天皇賞・秋

(2002年10月27日 中山競馬場 芝2,000m)

 

(ごくごくかんたんなレースの説明)

 天皇賞は、春・秋共通で考えると、1937年12月3日東京競馬場で行われた「帝室御賞典競走」が第1回。優勝馬はハッピーマイト(騎手:新井朋次郎)。当時4歳(旧表記馬齢。以下、注記があるまでは全て旧馬齢表記)の牡馬で、その後4歳馬が天皇賞を勝つまでには実に59年の歳月を待たなければならなかったのである(まあ、「5歳上」の時期が長かったんだけど)。
 秋の天皇賞は、1967年に1回中山競馬場で開催されたのを除くと(記憶が確かなら、改修工事の関係が理由だったような…。ちなみに、そのときの勝ち馬は「稀代のクセ馬」といわれたカブトシロー(騎手:久保田秀次郎))、これまでほぼ一貫して東京競馬場で行われている。その天皇賞・秋が大改革を迎えたのが、グレード制導入元年の1984年のこと。それまで春同様に3,200mで行われていた天皇賞・秋は、この年から2,000mで行われることになったのである。この初めての2,000mでの天皇賞・秋(第90回)で勝利を収めたのが、史上3頭目の3冠馬ミスターシービー(騎手:吉永正人)。
 その後、87年からは4歳馬の参戦も可能となり、翌88年に4歳ながら2着に入ったのは、あのオグリキャップ。96年には、バブルガムフェローが59年ぶりに4歳馬として制覇。後に3強と言われたサクラローレル、マヤノトップガン、マーベラスサンデーを抑えてのことだった。そして、97年、牝馬としては80年のプリティキャスト以来17年ぶりにエアグルーヴが勝利。もちろん、2,000mになってから牝馬が勝つのは初めてであった。
 2000年から、JRAのレース開放計画にのっとって、天皇賞は春・秋ともに一定基準を満たした外国産馬が2頭の枠で出走可能となった。この天皇賞・秋は、「GT勝ち馬(2歳戦(ここより後は現在の馬齢表記)を除く)」「当該年度の『オールカマー』『毎日王冠』『京都大賞典』の勝ち馬」が出走可能となる。外国産馬の参戦が1頭もなかった春と違い、昨秋にはイーグルカフェ(2000年NHKマイルカップ)、メイショウドトウ(2000年オールカマー)の2頭の外国産馬が出走。そして、メイショウドトウは2着に入り、外国産馬としては久々(1972年〜99年の間、外国産馬には天皇賞の出走権がなかった)の連対となった。
 レース自体は、例年は、「東京芝2,000m」という、秋華賞の「京都芝内回り2,000m」に匹敵する難コースで行われていた。勝負は、何といっても、「急に狭くなるよう」と各騎手が口にする1コーナー〜2コーナー、あとは東京名物の長ーい直線…だった。
 ところが! 東京競馬場の改修工事実施に伴い、今年、天皇賞・秋は35年ぶりに中山競馬場で開催されることとなった。前回の67年は芝3,200m時代のことであり、「中山芝2,000mでの天皇賞・秋」は初めてのこととなる。左回りから右回りに変わること、1〜2コーナーでの不利がなくなること、急坂があること、直線が東京と比べて短いこと…などから、レースの性格はそれまでの天皇賞・秋とは一変するものと推測されている。
 ちなみに、このレースは、1番人気馬がことごとく敗れ去るレースとして知られ、87年にニッポーテイオーが勝利して以降、88年から99年まで1番人気馬はなんと12連敗。シンボリルドルフはギャロップダイナに出し抜けを食らい2着に甘んじ(85年)、メジロマックイーンは1着入線するも進路妨害で18着降着となり(91年)、ビワハヤヒデは競走中に故障を発症し5着と敗れ(94年)、サイレンススズカは3コーナーで「悪夢」に見舞われて永遠に未来を奪われてしまい(98年)、セイウンスカイは枠入不良が響いたのか5着に惨敗した(99年)。
 しかし2000年、「現役最強馬」の呼び声高い断然の1番人気テイエムオペラオーは、そのようなジンクスをもろともせずに完勝。2,000mとやや距離不足の感のあるレース(2,000m以下のレースに出走するのは皐月賞以来)、日本ダービー以来の東京コース、初めて経験する重馬場、7枠13番の外枠、前走京都大賞典を完勝した反動…など、様々な不利を囁かれるなか、「府中の森の悪魔伝説」にピリオドを打つこととなった。テイエムオペラオーは、天皇賞・秋2連覇、そして前人未到の「天皇賞4連覇」を賭けて、堂々の2年連続1番人気でレースに臨んだものの、大外を急襲したアグネスデジタルに屈し2着、天皇賞4連覇はならなかった。同じく天皇賞・秋に登録していたクロフネを除外に追い込み(外国産馬出走枠2頭の関係で)、レース前にはやや悪役を買わされてしまっていた感のあったアグネスデジタルだったが、その末脚の鋭さには誰もが納得させられる形となった。外国産馬の天皇賞Vはなんと45年ぶり(1956年秋(第34回)、ミツドフアーム(騎手:保田隆芳))のことであった。

