<その1>
本書の帯には「現在は官僚にも電力会社のトップにも公(パブリック)の精神は失われている。凄まじい葛藤の歴史をたどり直すことによって、是非ともその精神を獲得して欲しい。それを願って私は本書を発表する。」と書かれている。
以下インパクトのある箇所を要約して御紹介していきたい。
◆国家の支配する領土や領海の外に公(パブリック)が存在するのであり、国家イコール公ではない。
◆大人物は常に大きく意地を通し、小人物はいつでもつまらぬ意地に躍起になる。
◆勲章を嫌った民間人といえば私はすぐに三人の名前が頭に思い浮かぶ。
真っ先に浮かぶのは、生涯 民の精神を説いた福沢諭吉である。福沢が官に対する民を徹底主張しその大事さを説いたのは、官僚国家というものがいかに国を腐敗させ災厄をもたらすかを見通していたからに他ならない。
次はその福沢の門下生で、戦前戦後の動乱期に電力の国家管理に抵抗した「電力の鬼」こと松永安左エ門である。
三人目は松永とともに今の九電体制を作り上げた木川田一隆である。
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