菊花賞

(2002年10月20日 京都競馬場 芝3,000m)

 

(ごくごくかんたんなレースの説明)

 イギリスのクラシックレース「セントレジャー」を模範としてつくられた、3冠レースの最終戦。1938年12月11日に「京都農林省賞典四歳呼馬競走」という名称で行われた第1回レースで優勝したのはテツモン(騎手:伊藤正四郎)。以降、昭和23年に「菊花賞」という名称に改められて、今日に至る。昭和54年に1回だけ阪神競馬場で行われた以外は、京都競馬場、芝3,000mは不動。本場のセントレジャーが衰退の一途をたどっているのに対して、京都唯一のクラシックレースとして、また、3,000mの長丁場と2度の坂越えというハードなレースぶりで、数多くの名勝負を生み出し続けている。「皐月賞は最も早い馬が勝ち、ダービーは最も運のいい馬が勝ち、菊花賞は最も強い馬が勝つ」という言葉が生まれたゆえんである。
 ただ、最近は、距離適性を重視して、あえて菊花賞に向かわずに天皇賞・秋を目指す馬も出てきている。95年の皐月賞馬ジェニュインが菊花賞ではなく天皇賞・秋を選択して2着に入り、翌96年にバブルガムフェローが4歳馬(旧馬齢表記)として59年ぶりに天皇賞を制するに至って、その傾向はまま見受けられるようになってきた。その後も、サイレンススズカ(97年)、イーグルカフェ(2000年)が、菊花賞でなく天皇賞・秋をチョイス。そして、今年も、トライアル神戸新聞杯の勝ち馬シンボリクリスエスが天皇賞・秋を選択、菊花賞を回避した。
 3冠レースの最終戦ということは、もちろん3冠馬誕生の舞台となるレースなわけである(笑)。そのなかでも圧巻だったのは、2着のヤシマソブリンを7馬身ちぎって圧勝で3冠を決めたナリタブライアン(1994年)。また、シンボリルドルフは、史上唯一の「無敗の3冠馬」である(1984年)。92年にミホノブルボンは史上2頭目の「無敗の3冠馬」に挑んだが、ライスシャワーの2着に敗れて達成はならなかった。
 牝馬の優勝は2回。1943年のクリフジ(騎手:前田長吉)と、47年のブラウニー(騎手:土門健司)。95年にはオークス馬ダンスパートナーが牝馬としては久々に挑戦し、1番人気に推されたが、マヤノトップガンの5着に敗れた。
 昨年は、人気となったダービー馬ジャングルポケットは、スローペースに道中折り合いを欠き4着に敗退。勝ったのは、直線鋭い脚を見せつけたマンハッタンカフェ(騎手:蛯名正義)。春のクラシックは優先出走権を取れずに除外に泣き、菊花賞トライアルのセントライト記念も4着だった同馬だが、夏に札幌で2,600mの阿寒湖特別を快勝するなど長距離特性は抜群で、登録馬がフルゲートに満たなかったことも幸いして栄冠を掴むこととなった。その後、マンハッタンカフェは、有馬記念、天皇賞・春を制覇。ステイヤーとして実力を見せつけたものの、先日凱旋門賞の競走中に左前脚に屈腱炎を発症し引退することになった。なお、レースは、2着に11番人気のマイネスデスポットが逃げ粘ったことによって、馬連は菊花賞レコードとなる46,210円の万馬券となった。
 2000年から、それまでより開催が2週前へとシフトされた。ジャパンカップへのローテーションを中2週から中4週へと空け、そのことによってより強い3歳牡馬が参戦しやすくするための措置らしい。その年こそジャパンカップに挑戦した皐月賞・菊花賞馬エアシャカール、ダービー馬アグネスフライトはいずれも惨敗したものの、昨年はジャングルポケットがテイエムオペラオー、メイショウドトウ、ステイゴールドなどの歴戦の雄を抑えて快勝。菊の無念を晴らす形となった。

(過去10年間の勝ち馬)

