茅原実里
Minori Chihara Live Tour 2010
〜 Sing All Love 〜







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 2回目のMCはバンド紹介だった。
 まずは、昨年末のカウントダウンライブから茅原バンドに加わっているギタリストの ダイちゃんこと、加藤大祐さんからである。加藤大祐さんは先日、復活を宣言したΛuciferのメンバーでもあるテクニカルなギタリスト。ライヴでは赤のNilと濃紺のPaul Reed Smithのギター使用し、メタル的アプローチを施していたが、挨拶では5階席の高さに驚愕していたのが印象的であった。二人目は大先生室屋室屋光一郎さん。彼も昨年のツアーから帯同している名物メンバーである。それだけに観客からの人気が高く、客席から「大先生」という掛け声があちこちから飛んでいた。
 それから茅原バンド不動のメンバー三人の紹介へと移った。ベースのなおやん(山本直哉)、 ドラムのガンちゃん岩田康彦)、バンマス&キーボードのケニー(須藤賢一)の順で一言ずつ自己紹介。ガンちゃんは、昨年の公演で幼少の頃、名古屋の北区、志賀住宅 という処に住んでいた事を挨拶代わりに告白したことで大変、驚かされたが今回もその 名古屋ネタ。どうやら、今後も常用される鉄板ネタであるようだった。
バンマスのケニーは、リハーサルでの茅原さんの出で立ち「栃木のヤンキー」と 称して笑いを誘っていた。(スウェットに100円のサンダルだったから−というのが その理由だった)
 最後はもちろん、茅原さんである。今年前半に公開され、茅原さんの人生を大きく変えたキャラクター、長門有希が活躍する「涼宮ハルヒの消失」について想いをせつせつと語り、それは次曲のイントロ代わりともなった。
 「涼宮ハルヒの消失」のエンディングテーマとなった「優しい忘却」は、長門有希 の心情を表したような歌詞が全編を覆い、私もこれを劇場で聞いた時(然もアカペラバージョン)は有希の存在のせつなさに心打たれたが、茅原さんの歌唱は正に長門有希が乗り移ったかのように魂が込められたものだった。
 8曲目の「純白サンクチュアリィ」は昨年、茅原さんが涙でほとんど唄えず、我々、観客が大合唱で補完した曲だっただけに非常に思い出深い。もちろん、今回はそんなアクシデントはなく、観客の「Hi ! Hi !」の掛け声をバックに茅原さんは笑顔で唄いきった。
 「純白サンクチュアリィ」の後、煌びやかなスポットライトが消え、茅原さんがステージを 捌けると同時に、バンドだけで演奏が始まった。茅原さんのライヴでは恒例の「Interlude」 − バンド・セッションタイムである。
 毎回、趣向の凝った演奏で茅原さん不在の時間を楽しませてくれたが、今回もケニーを中心としたメンバーはそれぞれのソロタイムを挟みながら我々を一時も飽きさせなかった。昨年から大先生のヴァイオリンがバンドに加わった事もこの「Interlude」を魅力的にさせた一つだが、ここではガンちゃんの ドラムソロが白眉。
 サイリュウムのように光るスティックを使い、何度も空中に飛ばしながらそれを器用 にキャッチしてスネアを叩き続けるアクロバティックな演奏は久々に興奮させられた。魅せるという事をよく考えられたドラムソロであった。
リハーサル時の映像が公開 されているので参照してみるとその雰囲気が掴めるかもしれない。)
 ダイちゃんのギターが轟音を響かせ始まった「孤独の結晶」のイントロでステージ に復帰した茅原さんは、「Sing All Love」のイメージカラーという紫の衣装に身を包んでいた。
 やもすればダークな世界観も漂う「孤独の結晶」から10曲目「雨音のベール」 は打ってかわり昭和歌謡の薫りさえする楽曲。茅原さんにとってこのようなタイプの曲は新たな挑戦だったと思うが、彼女の唄声に不安定さは全くなかった。
 フォルクローレな曲調が印象的な「サクラピアス」はタイトルを象徴してか、客席が ピンク-赤色のサイリュウムで染まった。綺麗。
 12曲目「PRECIOUS ONE」。思えば、この曲の発表、初披露は昨年のFCバースデイイベントの時であった。私もその場に居た一人だが、PV披露の後にまさかの生歌披露で驚いた事が今でも思い出される。この曲を聴きながら、この曲の幻想的なPVが脳裏に蘇ってきたのだった。
 しっとりと、優美な唄声で観客を酔わせた茅原さんが再び、マイクを持って客席に語りかけた。
 このMCでは今冬の地元キャンペーン時に食べた名古屋名物の「ひつまぶし」に絡ませ、給料が出ると、必ず鰻を食べる事(1ヶ月頑張った事の自分へのご褒美として) や、天むすや、大好きな海老の話など定番の食べ物ネタでひとしきり盛り上がったのだった。
 「ガンちゃん カモーン」という茅原さんの掛け声でマーチのリズムを刻むドラムの連打が 会場に響き渡れば、もう次の曲が何であるか、ファンならばすぐ判る筈だった。
 「Lush march!! 」
やや長めのドラミングの間に、茅原さんはステージ袖に引っ込み、再び衣装を着替えた。
今度も紫の、ショートパンツ姿。おそらく重ね着していたドレスを脱いだのだろう。
 そして「Lush march!! 」と言えば、である。
昨年は”深刻な旗不足”の為に私はサイリュウムで代用したが、あの疎外感は半端ないものであった。それだけに今回はあの時のリヴェンジをと誓っていた。
 物販で無事に旗を入手出来た時からこの瞬間を心待ちにしていたが、やはり茅原さんの歌と振りに合わせ、旗を振るこの一体感は素晴らしい
 1年越しのリヴェンジを果たせた事に私は心地良い満足感を感じていた。
 






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