天皇賞・秋

(2001年10月28日 東京競馬場 芝2,000m)

 

(ごくごくかんたんなレースの説明)

 天皇賞は、春・秋共通で考えると、1937年12月3日東京競馬場で行われた「帝室御賞典競走」が第1回。優勝馬はハッピーマイト(騎手:新井朋次郎)。当時4歳(旧表記馬齢。以下、注記があるまでは全て旧馬齢表記)の牡馬で、その後4歳馬が天皇賞を勝つまでには実に59年の歳月を待たなければならなかったのである(まあ、「5歳上」の時期が長かったんだけど)。
 秋の天皇賞は、これまでほぼ一貫して東京競馬場で行われている(記憶が確かなら、1回だけ改修工事の関係で中山で行われたことがあったような…)。その天皇賞・秋が大改革を迎えたのが、グレード制導入元年の1984年のこと。それまで春同様に3,200mで行われていた天皇賞・秋は、この年から2,000mで行われることになったのである。この初めての2,000mでの天皇賞・秋(第90回)で勝利を収めたのが、史上3頭目の3冠馬ミスターシービー(騎手:吉永正人)。
 その後、87年からは4歳馬の参戦も可能となり、翌88年に4歳ながら2着に入ったのは、あのオグリキャップ。96年には、バブルガムフェローが59年ぶりに4歳馬として制覇。後に3強と言われたサクラローレル、マヤノトップガン、マーベラスサンデーを抑えてのことだった。そして、97年、牝馬としては80年のプリティキャスト以来17年ぶりにエアグルーヴが勝利。もちろん、2,000mになってから牝馬が勝つのは初めてであった。
 昨年から、JRAのレース開放計画にのっとって、天皇賞は春・秋ともに一定基準を満たした外国産馬が2頭の枠で出走可能となった。この天皇賞・秋は、「GT勝ち馬(2歳戦(ここより後は現在の馬齢表記)を除く)」「当該年度の『オールカマー』『毎日王冠』『京都大賞典』の勝ち馬」が出走可能となる。外国産馬の参戦が1頭もなかった春と違い、昨秋にはイーグルカフェ(2000年NHKマイルカップ)、メイショウドトウ(2000年オールカマー)の2頭の外国産馬が出走。そして、メイショウドトウは2着に入り、外国産馬としては久々(1972年〜99年の間、外国産馬には天皇賞の出走権がなかった)の連対となった。
 レース自体は、「東京芝2,000m」という、前週の「京都芝内回り2,000m」に匹敵する難コースで行われる。勝負は、何といっても、「急に狭くなるよう」と各騎手が口にする1コーナー〜2コーナー。あとは東京名物の長ーい直線。
 ちなみに、このレースは、1番人気馬がことごとく敗れ去るレースとして知られ、昨年まで1番人気馬は12連敗(それまで最後に勝ったのは87年のニッポーテイオー)。シンボリルドルフはギャロップダイナに出し抜けを食らい2着に甘んじ(85年)、メジロマックイーンは1着入線するも進路妨害で18着降着となり(91年)、ビワハヤヒデは競走中に故障を発症し5着と敗れ(94年)、サイレンススズカは3コーナーで「悪夢」に見舞われて永遠に未来を奪われてしまい(98年)、セイウンスカイは枠入不良が響いたのか5着に惨敗した(99年)。
 しかし昨年、「現役最強馬」の呼び声高い断然の1番人気テイエムオペラオーは、そのようなジンクスをもろともしなかった。2,000mとやや距離不足の感のあるレース(2,000m以下のレースに出走するのは皐月賞以来)、日本ダービー以来の東京コース、初めて経験する重馬場、7枠13番の外枠、前走京都大賞典を完勝した反動…など、様々な不利を囁かれるなか、フタを空けてみれば2馬身半差の完勝。遂に「府中の森の悪魔伝説」にピリオドを打つこととなった。1番人気馬の勝利は実に13年ぶりのことであった。

(過去10年間の勝ち馬)