(過去10年間の勝ち馬)

年度 優 勝 馬 性別・
年齢
重量 騎 手 人気 タイム 馬場
状態
1992 レッツゴーターキン 牡6 58 大崎昭一 11 1.58.6
1993 ヤマニンゼファー 牡6 58 柴田善臣 1.58.9
1994 ネーハイシーザー 牡5 58 塩村克己 1.58.6
1995 サクラチトセオー 牡6 58 小島太 1.58.8
1996 バブルガムフェロー 牡4 56 蛯名正義 1.58.7
1997 エアグルーヴ 牝5 56 武豊 1.59.0
1998 オフサイドトラップ 牡8 58 柴田善臣 1.59.3
1999 スペシャルウィーク 牡5 58 武豊 R1.58.0
2000 テイエムオペラオー 牡5 58 和田竜二 1.59.9
2001 アグネスデジタル 牡4 58 四位洋文 2.02.0

   ★2000年までの馬齢表記は旧表記(数え年)を使用。
   ★タイムの「R」はレコード

 

(Ryuの予想)

   ◎ 10.テイエムオーシャン
   ○ 8.シンボリクリスエス
   ▲ 1.ナリタトップロード
   △ 7.ツルマルボーイ
   △ 6.エイシンプレストン
   △ 17.サンライズペガサス
   △ 11.イブキガバメント
   △ 9.ブレイクタイム

 札幌記念終了直後から決めてたんですよ、テイエムオーシャン◎って。それなのに…1番人気とはなにごつ。
 とにかく、前走は見事の一言でした。+38kg(←おでぶ…)も何のその、堂々の勝利。ここにきてもはや不安材料はないでしょう。不動の◎ということで、ここから流していきます。
 ○はシンボリクリスエス。こちらも前走神戸新聞杯は圧巻でした。ダービー2着馬が菊花賞を捨ててあえてこちらをチョイス。勝負気配がプンプンします。
 さて、それ以降。最初はナリタトップロードは消す予定だったんですよ。理由? カンタン。「雨だから」でした。道悪はこのウマからっきしですしね。でも、思いの他に馬場の回復は早いみたいで、本番は良馬場予想とのこと。だとすると…このメンバー構成じゃ買わないわけにはいきませんな。鞍上が圧倒的に強化されているのも魅力の1つ。今までの主戦なら大きくマイナス査定でしたけど。
 ツルマルボーイ、力はつけてきている印象です。宝塚2着の実績もあることに加えて、河内騎手にはこれが最後の天皇賞・秋となる可能性大とあっては、買わずにはいられません。
 エイシンプレストン、いいときの状態には今1つのような印象もあるんですが、もともと地力のあるウマですし、2着なら充分あるのではないでしょうか。
 サンライズペガサス、3,200mよりは圧倒的に2,000mのほうがいいですね。スパッといく脚もあることだし、ゴール前の急坂は阪神で克服済でもあることだし、いいんじゃないでしょうか。
 イブキガバメント、昨年も△を打ったんですが、臭うんですよ、なんとなく。橋口厩舎3頭出し(ロサードはさすがに今回はキツいだろうなあ…)の人気薄でもあることだし、オッズ的にもかなりおいしいので押さえます。
 ブレイクタイム、これも力つけてますよ。松永騎手によれば「ベストはマイルだけど、2,000mもこなせるはず」とのこと。これまたオッズ的に相当おいしいので押さえます。