年度 優 勝 馬 性別・
年齢
重量 騎 手 人気 タイム 馬場
状態
1992 ライスシャワー 牡4 57 的場均 R3.05.0
1993 ビワハヤヒデ 牡4 57 岡部幸雄 R3.04.7
1994 ナリタブライアン 牡4 57 南井克巳 R3.04.6 稍重
1995 マヤノトップガン 牡4 57 田原成貴 3.04.4
1996 ダンスインザダーク 牡4 57 武豊 3.05.1
1997 マチカネフクキタル 牡4 57 南井克巳 3.07.7
1998 セイウンスカイ 牡4 57 横山典弘 R3.03.2
1999 ナリタトップロード 牡4 57 渡辺薫彦 3.07.6
2000 エアシャカール 牡4 57 武豊 3.04.7
2001 マンハッタンカフェ 牡3 57 蛯名正義 3.07.2

   ★2000年までの馬齢表記は旧表記(数え年)を使用。
   ★タイムの「R」はレコード

    

(Ryuの予想)

   ◎ 6.ノーリーズン
   ○ 12.ローエングリン
   ▲ 14.メガスターダム
   △ 18.アドマイヤマックス
   △ 16.バランスオブゲーム
   △ 17.マイネルアムンゼン
   △ 2.ヒシミラクル
   △ 8.ダンツシェイク

 ダービー1〜3着馬の不在、トライアル勝ち馬の回避、といささか寂しいメンバー構成であるという印象もなくはないものの、それでも出走18頭はタレント揃い。いいレースになることを期待しましょう。
 ◎はなんといってもノーリーズン。モノが違うはずです。骨折明けの神戸新聞杯でいきなり2着したウマ、鞍上はユタカ、とあっては、買うしかありません。世間で見られているより、僕はこのウマはずっとずっと強いと思っています。皐月賞以降に見識を改めました。魅せてくれると思います。
 ○はローエングリン。神戸新聞杯14着で人気を落としていますが、あれは突発的な乗り替わりが原因だったと見ていいでしょう。難しいウマだと聞いています。急にお鉢が回ってきた武幸四郎騎手にはいささか気の毒だったと思います。今回は岡部さんですし、その点の不安はないでしょう。神戸新聞杯14着にばかり目を取られていると、前々走、古馬に混じって3着した宝塚記念を見落としてしまいますよ。力はあるウマだと思います。
 ▲、迷いに迷ってメガスターダムにしました。最後の最後まで「でも、父ニホンピロウイナーだよなあ…。いくらなんでも、3,000mは長すぎるんじゃないかなあ」という疑念を拭い去りきれなかったのですが、この際、血統には目をつぶります。いや、むしろ「ニホンピロウイナーの仔だからこそ、3,000mで好走してほしい」と思います。勝負…というよりは、むしろ「ロマン」ですかね。中距離戦で見せた力強さをどこまで発揮できるか、でしょうか。
 アドマイヤマックス、むしろ「距離不安」なのはこちらのほうです。強いウマだとは思いますが、素直に天皇賞・秋という手もあったのではないでしょうか。とはいえ、これだけの状態で出てきたからには、切るわけにはいきません。
 バランスオブゲーム、トライアル勝利は見事でした。父フサイチコンコルドという点では血統的に3,000mはいけそうな気がしますが、「強いけれど、GTでは何か1つ足りないのではないか?」という印象を捨て切れません。となると、評価はどうしても△程度に落ち着いてしまうんですよ。
 マイネルアムンゼン、穴臭さがプンプンします。こういうウマがノーリーズンのヒモになってくれるとオイシイのですが。
 ヒシミラクル、抽選通った強運と「5走前の売布特別(6月22日、阪神競馬場、芝2,200m)の勝ち時計2分12秒6は、同条件で行われた翌日の宝塚記念でダンツフレームが記録した時計を0秒3上回るものだった」という点を評価したいと思います。函館で2,600mのレースを勝利しているダンツシェイクぐらいまで押さえておきます。個人的には、夏に会ってきたマヤノトップガンの産駒であるバンブーユベントスも応援したいところなんですけど、馬券的にあんま手を広げられないので今回は見送りです。

(Ryuの買い目)

   (単勝)
    6.ノーリーズン 1,000円
   (馬連)
    6−12 1,000円
    6−14 1,000円
    6−18 1,000円
    6−16 500円
    6−17 500円
    2−6 500円
    6−8 500円

   (合計) 6,000円

(レース結果)

