桜花賞

(2000年4月9日 阪神競馬場 芝1,600m)

 

(ごくごくかんたんなレースの説明)

 春GTの本格的到来を告げる桜花賞。クラシック・レースの第1弾であり、「オークス」「秋華賞」へと続く「牝馬3冠」への第1関門でもある。イギリスの牝馬クラシック「1000ギニー」をもとにして作られたこのレースは、1939年に中山競馬場で距離1,800mで初めて開催された「中山四歳牝馬特別」が前身。その第1回の優勝馬はソールレデイ(騎手:石毛彦次郎)。
 1947年の第7回から、京都競馬場に開催地が移り、同時に距離も1,600mへと短縮された。「桜花賞」という名称が使われるようになったのもこの年から。その後、1950年に舞台は阪神競馬場に移り、今日に至っている。
 もともと「魔の桜花賞ペース」という言葉で語られたように超ハイペースになることが多く、「スピード優先」のレースであると言われていた。しかし、阪神競馬場の改修に伴い、現在では「スピード・パワー兼備」の馬が勝つというようにレースの性格が変化してきている。前半3ハロンのペースが早く、ラスト3ハロンは前半より2〜3秒遅くなるのが常である。というと「差し・追い込み有利」かと思われがちだが、当日の阪神競馬場はAコース使用のため、内の馬場のいいところを選んで走れる逃げ・先行馬がそのまま残るパターンも少なくない。
 また、阪神1,600mコースは、悪名高き「大外不利」のコースとして知られていて、枠順も勝敗の重要なファクターとなっている。しかし、97年キョウエイマーチ(騎手:松永幹夫)のように18番枠の不利をものともせずに勝利を収めている馬もいる(95年のワンダーパヒューム(騎手:田原成貴)も18番枠で勝利を収めているが、その年は阪神大震災の影響で京都競馬場での開催だった)。昨年も、2着のフサイチエアデールは8枠17番だった。その他にも、95年ダンスパートナー、97年メジロドーベルも8枠で2着に入っている。最近では必ずしも「大外不利」とは言い切れない状況になってきているのではないだろうか。ただ、大外8枠で連対を果たした馬はいずれも3番人気以内の馬であり、大外8枠のハンディを乗り越えるにはそれなりの実力、人気を伴った馬でなくてはならないという言い方もできるだろう。
 昨年は、プリモディーネが直線鋭く伸び脚を見せて勝利。休み明けだった前走チューリップ賞こそ4着に終わったものの、叩かれて馬が一変、「桜の女王」の栄冠を勝ち取った。鞍上の福永祐一は悲願のGT初制覇。彼の父親である福永洋一も1977年インターグロリア、78年オヤマテスコでこのレースを2勝しており、父子2代制覇となった。これは武邦彦(74年タカエノカオリ)−豊(89年シャダイカグラ、93年ベガ、94年オグリローマン、98年ファレノプシス)父子に次ぐもの。
 騎手別に見ると、4勝をあげている騎手がトップ。河内洋、田原成貴(現・調教師)、武豊の3人。なかでも、武豊はここ10年で5連対を果たしており、「平成の桜花賞男」の名を欲しいままにしている。一方、1番人気馬は4勝。圧倒的な1番人気が予想されるサイコーキララはどうなるのか?

(過去10年間の勝ち馬)

年度 優 勝 馬 性別・
年齢
重量 騎 手 人気 タイム 馬場
状態
1990 アグネスフローラ 牝4 55 河内洋 1.37.1
1991 シスタートウショウ 牝4 55 角田晃一 1.33.8 稍重
1992 ニシノフラワー 牝4 55 河内洋 1.37.5
1993 ベガ 牝4 55 武豊 1.37.2
1994 オグリローマン 牝4 55 武豊 1.36.4
1995 ワンダーパヒューム 牝4 55 田原成貴 1.34.4 稍重
1996 ファイトガリバー 牝4 55 田原成貴 10 1.34.4
1997 キョウエイマーチ 牝4 55 松永幹夫 1.36.9 不良
1998 ファレノプシス 牝4 55 武豊 1.34.0
1999 プリモディーネ 牝4 55 福永祐一 1.35.5

    

(Ryuの予想)

   ◎ 13.サイコーキララ
   ○ 5.レディミューズ
   ▲ 4.シルクプリマドンナ
   △ 8.チアズグレイス
   △ 17.フューチャサンデー
   △ 16.エアトゥーレ

