オークス(優駿牝馬)

(2000年5月21日 東京競馬場 芝2,400m)

 

(ごくごくかんたんなレースの説明)

 本場のイギリスオークスは、第12代ダービー卿が1779年に創設したレース。日本でも、そのレースに範を取り、1938年秋に「阪神優駿牝馬」の名称で第1回が開催された。優勝馬は、同年の日本ダービーでも3着に入ったアステリモア(騎手:保田隆芳)。その後、1946年に東京競馬場での開催に移され、53年には本場同様に春施行とされて今日に至る。
 牝馬限定のGTレースのなかで、距離2,400mは最長であり、牝馬3冠戦1冠目の桜花賞から一気に800mも距離が延長される。スピードが優先する印象の桜花賞と比べて、オークスは「スピード・スタミナ兼備」が要求され、4歳牝馬にとっては過酷ともいえる2,400mという距離に対する適性が強く求められるレースである。1991年のニシノフラワー、97年のキョウエイマーチなど、桜花賞馬が1番人気に推されながら着外に沈んだのはひとえに「距離の壁」と言えるだろう。桜花賞→オークスと連覇した馬は、ここ10年では93年のベガ(騎手:武豊)ただ1頭。ここ20年に限定しても、86年メジロラモーヌ(騎手:河内洋)、87年マックスビューティ(騎手:田原成貴)とベガの3頭のみ。そのうち、メジロラモーヌは、秋のエリザベス女王杯(当時)も制し、現在までただ1頭の「牝馬3冠」に輝いている馬である。
 ここを勝ち抜いた牝馬は、その後「名牝」と称されることが多い。95年の勝ち馬ダンスパートナー(騎手:武豊)はフランス遠征、菊花賞挑戦を経て古馬に開放されたエリザベス女王杯を制し、96年のエアグルーヴ(騎手:武豊)は翌年の天皇賞・秋を牝馬として17年ぶりに制して年度代表馬に輝き、97年のメジロドーベル(騎手:吉田豊)は牝馬初のGT5勝を記録した。引退後に名繁殖牝馬になることが多いのもこのレースの勝ち馬の特徴。ちなみに、エアグルーヴの母であるダイナカールも83年にこのレースを制しており、母娘2代の制覇として話題となった。繁殖入りしたエアグルーヴに今年誕生した初仔の牝馬(父:サンデーサイレンス)に期待がかかるところである。

(過去10年間の勝ち馬)

年度 優 勝 馬 性別・
年齢
重量 騎 手 人気 タイム 馬場
状態
1990 エイシンサニー 牝4 55 岸滋彦 2.26.1
1991 イソノルーブル 牝4 55 松永幹夫 2.27.8
1992 アドラーブル 牝4 55 村本善之 2.28.9
1993 ベガ 牝4 55 武豊 2.27.3
1994 チョウカイキャロル 牝4 55 小島貞博 2.27.5
1995 ダンスパートナー 牝4 55 武豊 2.26.7
1996 エアグルーヴ 牝4 55 武豊 2.29.1
1997 メジロドーベル 牝4 55 吉田豊 2.27.7
1998 エリモエクセル 牝4 55 的場均 2.28.1
1999 ウメノファイバー 牝4 55 蛯名正義 2.26.9

    

(Ryuの予想)

   ◎ 8.グランパドドゥ
   ○ 5.シルクプリマドンナ
   ▲ 18.マヤノメイビー
   △ 11.フサイチユーキャン
   △ 12.チアズグレイス
   △ 9.サニーサイドアップ

 上位3頭は桜花賞終了後に指摘した通りで変更ありません。サンスポ賞4歳牝馬特別、スイートピーステークスの両トライアルで権利を獲得したウマも、いい感じなのは何頭かいるものの、上位3頭を脅かすには至らずと見ました。
 で、その3頭の順位づけですが、◎はグランパドドゥを取りました。理由は、道悪になったからです(稍重まで回復はしてきましたが)。跳びが大きい走りをするタイプではなく、回転速い小刻みなフットワークを使うタイプのグランパドドゥは、道悪はむしろ歓迎なのではないでしょうか。最初はシルクプリマドンナの方を上位にしようかと思ったのですが、シルクは道悪でどう転ぶか分からないし…。なんといっても、グランパドドゥは前走忘れな草賞の内容が圧巻でした。時計といい、着差といい。父のフジキセキが血統的に距離どうなのか不安要素なくもないのですが(「長い」とも「もつ」とも断定できなくて。なにしろ、あーんな早く引退しちゃったし…)、狙ってみたいと思います。ただし、馬体重減はマイナス材料。
 ○はシルクプリマドンナ。血統的には文句なし、距離延長もドンと来いといったところ、中間も順調、とあっては、1番人気に推されるのも当然でしょう。ただ、このウマも、グランパドドゥ同様、馬体減があると崩れる危険性もあります。
 ▲のマヤノメイビー、前記2頭に比べるとやや分が悪いといった程度で、大差はありません。あの切れる脚を府中の直線でも長く使うことができれば逆転は可能でしょう。距離に若干の不安もあるところですが、陣営は「折り合いのつくタイプなので、心配ないと思う」と言ってます。どう転ぶか…です。
 △は、まずフサイチユーキャン。前走4歳牝馬特別では3着でしたが、道中前が詰まる不利があってのものでしたし、最後の脚は1・2着馬よりも速いものでした。そのときに負けたウマよりも魅力を感じます。「いい脚を長く使える」とのことですし、「2着はあり」と見ます。
 桜花賞馬のチアズグレイス、本来ならもっと上位の評価をするべきなのかもしれません。でも、僕は一時、道悪になったので思い切って消してしまおうかとすら思ったほどです。それをあえて残したのは…桜花賞のとき以上に状態よく感じたからです。ウマそのものの持つ力は上位3頭に決して引けは取りません。2着、そして3着なら充分圏内でしょう。
 サニーサイドアップは外傷で4歳牝馬特別を取り消したのはむしろよかったのではないかと思います。距離は伸びてよさそうですし、大崩れはないと見ます。サイコーキララは、いくらなんでも距離長すぎるとみて、予告通り無印です。

