<その1>
サブタイトルが機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却となっているが、植草氏らしいなかなか読み応えのある本である。
以下インパクトのある箇所を要約して御紹介していきたい。
◆地方債を発行できる事業は限定されており、基本的には資金返済の裏付けが確かでないものには地方債発行が認められないような仕組みが取られている。したがってこの200兆円の地方債の残高については基本的に大きな懸念が生じる恐れが無いと言っても過言ではない。そうなると問題の対象は政府の借金である693兆円に限定されることになるが、これとて中味は一色ではない。
つまり251兆円の建設国債と391兆円の赤字国債に別れるが、そのうち建設国債は借金に見合った資産が存在しており、この借金は健全そのものなのである。
問題とすべき借金は赤字国債の391兆円である。なぜなら赤字国債は、1975年度以降日本経済の成長率が大幅に低下したことと連動して経常的経費についての借金を重ねてこざるを得なくなったことに基因しているからである。とは言え日本政府は有形固定資産185兆円以外の資産として510兆円程度を有しているため、赤字国債391兆円をもって財政危機と考えるのは誤りである。
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