重要度の位置付けは、経営者が決めることであって労働組合と交渉して決めるなどということは考えられない。しかし公務員の世界では、こういうおかしな仕組みがまかり通っている。
◆公務員の最大の特権は、よほどの悪事を働かない限りクビにならないどころか降格もないし、給与が下がらない点にある。この強力な身分保障は絶対に失いたくない既得権である。
◆普通、大臣に関する批判が出れば、マスコミは大臣に取材し裏を取る。それもやらずに一方的に記事をでっちあげて叩く。厚労省の役人と記者クラブがタッグを組んで、長妻追い落としに動いたのは明らかだろう。
◆財務省にとっても長妻氏は邪魔者だった。長妻には野党時代、社会保険庁の日本年金機構への移行を凍結し、社会保険庁と国税庁を統合させて「歳入庁」を設置すべきと主張していた。
財務省のスーパーパワーの隠れた源泉が国税庁の査察権である。実は国税庁は検察庁に勝るとも劣らない強力なツールなのである。よって、国税庁の完全切離しには財務省は絶対に受け入れられない。
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