書名:おそろしい放射能の空の下
著者:佐々木ヤス子
発行:平成23年10月
自費出版 非売品
この本は浪江町津島に住んでいた。佐々木ヤス子さん(昭和3年生まれ83歳)が東日本大震災の記憶を忘れないために自分の経験を綴った小冊子です。地震発生2011年3月11日午後2時46分、そのとき富岡町の姪の家に行く途中の常磐道で地震にあう。(2011.3.11 246)
揺れ動く大地、道路も揺れる。即自宅に戻ることを決意して壊れていない道路を辿りながら必死に自宅を目出す、漸く自宅に戻って一晩、その次の朝には福島第一原子力発電所の水素爆発で、避難と慌ただしい避難を5回重ねて桑折町に落ち着くまでの様子を綴っている。そこには淡々と非常に落ち着いて語っているが、そこには辛さ、無念さ、やるせない気持ちが、文章の端々に滲んでいる。
避難当初の寒さ、毛布何人かで共有、トイレ問題、冷たいおにぎりなどなど83歳の人生で一度も経験したことがない惨めで無残な出来事。仮設住宅での生活などを切々と語っている。仮設住宅で自分の自宅の模型を作って、自宅に戻る。仮設で死んではならない。必ず戻ると誓っていたが、自宅に戻ることなく亡くなってしまった。
長年住み慣れた浪江を追われ、原発避難民としてあちこちの避難所をまわり、83歳にしてこの理不尽な辛い避難生活を強いられてきた著者の叫びが聞こえてくる心打つ本です。毎日平凡に平和に住んでいた地、家、コミュニティが突然破壊されて環境激変した人々があの日から6年立っても8万以上いる現実を真っ直ぐ見つめて生きたいものです。是非読んで欲しい本です。
(本書より)
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「完璧という名の不完全な除染地の戻ってみても、人間は生きられるだろうか。手ぬぐいの頬被りと同じく、こちらを隠せばそちらが出てくる。除染しても集めた箇所からまたボヤボヤと放射能が漏れ出すようではどうしょうもない」
「嘘・偽りのない透明な情報を国民に提供してくださることを切望する」
「律儀でまじめな日本人だからこそ、お迎えのくる日を借り上げ住宅や仮設住宅で我慢して待っているのである。そして人災なるが故に、恐ろしいから動けないのでる。」
大震災以後「がんばれ福島、がんばれ東北」と書かれているのを見ることが多い。しかし私はどのように頑張ればいいのか、これ以上何を頑張るのか、分からない。教えて下さい。そうしたいいですか。