Current News 10 Nov,1999
AOYAMA AVENUE 「ワルツが聞こえる?」
直前インタビュー

「ラ・カージュ」閉幕から2ヶ月。あっという間に11月になってしまいました。ブロードウェイ・ミュージカル「ワルツが聞こえる?」について、吉野圭吾さんにお話を伺いました。

☆ご注意☆
物語の内容についての話題を含みます。
これからご覧になる方で、先にストーリーやラストを知るのを避けたい方は、観劇後にじっくりお読み下さい。

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−「ワルツが聞こえる?」ってどんなお話でしょうか?
圭吾:大浦みずきさんがやる「リオーナ」っていう人が主人公なんですけど、リオーナはアメリカで育って、アメリカの人生観ていうか、自分で生きて来た中での人生観を持っている。そのリオーナが、ヴェニスに、初めて「旅行」というものに行くんです。 そこで、草刈さんの役であるディ・ロッシという人に会って、まるで人生観が違う者同士が、恋に落ちるわけですね。
がしかし、リオーナのほうは、その、自分が今まで生きてきた人生観を、やはり捨てられないというか、最後までひきずってしまう。結局そこにはもう付き合ってられないということで、ディ・ロッシはサヨナラを言ってしまうんです。
でも…きっと、このお話が終わってからのリオーナのことがテーマなんじゃないかなと。「ワルツが聞こえる?」っていう、このお話が終わってからの、リオーナの心の持ちかたというか、…生き方が、楽しみだな。と、いうところで終わるような感じがします。
−彼女の心の中で、何かが変わる感じ。
圭吾:そうだね。やっぱり、ここは観てもらうとわかると思うんですけど、なんかこう、陰にこもっているリオーナっていうか…自分のことで精一杯なリオーナが、自分の心を、もしかして、開けるのかな。このお話が終わると開けるのかな、 その心の扉を、ディ・ロッシがノックしたんじゃないかな…と。その、ノックするところで……TO BE CONTINUED(笑)。
そんな感じで終わるようです。だから、きっとみんなが観てそして、考えるような話なんじゃないかな。自分を振り返るっていうか。 「ああ良かった、めでたしめでたし」っていう作品じゃないと思う。 それよりも、「あなたはどうなの?」って訴えかけてるような作品のような気がする。
いろんな風に取れる作品だと思う。 それは、その人がその人なりに感じてくれればいいと思うし。
切なくて、でもなんかあったかくて、…ええ作品やな(笑)。

−イタリア語で話す場面はありますか?
圭吾:うん、いくつか覚えたよ。 ウェイターのところかな、しゃべるのは。ゴンドリアは「ゴンドーラ」しか言わないから(笑)。シニョリーナ スクーズィ,マ オラ ド ベアモ キュデッレ…とか言って。「お嬢さん、ちょっといいですか?そろそろ閉店のお時間なんです」っていう意味なんです。いちおう、イタリア人になりきって(笑)。
けっこうイタリア語が多いから、ちょっと「ん?」て困る人もいるかも知れない。まあそこはニュアンスで、聞き流していただければいいんじゃないでしょうか(笑)。
−ワルツは踊りますか?
圭吾:うん。大浦さんのお相手で踊る。…「チェ・タンゴ」ふたたび!って感じだね!
…あんなには踊らないけど(笑)。
−栗東のガラ・コンサートでも、燕尾服で踊る場面がありましたね。
圭吾:楽しかったよ。大浦さんと踊るの面白い。面白いっていうか、気持ちいい。

−チラシの「ダンスキャプテン」の意味については何度も聞かれたのでは?
圭吾:うん(笑)。キャストの中でも不明だから、稽古場打ち上げの時「ワルツを踊ってるとこがダンスキャプテンです」って言っといた(笑)。
「そしてみなさん、『ダンスキャプテン』て呼ばないように。みなさんのキャプテンじゃありません…みなさんの踊りをまとめるダンスキャプテンじゃありません。役名です!」
−(笑)なにかのキャプテンの役ということで。
圭吾:ほら、船長だから。ゴンドラ乗りの船長(笑)。

−作詞と脚本を手がけたのは「ウェストサイド・ストーリー」を作った人たちなんだそうですね。
圭吾:演出家が言ってたけど、「サウンド・オブ・ミュージック」とかそういう時代から、今のブロードウェイミュージカルに変わっていく、ちょうど中間の頃に作られたんだって。その頃にしてはけっこう、新しい風が吹いてきてるミュージカルらしいよ。その時代にとってはね。それ以前の流れからはちょっと異色な、新しいコンセプトでできたミュージカルらしい。
−お話のどんなところが面白いと感じましたか?
圭吾:観終わった時が一番いい感じだと思うんだ。
こう、スーっと流れる感じなんだよ。ゴンドラに乗ってはじめから終わりまで、スーっと行くような感じ。その間になにかいろいろな出来事が起きて。で…なんて言うのかなあ、そのゴンドラは岸にはたどり着かずに、海へ出るような。そんな感じのお話だと思う。
ひとつひとつの場面がいいとか悪いとかじゃなくて、全体的な感じだと思うんだよ。はじめから終わりまで観て、「ああ…」って酔える。

いよいよ来週から東京公演がスタートする「ワルツが聞こえる?」。
舞台の上の美しいヴェニスでリオーナを迎えるゴンドリアを、みなさんはもうご覧になりましたか?
圭吾ファンにとっては1999年を締めくくるこのミュージカル、ご感想を心からお待ちしております(^^)。
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