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Long Run

2005年末、5ヶ月間の「Mozart!」を振り返っての吉野圭吾さんへのインタビューです。

※「Mozart!」大阪・東京公演についてはこちらです。

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-「Mozart!」名古屋・博多公演ですが、劇場の雰囲気はいかがでしたか?
圭吾:名古屋は客席が近くて面白かったです。ライブだー!って感じで。博多座は客席が高いところまであって、「ああ、大劇場だな」って思いました。
-「魔笛」のカーテンコールのシーンで「Mozart!」幕を降ろすところですが、以前は上を指し示すだけだったのが、名古屋からは、シカネーダーがひもを引っ張って降ろすようなパントマイムになりましたね。
圭吾:名古屋では「Mozart!」幕の降り方がゆっくりだったので、小池さんから、引っ張るような仕草を足して下さいって言われて。それでああいう感じになりました。名古屋公演が終わって、「これは博多座でも、あったほうがいいんじゃないか」と思って。俺からお願いして、そのまま続けました。
-名古屋では何度か、幕が引っかかってなかなか降りてこないことがありましたが。
圭吾:ああ、大変でしたね。照明器具と重なってて、引っかかっちゃうんだよね。
-引っかかっているのは下から見えるんですか?
圭吾:見える。引っかかる度にいろいろ学んでいきましたよ。「もしも降りて来なかったらどうする?」って。 最悪、スタッフの人がああいう時代な感じに着替えて、棒でつついてもいいかな、とか、それか俺が「ちょっと待ってろ!」って言って棒を持ってきて降ろそうかなって思って…その時代の「場末」の感じが出ていいかなと(笑)。
その間、チーム「魔笛」のメンバーには「応援してて!」って言ってました。で、横のパパゲーナには「一緒に引っ張って!」と(笑)。

-名古屋・博多と、日替わりネタに近い場面がいくつかありましたが。
圭吾:あれはもう、その場の雰囲気というか(笑)。
-登場シーンで階段に飛び移る時に「ジャンプ!」と叫ぶようになったのは…。
圭吾:博多座に行った最初の頃、ちょっと空気が硬い感じがしたので、あのシーンの本筋をはずさず、ちょっと「ほわん」とできる、くすっと笑える瞬間がないかなーと思って、やってみました。
-当初は、言葉を日々、変えていこうとは思っていなかったのでは。
圭吾:思いませんよ、うん(笑)。一回「ジャンプ」やったらみんなからいろいろな意見が出て。阿知波さんが「『ジャンプ』良かったねー!」って。 「…あたしは『跳躍』が好きかな。『跳躍』っていうのはどう?」って言われて。「ああ!それいいですねえ!あ、でも…今、やっちゃうのはもったいないなあ。」
-温めていたんですね。
圭吾:そう、あたためてました(笑)。最初に「ジャンプ」やった日から(アイデアは)あったから。KENTAROさんからは「『とぉー!』って言って欲しい」って言われたりもしました(笑)。「じゃんぷー」からあの「ぴょーん」になって、「ぴょんこー」とかやって(笑)。で、「跳躍」で締めた。「跳躍」やった時には阿知波さんに「…ありがとう!」って感謝されました(笑)。

-名乗りシーンでは、居酒屋の面々が「知らない?」の台詞を釣ろうといろんなことを言っていましたね。
圭吾:いろいろとね。あそこではいつも、一番でっかく声が聞こえて耳に入ったことを、おうむ返ししてるから。それも、その場の雰囲気なんです。 (名古屋千秋楽の)「エマヌエル・しらねーだー」も、偶然の産物ですからね。偶然「『知らねぇ』だぁ?!」って言ったことがあったんだけど、そこで高橋由美子ちゃんが、 「知らねぇだぁ?!って、あれ冗談でしょ?シカネーダー、しらねーだー」って。言われて初めて「そうか!」と(笑)。そんなふうに冗談言いながら、生まれたものです。
-大楽の名乗りシーンでは、東京の千秋楽のように何かが起こるのではないか、という緊張がありましたが。
圭吾:行ってみないとどうなるかはわからなかったから、ドキドキしてました。毎回、千秋楽は「行ってみないと」でしたね(笑)。
-「友だち甲斐」でもいろいろなことがありましたね。
圭吾:お金をキャッチした(井上)ヴォルフがゴロゴロきて、俺がその上跳び越した時は面白かったよね(笑)。あれは最高に面白かった。…全部ああいうものにしたかった(笑)。
-千秋楽では「いくらなんでも酔いすぎだ!」と言われていましたが。
圭吾:「酔いすぎだ!」って言われたとこで(ぐでんぐでんな調子で)「…酔ってねェよォ!」…って言いたかった(笑)。でも、すぐにヴォルフの台詞だったから、思いとどまっちゃいました。

