皐月賞

(2000年4月16日 中山競馬場 芝2,000m)

 

(ごくごくかんたんなレースの説明)

 4歳3冠レースの第1弾皐月賞。日本のクラシックレースは全てイギリスのそれに範を取っているが、皐月賞は「2000ギニー」に相当する。1939年に横浜競馬場で初めて行われた「横浜農林省賞典四歳呼馬競走」が前身で、第1回の優勝馬はロツクパーク(騎手:稲葉幸夫)。当時は距離1,850mで行われていた。その後、太平洋戦争の激化に伴い横浜競馬場が海軍に徴用されると、1943年以降は東京競馬場で行われるようになり、終戦を挟んだ1949年から現在の中山競馬場が開催地となり、名称も現在の「皐月賞」となった。翌50年に距離も2,000mに変更されて今日に至っている。
 古くから、「皐月賞は最もスピードのある馬が勝つ」といわれているが、ゴール前に坂があるという中山競馬場の性質から必ずしも「スピード馬有利」とだけは断言できず、桜花賞同様「スピード・パワー兼備の馬が勝つ」レースであるといえるだろう。
 ステップレースとしては、同じ芝2,000mで行われるトライアルの弥生賞、若葉ステークス組が良績を残している。ただし、ここ11年で弥生賞の勝ち馬は皐月賞での優勝なし。今年もフサイチゼノンが回避して、ジンクスは「12年連続」となった。一方、若葉ステークスを勝って皐月賞も連勝したのは、91年トウカイテイオー(騎手:安田隆行)、95年ジェニュイン(騎手:岡部幸雄)。ただ、若葉ステークスは今年から阪神競馬場での開催に変更されたため、これまでのデータが全く役に立たなくなるおそれもある。
 また、同じトライアルでも、スプリングステークス組は不振。やはり、皐月賞で勝つには2,000m以上のレース経験がないと厳しいのだろう。スプリングステークスの勝ち馬で皐月賞を制しているのは、92年ミホノブルボン(騎手:小島貞博)と、94年ナリタブライアン(騎手:南井克巳)。2頭とも後に日本ダービーも制し、さらにナリタブライアンは菊花賞まで制しているという超実力馬である。それくらい力のある馬でないと、いきなり2,000mをこなすのは厳しいという言い方もできるだろう。昨年、スプリングステークス7着から本番の皐月賞で2着に入ったオースミブライトにしても、2,000mの重賞京成杯で勝利を収めた経験があった。
 昨年の勝ち馬はテイエムオペラオー(騎手:和田竜二)。「東上最終便」といわれている毎日杯を勝ち上がり、クラシック登録がなかったために追加登録料200万円を払って出走しての勝利だった。鞍上和田竜二はGT初制覇。「花の12期生」では古川吉洋(97年阪神3歳牝馬ステークス)、福永祐一(99年桜花賞)に続いて3人目のGT制覇となった。

(過去10年間の勝ち馬)

年度 優 勝 馬 性別・
年齢
重量 騎 手 人気 タイム 馬場
状態
1990 ハクタイセイ 牡4 57 南井克巳 2.02.2
1991 トウカイテイオー 牡4 57 安田隆行 2.01.8 稍重
1992 ミホノブルボン 牡4 57 小島貞博 2.01.4
1993 ナリタタイシン 牡4 57 武豊 2.00.2
1994 ナリタブライアン 牡4 57 南井克巳 R1.59.0
1995 ジェニュイン 牡4 57 岡部幸雄 2.02.5 稍重
1996 イシノサンデー 牡4 57 四位洋文 2.00.7
1997 サニーブライアン 牡4 57 大西直宏 11 2.02.0
1998 セイウンスカイ 牡4 57 横山典弘 2.01.3
1999 テイエムオペラオー 牡4 57 和田竜二 2.00.7

  ★タイムの「R」はレコード

    

(Ryuの予想)

   ◎ 13.アタラクシア
   ○ 16.エアシャカール
   ▲ 1.ラガーレグルス
   △ 5.パープルエビス
   △ 9.カネツフルーヴ
   △ 2.ジョウテンブレーヴ