(Ryuの買い目)

   (単勝)
    8.グランパドドゥ 1,000円
   (複勝)
    8.グランパドドゥ 1,000円
   (馬連)
    5−8 2,000円
    8−18 1,500円
    5−18 1,500円
    8−11 1,000円
    5−11 1,000円
    11−18 1,000円
    8−12 500円
    8−9 500円
   (ワイド)
    8−12 500円
    5−12 500円
    8−9 500円
    5−9 500円


   (合計) 13,000円

(レース結果)

   天候:曇 馬場状態:稍重 

順位 枠番 馬番 馬名 性別・
年齢
重量 騎手 人気 タイム・
着差
シルクプリマドンナ 牝4 55 藤田伸二 2.30.2
12 チアズグレイス 牝4 55 松永幹夫 クビ
16 オリーブクラウン 牝4 55 高橋亮 16 1 1/2
レディミューズ 牝4 55 岡部幸雄 11 1/2
グランパドドゥ 牝4 55 河内洋 クビ
サイコーキララ 牝4 55 石山繁 1 1/4
サニーサイドアップ 牝4 55 後藤浩輝 10 1/2
マニックサンデー 牝4 55 武豊 クビ
フューチャサンデー 牝4 55 横山典弘 1 1/2
10 スギノフォルモーザ 牝4 55 的場均 17 1/2
11 10 バイラリーナ 牝4 55 小林淳一 クビ
12 18 マヤノメイビー 牝4 55 四位洋文 アタマ
13 14 カリスマサンオペラ 牝4 55 和田竜二 12 3/4
14 17 ジョーディシラオキ 牝4 55 武幸四郎 15 2 1/2
15 11 フサイチユーキャン 牝4 55 千田輝彦 クビ
16 13 グロウリボン 牝4 55 田中勝春 18
17 15 サマーベイブ 牝4 55 吉田豊 13
18 リビングデイライツ 牝4 55 中舘英二 14 2 1/2

  

   (単勝)5.370円
   (複勝)5.150円 12.260円 16.2,430円
   (枠連)3−6 1,260円
   (馬連)5−12 1,630円
   (ワイド)5−12 680円 5−16 7,600円 12−16 17,390円

 レース終了後、まず最初に思ったのは「岡部さんおそるべし」。距離に不安のあるレディミューズに2,400mをもたせるために、先頭に立ってすぐにスローにペースを落としてまったりと進む、という、91年菊花賞をレオダーバンで制したときと同じ作戦を取り、結果的に同馬を4着に導きました。まずはこのヴェテランらしい好騎乗に敬意を表します。
 で、この岡部さんの作戦で、レースの展開はガラっと変わってしまいました。超スローで、上がりの勝負。そうなると、行けなかったグランパドドゥには厳しい展開になってしまいました。結果、5着。まあ、展開の綾でしょう。大レースをほとんど経験していなかったことにも泣いた形になりましたね。秋華賞に期待したいと思います。
 勝ったシルクプリマドンナはお見事でした。好位につけて直線ポンと抜け出して、ラスト3ハロン34秒9の脚で上がりました。状態面もよし、距離もバッチリとあって、文句のつけようがない勝利だったと思います。
 2着のチアズグレイスは惜しかったと思います。松永幹夫騎手も悔やんでいましたが、あれだけスローペースになったのだからもえ少しだけ早く仕掛けてもよかったのかもしれません。いい脚でシルクプリマドンナを追い詰めていただけに、「逆転も可能だったのでは」と思わずにはいられません。状態のよさではシルクプリマドンナを上回っていたといっても過言ではないでしょう。直前まで「消し」を明言していたRyuに思わず馬券を買わせてしまうほどのよさでした。順調にいけば、秋華賞ではシルクプリマドンナを再逆転することも充分可能だと思います。
 3着のオリーブクラウンは、むしろこのスローペースの展開に恵まれての結果だったのではないでしょうか。マニックサンデー、マヤノメイビーはイレ込みが激しくて勝負にならなかったような印象です。また、追い込み脚質のマヤノメイビーにとっては、超スローの展開も不向きだったように思います。逆に、サイコーキララは、超スローが幸いして6着に粘れたのではないでしょうか。前半引っ掛かって行きたがっていましたし、明らかにこの馬は短距離向きです。秋華賞ではなくて、スプリンターズステークスを秋の大目標に据えたほうがいいと僕個人的には思います。
 いや、取れない馬券ではなかっただけに残念です。シルクの単勝をグランパドドゥと併せて買い、そして5−12を馬連で押さえていれば…と悔やまれます。結果、ワイドで僅かにバック受けたのみ…。この悔しさを来週にー…(つづく)。

(最終収支決算)

   (支出)−13,000円 + (収入)+3,400円 = (合計)−9,600円

   <今春の合計> −27,340円(3勝4敗)

 

 

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