スプリンターズステークス

(2002年9月29日 新潟競馬場 芝1,200m)

 

(ごくごくかんたんなレースの説明)

 今となっては想像するべくもないが、かつての日本競馬は明らかに「短距離軽視」という風潮が主流で、4歳馬以上の重賞レースには長い間1,200mのレースは存在しなかった。そのようななか、1967年に4歳以上の馬にとって唯一の1,200m重賞競走として新設されたのが、このスプリンターズステークス。第1回の優勝馬はオンワードヒル(騎手:牧野三雄)。
 その後、1984年のグレード制導入と同時にGVに格付けされ、3月開催ということもあって安田記念のトライアルレース的な色彩を持たされていた。87年にはGUに昇格したものの、開催時期の問題などもあって今1つメンバーには恵まれないでいた。
 しかし、90年、短距離路線をさらにマイル路線とスプリント路線へと細分化させようという動きのなか、スプリンターたちの頂点を決める競走として、1,200mの競走で初めてGTレースに認定された。GT昇格後の最初の優勝馬はバンブーメモリー(騎手:武豊)。1分7秒8のレコード勝ちで、「電撃の6ハロン」競走初のGTとして強烈な印象を残した。
 94年からは外国馬にも門戸を開放し、国際競走として海外からスピード自慢のスプリンターたちが参戦してきているが、最高成績は95年のソーファクチュアルの3着で、連対馬はまだ出ていない。GT昇格後の優勝馬は97年までは全て1番人気馬か2番人気馬で、単勝はかなりカタく収まる傾向にあったが、98年は一転。これが引退レースになるタイキシャトルで磐石とレース前は思われていたものの、ゴール前に差し切り勝ちを見せたのは7番人気の伏兵マイネルラヴ(騎手:吉田豊)。タイキシャトルはシーキングザパールの逆転も許し、3着と若干不本意な形で競走生活を締めくくることになった。一方、馬券的にはタイキシャトルがとんだことによって馬連は15,920円と万馬券となった。
 99年はそれまで同様に2番人気−1番人気というカタい決着となっものの、2000年、またしてもスプリンターズステークスは大波乱の舞台となった。1着となったのは、シンガリ16番人気のダイタクヤマト(騎手:江田照男)。単勝は25,750円、2着が1番人気のアグネスワールドであったにもかかわらず馬連も25,700円の大荒れとなった。
 昨年は、春に高松宮記念を制したトロットスター(騎手:蛯名正義)が、レコードで完勝。JRA賞の最優秀短距離馬受賞をほぼ決定とした。スプリントGTの春秋連覇(高松宮杯(当時)がGTに昇格した96年以降)は96年のフラワーパーク次いで2頭目。
 歴史に残る名勝負としては、96年のフラワーパークとエイシンワシントンの大接戦。同着と言っても差し支えないほどの僅差で、写真判定は10分以上にも及んだ。その結果、その差1cmという本当の意味での「ハナ差」でフラワーパークに凱歌があがった。ちなみに、GT昇格後に牝馬で勝利を収めたのは3頭。91年ダイイチルビー(騎手:河内洋)、92年ニシノフラワー(騎手:河内洋)、そして96年フラワーパーク(騎手:田原成貴)。そのいずれもが、それ以前にGT勝ちの経験がある馬だった。
 GT昇格後は、一貫して12月第3週、最終開催の中山6日目に行われていたが、2000年からは9月の中山開催最終8日目へと時期が移行され(カレンダーの都合で2000年は10月1日開催)、秋GTの第1戦として生まれ変わった。そして、今年。東京競馬場改修に伴う開催変更によって、スプリンターズステークスは新潟競馬場で開催されることになった。新潟でのGT開催はもちろん初めてのことである。

(過去10年間の勝ち馬)

年度 優 勝 馬 性別・
年齢
重量 騎 手 人気 タイム 馬場
状態
1992 ニシノフラワー 牝4 53 河内洋 1.07.7
1993 サクラバクシンオー 牡5 57 小島太 1.07.9
1994 サクラバクシンオー 牡6 57 小島太 R1.07.1
1995 ヒシアケボノ 牡4 55 角田晃一 1.08.1
1996 フラワーパーク 牝5 55 田原成貴 1.08.8
1997 タイキシャトル 牡4 55 岡部幸雄 1.07.8
1998 マイネルラヴ 牡4 55 吉田豊 1.08.6
1999 ブラックホーク 牡6 57 横山典弘 1.08.2
2000 ダイタクヤマト 牡7 57 江田照男 16 1.08.6 稍重
2001 トロットスター 牡5 57 蛯名正義 R1.07.0

   ★タイムの「R」はレコード
   ★2000年までの馬齢表記は旧表記(数え年)を使用。

    

(Ryuの予想)