 今回の予想をするに当たって、過去の専門誌を引っ張り出して、レース結果、そのときの騎手のコメント、馬の状態を詳細に分析しました。今までの僕にはないくらいにみっちりと。これで外れたら「笑いたければ笑うがいいさ(byスケバン刑事)」って感じなんですけど…。では、いってみましょう。
 まず、最初に検討したのが、「サイコーキララは本当に磐石か?」という点なんですが…結論としては「現時点では、このウマを逆転できる存在はほとんどなし」という結論に至りました。エルフィンステークス、4歳牝馬特別、ともに好位につけて直線力強く抜け出すという、文句のつけようのない内容でした。堂々と◎を打って大丈夫でしょう。出遅れないかとか、行きたがらないかとか、4コーナーでうまく持ち出せるかという不安もなくはないのですが…まあなんとかなるでしょう。あとは石山騎手に任せましょう。
 ○はレディミューズに打ちました。現時点でサイコーキララを逆転できる余地がありそうなのは、僕はこのウマだけだと思います。道悪の前走チューリップ賞で1番いい脚を使っていたのがこのウマでした。良馬場ならさらに…。マイル戦線を中心に活躍した名牝シンコウラブリイの娘とあって、1,600mという距離もバッチリ。岡部さんに悲願の桜花賞をプレゼントしてやれたらドラマでしょう。ま、そんな心情的な面をさておいても、サイコーキララとは初顔合わせだし、何があっても変じゃない、そんな時代さ、覚悟はできてる…というわけで、このウマもツートップのアタマにしたいと思います。ただし、あくまで本線はサイコーキララなので、額は抑えますが。
 ▲はシルクプリマドンナ。4頭出しの山内研二厩舎のエース格です。このウマ、なんといっても2枠4番という枠順が絶好です。仮柵が取れて馬場のいい内側のグリーンベルトを悠々と進むことができるとあっては、もしかしたらサイコーキララを抑え切ることができるかもしれません。少なくとも、4歳牝馬特別のときよりは差が縮まると思います。狙える1頭です。
 続く△、同じく山内厩舎のチアズグレイスを抜擢します。道悪に泣いた前走のチューリップ賞10着は度外視。良馬場なら買えるでしょう。何より、調教での走りっぷりが絶好でした。状態はいいと言っていいでしょう。ただ、紅梅ステークス、エルフィンステークス、と、後ろからの競馬でも前から行ってもサイコーキララにかなわなかったところをみると…サイコーキララとの勝負づけは済んでしまったのかもしれないという疑惑もありますけど…。
 その他の押さえとして、人気になっている8枠の2頭、フューチャサンデーとエアトゥーレ。この2頭、切ろうかとも思ったけど、切るにはしのびないんですよね。まずフューチャサンデー。いや、このテのウマはサックリ消えてしまうことも多いんですよ。初遠征でのイレ込みも心配ですし。一方のエアトゥーレ。素質馬だとは思うけど、そこまで人気になるウマかなあ…という気がします。4歳牝馬特別のときにも「…案外だなあ」と思った覚えがあるし。このウマがコワい最大の要因を挙げるなら「鞍上:武豊」に他なりません。正直言って。一応、ほんのちょこっとなんだけど((C)プッチモニ)(←2回続けて同じネタ使うなよ)押さえておきます。
 気になりつつ切ったウマは…マヤノメイビーとジョーディシラオキ。まずマヤノメイビー。2/6の抽選をクリアした強運にまず祝福を贈りましょう。で、陣営は「ブランクあるが能力高い馬だから」と言っていますが、僕に言わせると逆です。「能力高いのは確かだけど、ブランク長いから…」。確かに阪神3歳牝馬ステークスは「負けてなお…」という内容だったけど、それ以来でしょ? そこから鉄砲で駆けたウマなんて聞いたことないよ。スティンガーでもダメだったんだし。今回は見送ります。オークスに出てきたら考えますけど。そして、ジョーディシラオキ。前走は決して道悪が幸いしたフロック勝ちではないと思いますよ。先行して馬場のいいところをいける脚質も強みでしょう。人気よりは走ると思います。ただ、サイコーキララにしても、シルクプリマドンナにしても、前からの競馬になると思うんです。そうなると、案外アッサリかわされてしまうのではないかという気もします。ここまで馬券で手を広げられないという理由もあって、今回は消しです。

(Ryuの買い目)

   (単勝)
    13.サイコーキララ 2,000円
   (複勝)
    5.レディミューズ 1,000円
   (馬連)
    5−13 2,000円
    4−13 1,700円
    4−5 900円
    8−13 1,000円
    5−8 600円
    13−17 500円
    13−16 500円
    5−17 400円
    5−16 400円

   (合計) 11,000円

(レース結果)

