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 高木礼治「サービス付き高齢者向け住宅経営」
(幻冬舎メディアコンサルティング)
2012418日(水)

 

 

<その1>
老人ホーム等の高齢者の住まいに関する諸問題を国が社会保障としてやるのではなく、民間にできるものは民間にやってもらおうという考え方がある。 そのシンボリックな存在として注目を浴びてきたものが、タイトルのサービス付き高齢者住宅(以下略して「サ高住」という。)である。 特に昨年補助金の交付額が、 建築コストの約 10%に増額されたことにより、土地の有効活用(相続税対策)の一つとして話題になっている。 その背景には日本の人口減少に伴いアパート、マンションの賃貸経営の厳しさが考えられる。
昨年の夏「サ高住」のプロの開く勉強会に参加した。その時はあまりにも利回りが悪いのにガッカリして帰ってきたと記憶している。 今回昨年10月の大改正の内容を本書を通じて研究してみたが、やはり利回りが悪いことには変わりがなかった。(一般のアパート等よりも悪い)
特別のケースを除いては、土地有効活用として「サ高住」は使えないというのが私の結論である。 本書の帯には 「補助金交付・税制優遇で
30%の高利回りも可能」と書かれているが、ここで言う30%とは6年間の合計利回りである。利回りとは通常1年間の利回りを言うのは常識である。全くふざけた話である。
また本書で言う利回りはキャッシュフローで計算している。これも非常識である。利回りとは投下資本に対していくら収益が上がるかという話であって、キャッシュフロー云々の話ではない。
設例では借入金を35年間で返済することになっている。つまり1年間の返済額が押えられているため、最初の6年間の資金繰りが良いのは当たり前の話なのである。


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