 さあ、今回は勝負に出たぞ。ダイタクリーヴァ無印。悩みに悩んだ末の結論です。2,000mという距離に不安があるのがその最大の理由。フジキセキ×サクラユタカオーという血統的には2,000までならOKという気もするし、スプリングステークスの勝ち時計1分49秒1はナリタブライアンと同じものという点に素質は感じられますが、不安要素が大きい以上は抜擢はできません。前走の勝ち方もきわどいものだったし、案外とぶときはサックリとんでしまうのではないかという気もします。これがマイル戦なら自身持って◎打てるのですが…。
 で、◎。最後までアタラクシアにしようかエアシャカールにしようか迷いました。でも…パドック見ると、エアシャカールのイレ込み具合はマイナス査定。押し出される形でアタラクシアを◎に抜擢しました。「未知の魅力」とでもいいましょうか、まだ主だったトライアル組とは対戦していないだけに、底知れなさを感じてしまいます。前走すみれステークスの勝ちっぷりもよし、距離も問題なさげだし(デインヒル産駒なのに…。フジキセキよりこっちの方がホントはマイラーっぽい血統だよな)、思い切ってみたいと思います。
 一方のエアシャカール。血統的には父サンデーサイレンスで申し分なし。出遅れにかかわらず末脚を駆使して2着に飛び込んだ前走弥生賞の内容もグー。あとは、その出遅れグセが本番で出なきゃ、ね。あ、もう1つだけ不安材料があったぞ。半姉のエアデジャヴーが、桜花賞3着、オークス2着、秋華賞3着という典型的な「イマイチちゃん」だったという点。ま、父が変わってるからどうなるか分かんないけどね。
 さて、連下候補。▲はラガーレグルス。朝日杯3歳ステークスでは落鉄、共同通信杯4歳ステークスでは2秒以上の大出遅れ、弥生賞では勝負どころで前が壁になる、など、ほとんどまともに走ってないレースが多いような印象を受けますが、まともに走りさえすれば実力はあるはずです。このままで終わるウマではないはずです。
 △は今回は穴っぽいところを。まずパープルエビス。前走スプリングステークス、先行組が揃ってバタバタになるなかでただ1頭2着を確保したのは立派です。馬場も悪いし、ハナに立ってしぶとく粘り切る姿も再度見られるかもしれません。
 カネツフルーヴも魅力的。後ろから追い込んできた前走スプリングステークスの内容を評価。上がりの脚はダイタクリーヴァとほぼ同タイムでしたし。3年前の同じ皐月賞でターフに散った半兄オースミサンデーの分まで頑張ってほしいものです。
 とまあ、ここでおしまいにしようかと思ったんだけど…どうしてもはずせないのでもう1頭だけ。ジョウテンブレーヴ。休み明けの前走弥生賞(4着)よりは間違いなく上積み見込めるはずです。アタラクシアとエアシャカールとだけ押さえておきます。

(Ryuの買い目)

   (馬連)
    13−16 800円
    1−13 800円
    1−16 800円
    5−13 800円
    5−16 800円
    1−5 800円
    9−13 800円
    9−16 800円
    1−9 800円
    5−9 800円
    2−13 200円
    2−16 200円

   (合計) 8,400円

(レース結果)

   天候:曇 馬場状態:稍重 

順位 枠番 馬番 馬名 性別・
年齢
重量 騎手 人気 タイム・
着差
16 エアシャカール 牡4 57 武豊 2.01.8
ダイタクリーヴァ 牡4 57 高橋亮 クビ
14 チタニックオー 牡4 57 角田晃一 13 2 1/2
ジョウテンブレーヴ 牡4 57 蛯名正義 ハナ
15 ヤマニンリスペクト 牡4 57 柴田善臣 11 クビ
10 エリモブライアン 牡4 57 的場均 クビ
パープルエビス 牡4 57 石橋守 1/2
11 トップコマンダー 牡4 57 和田竜二 12 クビ
13 アタラクシア 牡4 57 四位洋文 1 1/4
10 12 ニシノアラウンド 牡4 57 藤田伸二 17 アタマ
11 タイムリートピック 牡4 57 熊沢重文 14 3/4
12 リワードフォコン 牡4 57 後藤浩輝 クビ
13 カネツフルーヴ 牡4 57 松永幹夫 10 3/4
14 ピサノガルボ 牡4 57 横山典弘 18 クビ
15 マイネルチャージ 牡4 57 岡部幸雄 16
16 17 クリノキングオー 牡4 57 幸英明 アタマ
17 18 マイネルコンドル 牡4 57 伊藤直人 15
ラガーレグルス 牡4 57 佐藤哲三 (中止)

