書名:地球温暖化は止まらない・・・地球は1500年の気候周期を物語る
著者:S・フレッド・シンガー、デニス・T・エイヴァリー
訳者:山形浩生・守岡桜
出版社:東洋経済新聞社
発行年月日:2008.3.13
価格:2400円+税
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地球温暖化をめぐる議論は多種多様だけれど、大きくは次の三流派にわかれる。
1.地球温暖化は確実に起こっていて、人間によるもので、いますぐ二酸化炭素排出を止めいないととんでもないことになる。
2.温暖化はしているし、人間のせいだけれど、そんなに大騒ぎするほどのことはないので対策もゆっくり考えればいい。どのみち二酸化炭素排出はすぐに止められないし。
3.温暖化はしているが、人間による部分はそんなに大きくない(未知の部分があまりにも多い)から性急に対応はやめるべき
まったく議論の余地のない事実
1.地球の気候の仕組みは未知の部分が多いこと
2.コンピューターのモデルは怪しいこと
20年後の日本のGNPや株価でさえ、予測できる人はいない。ましてもっと複雑で未解明の気候モデルとなると100年後の予測が出来る?
3.人間がいなくても気候は変わってきたこと。
地球の気候は人間の出す二酸化炭素がなくても、今の温暖化など問題にならないくらいの大変動を遂げてきた。
最近でも中世の温暖期や小氷河期が、人間の営みとは全く関係なしに起こっている。
(本書本文より)
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この本は「温暖化はしているが、人間による部分はそんなに大きくない(未知の部分があまりにも多い)から性急に対応はやめるべき」という立場で書かれている。気候の周期が1500年±500年で変動しているという説を根拠に現在の温暖化現象を説明している。またその要因として太陽の活動がかなりの部分をしめる。また二酸化炭素より。水蒸気、雲の影響が考えられる。ただし未知な部分が多いとも。
最近の気候
紀元前600年-前200年 ローマ温暖期に先立つ名前のない寒冷期
前200年-紀元600年 ローマ温暖期
900-1300年 暗黒時代寒冷期
1300-1850年 小氷河期
1850-1940年 温暖化 1920-1940年
1940-1975年 寒冷化傾向
1976-1978年 急激な温暖化
1979-現在
現在の温暖化よりもローマ温暖期、1940年頃温暖期の方が気温が高かったという事実。また二酸化炭素の量は過去の温暖化の寒冷化時代の方が現在よりも数倍から8倍ほど多かったという事実。などを世界各地の古文書、気候の記録、グリーンランドの氷(氷柱・・25万年前まで)の解析、海岸線の退化の跡の解析などの研究成果とICPPの報告、人間のせいだと言っている論文などを並べながら説明している。参照した論文数も数百にのぼる。なかなこの力作ですが、読むにはちょっと大変な本です。この本で言いたいことは温暖化は悪いことではない、寒冷化に比べればずっと人間にとって過ごしやすいこと。京都議定書を真面目に守ろうとする国はいない。また目標を達成できるとも思っていない。削減証明書を買う(たぶんロシアから=効率の悪い設備を1990年には使っていた。もう改善済み)ことで解決出来る(お金で解決出来る)と思っている国が多い。 ただ温暖化の時期でも干ばつ、洪水等は起こるのでその対策は考えておかないといけない。
また、風力発電、太陽電池については化石燃料の代替えにはなり得ない(断定)と述べている。そんなものに金を使うのであれば今飢えている人に使った方が良いと。 あんまり深刻に考えなくえも言いというのが結論です。