(Ryuの買い目)

   (単勝)
    10.テイエムオーシャン 1,000円
   (馬連)
    8−10 500円
    1−10 500円
    7−10 500円
    6−10 500円
    10−17 500円
    10−11 300円
    9−10 300円
   (ワイド)
    8−10 500円
    1−10 500円
    7−10 500円
    6−10 500円
    10−17 500円
    10−11 300円
    9−10 300円

   (合計) 7,200円

(レース結果)

   天候:晴 馬場状態:良 

順位 枠番 馬番 馬名 性別・
年齢
重量 騎手 人気 タイム・
着差
シンボリクリスエス 牡3 56 岡部幸雄 1.58.5
ナリタトップロード 牡6 58 四位洋文 3/4
17 サンライズペガサス 牡4 58 柴田善臣 クビ
14 エアシャカール 牡5 58 武豊 1 1/4
13 トーホウシデン 牡5 58 O.ペリエ 11 クビ
11 イブキガバメント 牡6 58 横山典弘 10 1 1/2
テンザンセイザ 牡4 58 田中勝春 17 ハナ
エイシンプレストン 牡5 58 福永祐一 1/2
ブレイクタイム 牡5 58 松永幹夫 クビ
10 15 アグネススペシャル 牡5 58 蛯名正義 12 クビ
11 ツルマルボーイ 牡4 58 河内洋 ハナ
12 18 ロサード 牡6 58 後藤浩輝 15 クビ
13 10 テイエムオーシャン 牝4 56 本田優 1 1/4
14 16 ダンツフレーム 牡4 58 藤田伸二 3/4
15 アグネスフライト 牡5 58 勝浦正樹 16 1 1/4
16 トラストファイヤー 牡4 58 江田照男 13 3/4
17 アラタマインディ 牡5 58 飯田祐史 18 3/4
18 12 ゴーステディ 牡5 58 吉田豊 14 1 3/4

  

   (単勝)8.650円
   (複勝)8.200円 1.190円 17.200円
   (枠連)1−4 1,000円
   (馬連)1−8 1,720円
   (ワイド)1−8 700円 8−17 1,040円 1−17 910円
   (馬単)8−1 4,020円
   (3連複)1−8−17 5,640円

 うーん…人気をかぶりすぎたのかなあ、テイエムオーシャン。過剰評価だったとは思えないんだけどなあ。スタート直後に若干行きたがるようなそぶりを見せたのを除いては道中順調そうだったのですが…直線で手ごたえなくなって失速したのは…なんでなんでしょうね。まあ、もしかしたら、あの札幌記念の完勝でマークがキツくなってしまったのかもしれませんね。馬体減はさほど影響はなかったのではと思うのですが。
 勝ったシンボリクリスエス、いや天晴れ。最後は力強く抜け出しましたね。「順調に稽古を消化できたのが勝因」と岡部さん。いや、ウマも立派だけど、あなたも立派ですよ。御年54歳ですもんな。
 ナリタトップロード、勝ち馬には1歩届かなかったものの、力は見せてくれたのではないでしょうか。ただ、良発表とはいっても、前日の雨に多少馬場が影響されていた面があったのかもしれません。だとしたらホント気の毒。
 余談ですが、今回の私は日曜出勤でして、初めて「携帯で馬券を買う」という芸当にチャレンジしました。…しなきゃよかった(笑)。早くも今秋大ピンチ。今回なんて○▲での決着なのに収入0円ってどういうこっちゃ。

(最終収支決算)

   (支出)−7,200円 + (収入)0円 = (合計)−7,200円

   <今秋の合計> −19,980円(1勝3敗)

 

  

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