<その4>
◆「決算書というものは1年分だけを見ても全く矛盾が無いように作られています。でも細工をしている決算書は数年分を比較してみれば、どこかに異常が出てくるものです。」
これに関しては全く異論が無い。経営分析、財務分析をやるにしても数年分見ないと分からないものである。情報にはある一時期の断面的情報と数年間に及ぶ傾向的情報がある。
つまり赤字でも売上が伸びてきている会社と、黒字でも売上が減少してきている会社の2つがあることをきちんと押さえておく必要がある。
◆「実は日本の企業の7割は赤字会社です。通常赤字会社が7割もあれば経済社会として成り立つはずがありません。でも経済が成り立っているということは「赤字会社7割」の中には「実質黒字の企業が多数含まれている。」ということなのです。」
この文章の後に法人税がかからないようにわざと赤字にしていると続くのである。いかにも元国税調査官といった発想である。私の意見は全く逆である。赤字会社の割合は実はもっと多いと思う。その会社の社長自身の給与を減らして、銀行対策のために黒字にしているのが実際である。
中小企業に関して言えば実算の赤字割合は9割を超えていると思う。その赤字を銀行からの多額の借入れによって支えているのである。銀行が中小企業への融資を行わないのは創業時から2年程度の間で、その後は貸し過ぎ状態になってしまうのである。
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