書名:大阪シンフォニー
著者:小田実
発行所:中央公論社
発行年月日:1997/3/7
ページ:419頁
定価:2500 円+税
終戦直後の大阪鶴橋付近の焼け野原を舞台に少年、少女が闇市を自分で作ろうと立ち上がるというストーリー。1945年8月12日に敗戦が決まっていた。でも14日は大阪大空襲大勢の犠牲者が出た。その空襲には米軍のビラも一緒に落ちてきた。それは日本の敗戦を知らせるビラ。最後の空襲となった。その翌日には天皇陛下の放送で終戦をしった人びと、そんななか14日の空襲で親を失った少年もいた。孤児になった少年達がMPの物資を元に闇市で金を稼ぎながら、自分たちの闇市を作ろうと動き出す。のんびりとした筆で、じっくりと心にしみてくるような文体、ちょっと変わった本です。現在のせわしない世の中に一つの清涼剤を与えてくれるような気がする。どんな不幸にあってもめげずに生きようとして少年達の生命力、活力にビックリさせられる。