書名:絹の筵旗
爆裂・正義なき上州一揆
著者:高橋 直樹
発行所:祥伝社
発行年月日:1999/7/20
ページ:386頁
定価:1900円+税
江戸時代中期(田沼意次時代)の上州(藤岡、富岡、下仁田街道沿い、高崎)では生糸の生産が盛んで、藤岡は絹市場おかれたところ。江戸の豪商の買い付け先として、急速な発展を遂げている街だった。好調な景気に浮かれる藤岡で、ある在郷商人の提案による絹糸改会所の設置が幕府より命じられた。財政難に苦しむ幕府の運上金の取り立てを行う手段と見えた会所。しかしそこには裏があった。絹市場を独占する絹宿衆(江戸豪商)とその利権を狙う在郷商人の対立の構図。この改会所を撤廃に追い込むべく、絹宿衆、在郷商人、博徒、やくざが絹生産百姓を巻き込んで、みんな別のゴールをめざし、数万にふくれあがった一揆勢。
上州は何故か、博徒、やくざの多い地。そこには幕府の統治の仕方にあったのでは。大名の支配地は少なく、旗本などが支配する小さな支配地、幕府の直轄地などが入り交じった地域。そのため国境を越えると逃げることができる悪党にとっては良いところ。そんな地を背景にこの一揆事件に博徒が活躍する。今までの一揆とはちょっと違った一揆感です。