年度 優 勝 馬 性別・
年齢
重量 騎 手 人気 タイム 馬場
状態
1991 プレクラスニー 牡5 58 江田照男 2.03.9 不良
1992 レッツゴーターキン 牡6 58 大崎昭一 11 1.58.6
1993 ヤマニンゼファー 牡6 58 柴田善臣 1.58.9
1994 ネーハイシーザー 牡5 58 塩村克己 1.58.6
1995 サクラチトセオー 牡6 58 小島太 1.58.8
1996 バブルガムフェロー 牡4 56 蛯名正義 1.58.7
1997 エアグルーヴ 牝5 56 武豊 1.59.0
1998 オフサイドトラップ 牡8 58 柴田善臣 1.59.3
1999 スペシャルウィーク 牡5 58 武豊 R1.58.0
2000 テイエムオペラオー 牡5 58 和田竜二 1.59.9

   ★2000年までの馬齢表記は旧表記(数え年)を使用。
   ★タイムの「R」はレコード

 

(Ryuの予想)

   ◎ 4.ステイゴールド
   ○ 2.メイショウドトウ
   ▲ 6.テイエムオペラオー
   △ 10.アグネスデジタル
   △ 8.イブキガバメント

 今回は勝負に出ました。あえて、テイエムオペラオーでもなく、メイショウドトウでもなく、ステイゴールドを◎に抜擢します。失格になったとはいえ、実質的にはテイエムオペラオーを封じている前走京都大賞典の内容と、ますますの上昇気配を買ってのものです。しかも、鞍上は武豊。前走からよくなる要素ばかりです。道悪もこなしてくれるはずです。このウマにとっては、文字通り「これが最後のGT制覇のチャンス」でしょう。ドバイでファンタスティックライトを負かしたのは伊達でないところを見せてほしいものです。
 とはいえ、他の2頭もほぼ差はないと思います。まずメイショウドトウ。ぶっつけをどう見るかですが、調教量も足りてるし、最終追い切りもよかったし、不安はないでしょう。昨今、調教さえキチンとしていれば、実力馬はぶっつけでも不安はないと思います。テイエムオーシャンの秋華賞勝利でそう思い始めてきました。○はこちらです。差のない○ですが。
 さてオペラオー。前走はもう1つでしたねえ。よく言われていることですが、5歳になって馬がズブくなってきてますね。宝塚記念でも、前走京都大賞典でもそうでした。それが、ひところの安定感に翳りを落とすことになってしまっている感があります。で、今回ですが…よくなってきてるんじゃないでしょうか。少なくとも、前走以下ということはないと思います…って、天皇賞・春でも同じこと書いたな(笑)。道悪は「願ったり叶ったり」でしょうし、直線の長い府中もズブさ見せ始めてきたこのウマ的には歓迎でしょう。案外サクっと勝ってしまうかもしれません。そしたら、遂にGT8勝ですか。シンボリルドルフの記録が塗り替えられる日が来るなんて思いもしなかったな。…ま、まだ勝ってないんですけどね(笑)。
 とりあえず、馬券的には上記3頭で充分。あとは不要でしょう。それに加え、今回は勝負の意味も込めて、ステイゴールドの単勝も買います。
 最後に、超押さえ候補。最初はロサードを△にする予定でしたが、このウマ、道悪はからっきしなんですよねえ…。最内枠は好材料ではあるものの、これでは抜擢できません。2,000mの持ち時計あるダイワテキサスも同様の理由で消し。ウマはいいみたいなんで、かわいそうなんですけど。メイショウオウドウ、ジョウテンブレーヴ…いずれも「道悪ノーサンキュー」組でしょうね。
 で、あえて「あと1頭」ということで挙げるとして、迷ったのがアグネスデジタルとイブキガバメント。ま、どちらも実際には買わないんで、両方に△打っときますか。アグネスデジタルは道悪をこなすかどうかが全く分かんないんですよ。もし「馬場悪いのはさっぱり」だったら、追い込み脚質のこのウマとしては致命的ですしね。でも、ダートでも良績残していることだし、大丈夫…という感もあります。というわけで残し。イブキガバメントは、ここに来て2連勝で、本格化してきた印象です。2,000mは適距離だし、条件としてはいいでしょう。問題なのは…一線級とは初顔合わせであるということ。なんとも言えないんですけど…まあ、押さえとして一応紹介しておきます。

