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 川本三郎「マイ・バック・ページ」(平凡社)
2012329日(木)

 

 

<その3>
◆ジャーナリストにとって取材対象者へのコミットメントはどの程度まで許されるのか。一般的に言えば深ければ深いほどいい。ただしそれは取材対象者が通常の市民の場合である。相手が犯罪者だったらどうするのか。指名手配を受けた過激派をインタビューすることはできるのか。 そのとき彼等に取材謝礼を払ったら逃走援助罪になるか。おそらくこのコミットメントの問題のルールは無い。その時の社会情勢、ジャーナリズムと警察権力の力関係、世論の動向によって決められる。

◆こちらは自分の危険を冒してまで「ジャーナリズムのモラル」の規則を守って新左翼の活動家Kのことを警察に「通報」しなかった。こちらは信義を守った。それなのに当のKの方は私のことを警察に話してしまっている。Kは自供の中で私を組織の仲間にしているということだった。組織の頂点には滝田修がいる。Kはその滝田の命令で事件を起こした、というストーリーがKによって作られ始めていた。 私は滝田とKとの間の連絡係という役割にさせられているということだった。おそらくKは逮捕されてから事件の大きさを知り自分の罪を軽くするために滝田や私に煽られて事件に突っ走ったというストーリーを作り上げたのだろう。Kが確固たる信念を持った活動家ではなかったことは明らかだった。


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