  ★ 1.ラガーレグルスは、発走合図直後にゲート内で立ち上がり騎手が落馬したため競走中止。

   (単勝)16.340円
   (複勝)16.140円 3.150円 14.1,250円
   (枠連)2−8 620円
   (馬連)3−16 720円
   (ワイド)3−16 350円 14−16 4,670円 3−14 4,190円

 まず初めに、この件には触れずにいられないので。ラガーレグルスの件。いきなりゲートで立ち上がって騎手を振り落としてしまって競走中止。ゲート出てすぐに騎手が落ちて中止ってのは聞いたことあるけど、ゲートも出ずに中止なんて空前絶後だぞ。弥生賞のときには大丈夫だったからもう平気かと思いきや…なんともはや。佐藤哲三騎手の心中やいかに。
 このラガーレグルスの件では、いろいろと議論がなされている。ゲート開けるのが早すぎたんじゃないかとか、スターターはなんで気がつかなかったんだ、とか。ただ、僕個人の見解としては、ゲートが開いたタイミングについては別に問題がなかったように思う。たまたまゲートが開く直前にラガーレグルスが立ち上がってしまったように見受けられたし。まあ、バッドタイミングとしかいいようがない。ある種、スターター、ウマ、騎手のいずれも不可抗力だったんじゃないかな、って。
 それは別として、レース終了後にJRAからこの件について何の説明もなかったのは、腹立たしいの一言。65億もの大金がドブに捨てられたという事実は動かしようがないんだから、ルールはルールとして(「『競走中止』で返還は行わない」という扱いについてはルール通りのもので、何ら文句つけようがない)、納得のいく説明はあってしかるべきだったんじゃないかな。パトロールフィルムを公開するとか、なぜ返還がないのかを説明するとか。91年桜花賞のときに、落鉄したイソノルーブルをそのまま走らせておいて後で何の説明もなしということがあったけど、そのときからJRAの体質は変わっていない。ファンをバカにしていると言われても文句言えんぞ。
 そして、ここで僕は別の側面から今回の出来事を糾弾したい。「なぜラガーレグルスは立ち上がってしまったのか?」、理由は簡単。「スタート前の喚声でウマが驚いてしまったから」。多分、そういう気性のウマなのだろう。もともと、ウマっていうのはとてもセンシティヴな生き物で、騒ぎには敏感なはずだから。ましてや、皐月賞のスタートはスタンド前。大喚声がモロに響いてしまったのだろう。
 スタート前にファンファーレに合わせて手拍子したり、大声出したりしている連中、もういい加減でやめろ! なんでウマ本位で考えられないんだ? 本当にウマのことを考えているのならとてもできない行為だぞ。お祭り騒ぎがしたいならてめーの家のTVの前でしろ! ラガーレグルスが驚いたのはてめーらみたいな連中の声にだって気づいてないだろう? てめーらに競馬場でレースを楽しむ資格なんてない! 消えろ!
 …一応、レースについても振り返りましょう。勝ったエアシャカールは、武豊騎手がうまく乗りました。弥生賞のときの経験を生かして、切れる末脚を見せつけました。強い競馬でした。まだまだ気性的にチャカチャカする面もあるのですが、潜在能力はあると思います。ダービーでも期待できるでしょう。
 ダイタクリーヴァ、やっぱり力はありますね。内がやや馬場が悪かったみたいで、それで勝ち馬に遅れを取ってしまったのかもしれません。でも、力はあるウマです。高橋亮騎手もソツなく乗ったと思います。距離も2,000mなら問題ないみたいです。ただ、やはり本質的にはマイル前後がいいウマだと思います。というわけで、強いウマだとは思いますが、引き続きダービーでも無印にしたいと思います。
 3着のチタニックオーには驚きました。最後の上がりの脚はエアシャカールとほぼ同じタイムでしたし。最後方から一気にいく作戦がハマったような印象です。血統的に距離が伸びてよさそうだし、直線長い府中では今日のような競馬が再びできればさらに上積みありそうです。アタラクシアは、まだまだこれからのウマかもしれません。
 レース自体は見応えのあるものだったのに、ラガーレグルスの件でそれにミソをつけるような形になってしまい、非常に残念でした。ダービーでは一点の曇りもない好勝負を期待したいと思います。 

(最終収支決算)

   (支出)−8,400円 + (収入)0円= (合計)−8,400円

   <今春の合計> −28,100円(1勝3敗)

 

 

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