   天候:雨 馬場状態:良 

順位 枠番 馬番 馬名 性別・
年齢
重量 騎手 人気 タイム・
着差
ヒシミラクル 牡3 57 角田晃一 10 3.05.9
ファストタテヤマ 牡3 57 安田康彦 16 ハナ
14 メガスターダム 牡3 57 松永幹夫 1/2
アドマイヤドン 牡3 57 藤田伸二 2 1/2
16 バランスオブゲーム 牡3 57 田中勝春 クビ
レニングラード 牡3 57 池添謙一 3/4
13 バンブーユベントス 牡3 57 幸英明 13 3/4
ダンツシェイク 牡3 57 河内洋 1 3/4
10 ヤマノブリザード 牡3 57 柴田善臣 1 1/4
10 ナムラサンクス 牡3 57 橋本美純 14 1 1/2
11 18 アドマイヤマックス 牡3 57 後藤浩輝
12 キーボランチ 牡3 57 熊沢重文 18 10
13 11 タイガーカフェ 牡3 57 蛯名正義 11 2 1/2
14 17 マイネルアムンゼン 牡3 57 嘉藤貴行 12
15 15 シンデレラボーイ 牡3 57 福永祐一 15
16 12 ローエングリン 牡3 57 岡部幸雄 大差
17 ダイタクフラッグ 牡3 57 太宰啓介 17 大差
ノーリーズン 牡3 57 武豊 (中止)

  ★ 6.ノーリーズンは発走直後つまずき騎手がバランスをくずし落馬したため競走中止。
  ★ 4.ダイタクフラッグは競走中疾病(鼻出血)を発症。

   (単勝)2.3,660円
   (複勝)2.880円 7.2,250円 14.330円
   (枠連)1−4 8,390円
   (馬連)2−7 96,070円
   (ワイド)2−7 20,170円 2−14 3,680円 7−14 12,170円
   (馬単)2−7 182,540円
   (3連複)2−7−14 344,630円

 この日は箱根にドライヴ行ってたんですよ。ワカサギ食べに(笑)。で、レースはカーラジオで聞いてたんです。そして…そうです、聞いたんですよ、「あっと1頭落馬! ノーリーズンの武豊!」の一言を。ハイ、Ryuの菊花賞、1.5秒で終了。ま、こんなこともあるのが競馬なんだけどさ。
 それにしても、名手武豊をしても起こってしまった、今回のアクシデント…。まあ、実況聞いた刹那は「ふざけんな! 金返せ!」とブーブー言ってる状態だったんですけど、落ちようと思って落ちたわけじゃないし(落ちようと思って落ちてたらタイヘンだ。それこそ暴動起こるぞ(笑))、1番悔しい思いをしているのはきっと武豊自身なわけだし、もう責めないことにします。この先の騎乗で魅せてくれることで返してもらえればと思います。「人馬ともに異常なし」というのがせめてもの救いでした。
 勝ったヒシミラクル、強かったですねえ。なんでこんな強いウマが今まで条件戦をうろうろとしてたんだか(笑)。ツノちゃんも昨年ジャングルポケットで悔しい思いをした借りが返せたんじゃないでしょうか。
 ファストタテヤマ、最後の脚はお見事としか言いようがない。見くびってました。先々注目していきたいと思ってます。
 で、メガスターダム。今回僕が1番立派だったと思っているのはむしろこのウマです。いやよく頑張った。勝ち馬と0.1秒差の3着。ニホンピロウイナーの子供が3,000mのGTでここまで健闘するなんて。先のF1日本GPでフェラーリの某アゴ勇が言った言葉をパクるならば、「今回、我々は2頭の菊花賞勝ち馬を見ることができた。レースに勝ったヒシミラクルと、メガスターダムだ」と言っても過言ではないかと思います。松永騎手によると、最後に逆転されたのは「距離ではなく道悪が響いた」とのこと。今後も目が離せません。次走に注目です。
 ローエングリン、「気性的にまだまだ子供」と岡部さん。この大敗は…何が原因なんでしょうか。まだまだ見限るには早いとは思うんですけど。アドマイヤマックスは、ごっちんによると「敗因は距離としか考えられない」とのこと。適距離に戻ったら期待大です。次走はマイルチャンピオンシップかジャパンカップあたりでしょうか。

(最終収支決算)

   (支出)−6,000円 + (収入)0円 = (合計)−6,000円

   <今秋の合計> −12,780円(1勝2敗)

 

  

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