(Ryuの買い目)

   (単勝)
    4.ステイゴールド 2,000円
   (ワイド)
    2−4 2,000円
    4−6 2,000円
    2−6 2,000円

   (合計) 8,000円

(レース結果)

   天候:雨 馬場状態:重 

順位 枠番 馬番 馬名 性別・
年齢
重量 騎手 人気 タイム・
着差
10 アグネスデジタル 牡4 58 四位洋文 2.02.0
テイエムオペラオー 牡5 58 和田竜二
メイショウドトウ 牡5 58 安田康彦 2 1/2
イブキガバメント 牡5 58 河内洋 3/4
11 ダイワテキサス 牡8 58 柴田善臣 11 クビ
メイショウオウドウ 牡6 58 飯田祐史 1 3/4
ステイゴールド 牡7 58 武豊 1 3/4
13 トレジャー 牡3 56 岡部幸雄 1/2
ロサード 牡5 58 横山典弘 1/2
10 12 ジョウテンブレーヴ 牡4 58 蛯名正義 3/4
11 トーホウドリーム 牡4 58 江田照男 10
12 サイレントセイバー 牡6 58 田中勝春 13 1 1/2
13 サイレントハンター 牡8 58 吉田豊 12 3 1/2

  

   (単勝)10.2,000円
   (複勝)10.390円 6.120円 2.130円
   (枠連)5−7 1,780円
   (馬連)6−10 2,790円
   (ワイド)6−10 850円 2−10 890円 2−6 180円

 …やっぱやられるとしたらこのウマだったか。いや、「ダート馬だし道悪こなせるかもなあ」とは思ってたんだけど…。馬券買ってなきゃ何の意味もないさね。アグネスデジタル、あの切れる脚は、まさに昨年のマイルチャンピオンシップの再現でした。2,000mの距離もOKでしたね。フジテレビの実況で塩原アナが言った通り「これなら納得でしょうクロフネ陣営も」ですね。外国産馬の天皇賞Vはなんと45年ぶりとか(1956年秋(第34回)、ミツドフアーム(騎手:保田隆芳))。次がマイルチャンピオンシップじゃもったいない。思い切って、香港遠征とか…どうでっか? どうでもいいけど、なんであーんなに外回ってたんだ、このウマ?
 テイエムオペラオー、やっぱりよくはなってましたね。ただ、「アグネスデジタルのほうがより切れた」ってことなのでしょう。精一杯のレースだったと思いますし、これまでの栄光に傷はついていないと思います。
 メイショウドトウ、サイレントハンターが出遅れて展開が超超超超超スローになったのがハードラックでした。しかも、スタートがよかったもんで、不本意ながらハナに立たざるをえなかったことも。ジャパンカップではきっともっとよくなってくれることでしょう。
 ステイゴールド、また「左にヨレてた」らしいです。良馬場だったらもうチョイ違ったのでしょうか…。しかし、ムラ馬ですねえ…。残念だけど、しょうがないです。このままGTに手が届かないでターフを去るのも、また彼らしくていいかもしれません。記録より記憶に残るウマとして。
 かろうじて2着−3着のワイドはキープしたものの、トータルとしては黒星。エリザベス女王杯はますます自信なし。もはや詮方なしかも。Ryuはどこへ行こうとしているのだろうか…。もうチョイなんだけどね、ここ何戦かは。

(最終収支決算)

   (支出)−8,000円 + (収入)+3,600円 = (合計)−4,400円

   <今秋の合計> −6,450円(1勝3敗)

 

  

「菊花賞」に戻る

「エリザベス女王杯」に続く

 

トップページに戻る