渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

 

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 富山泰一「庶民増税によらない社会保障充実と震災復興への道」         (あけび書房)
2012426日(木)

 

 

<その2>
◆「日本の大企業の実際の法人税負担率は財界の主張よりはるかに低くその一例を出しますと、ソニー12.9%、住友化学が16.0%、パナソニック17.6%などとなります。 要するに法人税実効税率40%よりもかなり低い負担になっていますし、大企業の大半が採用している連結法人の場合、実質税率は10.5%と極端に低くなっています。」
実効税率よりも実質負担が大幅に低くなるのは日本の場合は研究開発減税や租税特別措置などの政策減税の額が大きいからである。 そのことは財界も百も承知で分かっていて、日本の法人税は高いと騒いでいるのである。財界は表面の税率を下げるよりも特別な減税措置を積極的に選択してきたという歴史がある。 また法人税を国際比較する場合、課税ベースと税率をセットで比較することが常識であるという著者の主張にも異論は無い。

◆「これまでの相続税の税率の推移を見ますと、1987年以前は最高税率75%(5億円超)、88年は70%(5億円超)、92年には70%(10億円超)、94年には70%(20億円超)、2003年には50%(3億円超)というように、高額財産所有者優遇を繰り返してきました。」
相続税という税制は富の再分配機能という目的のために存在しているが、このような高額財産所有者への少ない課税では再分配も格差拡大も解決しないことは著者の指摘する通りである。


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