   ◎ 9.アドマイヤコジーン
   ○ 11.ショウナンカンプ
   ▲ 4.ビリーヴ
   △ 7.サーガノヴェル
   △ 1.サニングデール

 今年のキーは、なんといっても「新潟での開催」でしょう。例年開催されている中山競馬場だと「いかに最後の直線にある坂を克服するか」が重要なファクターとなって、「純然たるスプリンターではなく、マイルに適応できる力があるウマのほうがむしろいいかも」と個人的には思っていたのですが、今回はそうでもないんじゃないかと思います。スプリンターバンザイのレース。内回りコース使用とあって最後の直線もそんなに長くはないし、左回りだし、で、むしろ中京1,200mと流れはよく似てくるのではないでしょうか。
 となれば、春の1−2着馬は大きく浮上してくるかと思います。調子落ちしていればいざ知らず、2頭とも直前の調教はよかったし。素直に上位に取ります。
 で、どちらを本命にするかというと、ショウナンカンプは1頓挫あった分だけ値引き。アドマイヤコジーンに◎を打ちます。頼むぜごっちん。
 ショウナンカンプ。一時は▲まで下げることも検討したんですけど、状態は戻っていると見ていいんじゃないでしょうか。GT馬を信じることにします。
 さて、ヒモ候補ですが、上記2頭と対戦経験のあるウマはもはや「勝負付けは済んだ」と言ってもいいでしょう。未対戦組だけを取り上げたいと思います。まずビリーヴ。勢い的にはNo.1。前走セントウルステークスは強い走りでした。しかも、鞍上強化。気がかりは「1線級と未対戦」という点だけですが、かつてそれを信じてイタいめにあったことあるし(かつて)、厚く押さえていいでしょう。
 あとは不気味な3歳2頭を。まずサーガノヴェル。前走の大負けはどう考えても納得いかないんですよねえ。ダートがダメなのか、調教をミスったのか…。ここで負けたら「超早熟馬でした。ちゃんちゃん」というオチなんでしょうけど…。さりとて、2歳のときに1,200mを1分7秒台で駆け抜けたウマですし…。あのレースの印象があまりにも強いので、もう1回だけだまされてみたいと思います。
 サニングデールは、いかに斤量に恵まれたとはいえ古馬相手に重賞勝ちを収めたことを評価したいと思います。1,200mでは「4−1−0−0」。「左回りのほうが手前の替え方がスムース」という厩舎サイドのコメントもあり、頼もしいです。押さえます。
 ディフェンディング・チャンピオンのトロットスターですが…さすがに昨年の勢いはないと見て、消します。気持ち的にも多少は「終わってしまった」部分があるのではないでしょうか。トロットスターだったら、調教よかったらしいゴールデンロドリゴのほうが面白いのでは。買いませんけど。
 馬券としては、せっかくですので、今回は3連複も購入したいと思います。

(Ryuの買い目)

   (馬連)
    9−11 1,000円
    4−9 1,000円
    4−11 1,000円
    7−9 500円
    1−9 500円
    7−11 500円
    1−11 500円
   (3連複)
    4−9−11 200円
    7−9−11 200円
    1−9−11 200円
    4−7−9 100円
    1−4−9 100円
    4−7−11 100円
    1−4−11 100円

   (合計) 6,000円

(レース結果)

   天候:曇 馬場状態:良

順位 枠番 馬番 馬名 性別・
年齢
重量 騎手 人気 タイム・
着差
ビリーヴ 牝4 55 武豊 1.07.7
アドマイヤコジーン 牡6 57 後藤浩輝 1/2
11 ショウナンカンプ 牡4 57 藤田伸二 クビ
ディヴァインライト 牡7 57 田中勝春
ゴールデンロドリゴ 牡5 57 岡部幸雄 1 1/2
サイキョウサンデー 牡6 57 四位洋文 10 1/2
リキアイタイカン 牡4 57 武幸四郎 11 クビ
サニングデール 牡3 55 福永祐一 クビ
トロットスター 牡6 57 蛯名正義 1 1/2
10 10 シベリアンメドウ 牡3 55 柴田善臣 1/2
11 サーガノヴェル 牝3 53 吉田豊 1/2

   

   (単勝)4.220円
   (複勝)4.110円 9.130円 11.140円
   (枠連)4−7 570円
   (馬連)4−9 590円
   (ワイド)4−9 240円 4−11 230円 9−11 320円
   (馬単)4−9 960円
   (3連複)4−9−11 810円

 ビリーヴ完勝。いや強かった。うどん打ちながらTV見てたけど(笑)。アドマイヤコジーンとショウナンカンプの間が開かないと見るや咄嗟の判断で最内を突いたユタカもお見事なら、ひるむことなく伸びていったウマも立派でした。内は馬場が荒れていたという話なのに。大したもんです。
 アドマイヤコジーンは、前にショウナンカンプを見てレースを進めることができ、叩き合いの末にカンプは競り落としました。「カンプの調子が戻っていたので、4コーナーで控えたら残られると思った」とごっちん。ナイス判断だったといえるでしょう。しかし、後ろからもう1頭強いウマがやってきたとあっては…アンラッキーでした。まあ、しょうがないですね。やれることはやったのではないでしょうか。見る側としては満足です。
 ショウナンカンプ、目標にされた分…でしょうかねえ。陣営としては「パンパンの良馬場でやりたかった」とのことですし、そのへんも微妙に影響したのかもしれません。でも、春のチャンプとして恥ずかしくないレースだったとは思います。
 サーガノヴェル、序盤にヤネがムリに抑えたのが全てだったと思います。あれでウマが走る気なくしてしまったのではないでしょうか。陣営から指示が出ていたのならともかくとして、そうでなかったら何を考えて乗っていたのでしょうか。いかにテン乗りだったとはいえ、鞍上の騎乗ミスと言われても仕方のないところでしょう。あんな乗り方じゃじゃ馬券を買ったファンに対して失礼です。「自厩舎のショウナンカンプに勝たせたくて八百長やった(サーガノヴェルの鞍上吉田豊はショウナンカンプの大久保洋吉厩舎所属)」とイタくもない腹探られても反論できないぐらいのダメ騎乗だったと僕は思います。
 サニングデールも案外でしたねえ。まだGTには少し足りないんでしょうか。でもまだ3歳だし、これからを見守っていきたいと思っています。
 馬券。当たった。わーい。収益は少しだけだけど、やっぱ緒戦を飾るのは気分いいですねえ。「馬単9−4」にしとかなくてホントよかった…。

(最終収支決算)

   (支出)−6,000円 + (収入)+7,520円 = (合計)+1,520円

   <今秋の合計> +1,520円(1勝0敗)

 

  

「秋華賞」に続く

 

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