書名:私本太平記
著者:吉川 英治
発行所:講談社
発行年月日:1990年2月11日
青空文庫
定価:99円(アマゾンKindle本 13巻一括)
『私本太平記 01 あしかが帖』
『私本太平記 02 婆娑羅帖』
『私本太平記 03 みなかみ帖』
『私本太平記 04 帝獄帖』
『私本太平記 05 世の辻の帖』
『私本太平記 06 八荒帖』
『私本太平記 07 千早帖』
『私本太平記 08 新田帖』
『私本太平記 09 建武らくがき帖』
『私本太平記 10 風花帖』
『私本太平記 11 筑紫帖』
『私本太平記 12 湊川帖』
『私本太平記 13 黒白帖』
『私本太平記』(しほんたいへいき)は、吉川英治晩年(なくなる間際まで書いていた)の歴史小説。1958年(昭和33年)1月から『毎日新聞』に連載された。『新・平家物語』に続く大作の長編小説である。初版単行本は毎日新聞社から刊行された。現行は吉川英治歴史時代文庫(全8巻の講談社文庫版)の他、インターネットサイト青空文庫では無料で読める。
室町時代に成立し、鎌倉幕府滅亡から南北朝時代を描く軍記物語で、近世以降の文学にも影響を与えた『太平記』を題材にしている。明治以降天皇に背いた大悪人足利尊氏(高氏)と南朝(後醍醐天皇)の忠臣として大いに持ち上げられた楠正成。その戦前のタブーだった日本の南北朝時代を足利尊氏(高氏)を主役に、今までとは違った解釈で尊氏を描いている。また楠木正成も忠臣というより、自らの身内(河内の民)思いの温厚な苦悩に満ちた人と描かれている。吉川文学の一つの楽しみは作中に登場する女人、この『私本太平記』ではヒロインに藤夜叉を登場させ、乱世に生きた女性の悲劇を背負わせている。
尊氏の若き日から鎌倉幕府の倒壊、建武の新政から南北朝の分立を経て湊川の戦いがクライマックスとなる。その後は自らの死の予感からか話が急激に進んでいる。ちょっと走りすぎる感がある。戦中の皇国史観に、新たな皇室像、そして足利尊氏の再評価によって戦後の見方が変わったひとつのきっかけを作った作品だと思う。故郷亀岡の源氏の荘園篠村、篠村八幡宮での旗挙げなど足利尊氏のゆかりの場所がいろいろ出てくるので興味を持って読んだ。応仁の乱に続く室町時代の始まり、全国支配の仕組み、武士の組織化、統治などなど興味を持って読んだ。首都を京都にして、鎌倉との関係など。そして鎌倉はこの足利尊氏時代から、政治の中心から300年外れていた年月があった。だから鎌倉には当時のものはほとんど残っていないこともよくわかる。
Kindle本で13巻、読むのは結構大変でした。本13冊は1冊ずつ読む楽しさはその読んでいく経過が見えるのですが、電子本ではなんとなく実感がちょっと乏しい感じもしないでもないですね。
今、山本周五郎の「樅の木は残った」を青空文庫(読み上げ)で聞いていますが、なかなか面白い。でみ集中しないと中身について行けないところもあります。