-公演を通して、特に印象に残っているエピソードはありますか?
圭吾:一番衝撃的だったのは…博多座の終わりぐらいのことなんだけど。 最後の場面でナンネールが、死んだモーツァルトの傍に行って、箱を見るじゃない。一回ガクって崩れたあと、箱が目に入って近寄ろうとした瞬間に、ピアノの上にあった譜面がバラバラバラバラッ!て落ちたんだよ。それも見事に、ちゃんとあの、引きワクの上に。外にこぼれないで、横からバラバラ落ちてちゃんとピアノの下に入ったの。…あれが一番衝撃的だったね。「ああ…何かが降りた!」と(笑)。
(下手の)袖でスタンバイしてて、そこから見えたんだけど、 箱を見つめたナンネールが、ちょっと寄ろうとした瞬間にバラバラバラ!と。…あれは「キター!」って感じでした(笑)。

-大楽のカーテンコールで、シカネーダーがターンして挨拶したときに、続くウェーバー夫人とアルコ伯爵もターンを決めていたのは良かったですね。
圭吾:すごいね。感動したよ。「おお!回ったよ!」と思って。すばらしいよ…なんの打ち合わせもなかったのに、花王さんがパッ!と来たからね。 すごいチームワークだ!
-シカネーダーからは挨拶は特になかったですが、もし挨拶するとしたら何と言ったと思いますか?
圭吾:そうだなあ。「幸せです」と。「Mozart!」の作品に出会えたことも、シカネーダーという役をやれたことも本当に、幸せです。観てくださってありがとうございました。…そんな感じかな。

-最後に「Mozart!」5ヶ月を振り返ってのご感想を。
圭吾:みんな、無事に完走できてホントよかった。…それに尽きます。ホントに、これだけ長く、休みなく、やるっていうのは大変なことだね!
でも、9月に間が一ヶ月空いて、「Toy Box」をやれたのはホント良かったね。気分転換できたし、また「ライブな感覚」っていうのをすごく取り戻した感じがしました。それを持ってまた、二ヶ月できたことっていうのがすごく助かったね。「Toy Box」やったおかげで、また、生まれ変わった感じでやれたから。

-「屋根の上のヴァイオリン弾き」について。あらためて出会ったパーチックの印象はいかがでしょうか?
圭吾:うん。…変なやつだね(笑)。演出家いわく「知的なパーチックを見たい」と。今回は熱いだけではなく、そういう部分もしっかり出したいと思ってます。
-今回、大事にしていきたいことは?
圭吾:ホーデルとの愛を、しっかりはぐくんで行きたいです。愛がないと彼女も、シベリアに旅立てないからね。そこはしっかりしないと…テヴィエとホーデルの駅でのお別れのシーンも、そこに愛があれば、また違ってくるじゃない。親子の愛と、結婚相手との愛と。それがないと、やっぱりあの駅のシーンが、グッと来ないじゃない? 「えー、あんな人のとこ行くの?」みたいなことになっちゃあ偉いことだからね(笑)。そうならないように。
あと、今回は「似たもの同士」っていうことをすごく強調していくっていうか、大事にしていきたいと思うんだ。 「あ、ぴったりじゃん」って思ってもらえる二人になりたい。「時代を変えたい」っていう熱い思いを秘めて、それをしっかり持った上でホーデルと出逢い、出逢ったことによって僕はもうひとつ上に行ける!と。もうひとつ上にちゃんと生きる、もう怖いものはない、これで僕は、自分の信じてた道っていうものに迷いもなく向かっていける、と。…そういうことなんだと思います。

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