   天候:晴 馬場状態:良 

順位 枠番 馬番 馬名 性別・
年齢
重量 騎手 人気 タイム・
着差
チアズグレイス 牝4 55 松永幹夫 1.34.9
11 マヤノメイビー 牝4 55 幸英明 1 1/2
シルクプリマドンナ 牝4 55 藤田伸二 アタマ
13 サイコーキララ 牝4 55 石山繁 1/2
サニーサイドアップ 牝4 55 四位洋文 1 1/4
レディミューズ 牝4 55 岡部幸雄 クビ
12 スプリングガーベラ 牝4 55 後藤浩輝 12
ベルグチケット 牝4 55 柴田善臣 11 1/2
ジョーディシラオキ 牝4 55 武幸四郎 3/4
10 10 オリーブクラウン 牝4 55 的場均 10 ハナ
11 16 エアトゥーレ 牝4 55 武豊
12 アカズキンチャン 牝4 55 熊沢重文 13 クビ
13 14 エンゼルカロ 牝4 55 田中勝春 14 1/2
14 グロウリボン 牝4 55 松田大作 18 1/2
15 17 フューチャサンデー 牝4 55 横山典弘 ハナ
16 18 カシノエトワール 牝4 55 安藤勝己 17 2 1/2
17 アルーリングアクト 牝4 55 秋山真一郎 15 1/2
18 15 パールビコー 牝4 55 上村洋行 16 大差

  

   (単勝)8.1,590円
   (複勝)8.380円 11.530円 4.240円
   (枠連)4−6 7,130円
   (馬連)8−11 8,010円
   (ワイド)8−11 2,060円 4−8 1,200円 4−11 1,550円

 結論からいきましょう。サイコーキララの敗因は2つ。1つは、石山騎手の位置取りです。レースを見てて「おいおい、随分後ろからの競馬するなあ。大丈夫なのかなあ」と思ってたのですが、大丈夫じゃなかったという(笑)。前走で仕掛けが早すぎたのを石山騎手は気にしていたみたいで、そのために大事に乗りすぎてしまったみたいです。ちょっと責めるのは気の毒なような気もしますが、まあ結果論として後手後手に回ってしまった感は否めません。
 で、最後の直線に満を持して仕掛けたのですが、思いの他にサイコーキララは伸びませんでした。その理由、そして僕の結論。「サイコーキララに1,600mは長い」。いかに仕掛けが遅かったとしても、あの位置取りからならシルクプリマドンナ、そしてマヤノメイビーはかわせたはずです。「せめて2着ー!」とTV前で絶叫してたのですが…。あの止まり方を見ると、どうしても「距離の壁」という言葉が頭をよぎってしまいます。まだ結論を出すのは早計かもしれませんが、とりあえず、オークスでは無印としたいと思います。たとえ今日勝っていたとしても、オークスでは評価を下げる予定でした。石山騎手にはリヴェンジを期待したいのですが…。
 勝ったチアズグレイス、いや、やっぱり調教最高でしたからね。シッポをブルンブルン振り回していたのが若干気がかりだったのを除いて(グロリーシャルマンを彷彿とさせるものがあったなあ…)、走りの力強さといったら…。馬体が絞れたのも絶好だったのでしょう。やっぱり前走は度外視で正解だったということですね。オークスでも血統的にいけるでしょう。ただし、良馬場が条件。
 マヤノメイビーには驚きました。正直、僕は「ここで4着以内に入れればオークスではもっとよくなる」と思っていたのですが、鉄砲でいきなり2着したのは馬の持つ底力と総合力の高さに他なりません。積極的な競馬をしたのも功を奏した感です。もともと阪神3歳牝馬ステークスでは1番強い競馬をしたウマですし、俄然オークスの本命サイドとなってきました。
 シルクプリマドンナも実力を見せつけてしれました。もう少し前で競馬をしていれば2着はあったかもしれませんが…。でも、血統的にはオークスでこそ花開きそうな印象です。マヤノメイビーと並んで本命サイドとなることでしょう。オークスでは、この2頭+忘れな草賞を勝ち上がったグランパドドゥを中心に据えたいと思います。
 レディミューズは、4コーナーでの行きっぷりが悪かったとのこと。岡部さんに言わせると「キャリアの浅さが出た」ということですが。オークスは血統的にちょっと苦しそうですね。
 今日の結び。「私を笑え(byフジテレビ)」。この借りはオークスで…。

(最終収支決算)

   (支出)−11,000円 + (収入)0円 = (合計)−11,000円

   <今春の合計> −19,700円(1勝2敗)

 

 

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