現在の湯零し草庵をみる?
昔の湯零し草庵を見る?
音楽取調掛亭に戻る

《3月11日(木)》

 WOWOWで「私の男」をみる。特に見るつもりはなかったんだけど、なんとなく。R指定だったし、というのは特に理由では無し。多分。

 まぁ、娼婦の話だから、そういうシーンが出てくるのは当然。

 しかし、この映画はどういうジャンルになるんだかよくわからんなぁ。ファンタジー? コメディ? 終盤の展開をどう捉えれたらいいのかいまいちよくわからんかったんだな。

 ジャンル分けには意味がないってのはわかってるんだけど、そういうのが無いと不安になるダメなオレ。

 そんなことをつくづくと思わされた一夜だったのでした。

《3月12日(金)》

 「京都ぶらりひとり旅」

 なのだ。傷心旅行である。嘘である。

 まずは朝一で龍安寺へ行ったのであります。そう、石庭ですな。
 朝はやいだけあって誰もいない………わけではなく、外国人旅行者の先客がひとり。
 お互い微妙な距離を保ちつつ、腰を下ろしてぼーっと庭を見る。

 小一時間ほど見続けていると、

 お腹が冷えました。(おぃ

 しかし、さすがに高名な庭だけあって、飽きないね。うん。
 で、わかったことは「石庭に行って、庭を見ず」。

 最初はどうしても石の造形だとか、配置だとかに気を取られるんだけど。「やっぱ15個は見えないなー」なんて子供なことを思ってみたり。
 しかしそれもだんだん気にならなくなってきて。そこからでしょうね、この庭は。

 深い思索の果てに造られた庭なんで、「石庭」だけを見ると調和がとれすぎな面もあるように思うんだけど、周りの板塀、背後の林との関係性で「開いてる」ところがいいね。そこまで計算してたのか? してるんだろうなあ。

 で、身も心もすっきりしたところで次は金閣へ行くのだぁ。鹿苑寺は行ったことがなかったのだ。

 こっちはすでに観光客でいっぱい。やだねぇ。あ、俺もそのひとりか。
 金閣を始めてみた感想は、「嘘っぽい」。なんか近くで見てもプラモデルな感じでさ。いろんな意味でリアリティが失われてるよね。
 それが狙い? 非現実的といや確かにそうだもんね。

 でも、特に感慨はわかなかったなぁ。教科書とかで見てた方が幻想的ではあったわな。
 やっぱ金閣は木々の間からとか一部が見えてる方が良いね。近くで見るより。

 つづいて、山道をひいこら言って登った先にあった圓通寺(円通寺)へ。

 もともと行くつもりはなくて、途中立ち寄ったコンビニでぱらぱらと見た地図に載ってたんで、通り道だしということもあり行ってみたんだけど。
 想像以上に山道で疲れたよ。まるでサニータウンさ(謎。

 しかし、なんの予備知識も仕入れずに行ったもんだから、寺内から庭を見たときは思わず声をあげてしまったんやね。

 めちゃめちゃ綺麗。

 やー、びっくりしたね。絶景かな絶景かな。
 さすがに後水尾天皇が長い間かけて探し当てたスポットだけあるわな。

 ここでも飽きずにずーっと庭を眺めちゃってたよ。また来よう。

 つづいてホントはこっちに行くつもりだった妙満寺へ。

 圓通寺の庭がかなりキてたもんで、こっちの「雪の庭」(これも有名なんだけど)はちょっちあれだったな。
 非常に力強い、意思の感じられる庭なんだけど、ちょっとごちゃごちゃしすぎかな。

 そうそれと、こないだ行った道成寺の鐘がここには置いてるんで、それも見る。

 そして本日最後のスポット詩仙堂へ。

 例の鹿おどしに庭ですな。ここの庭は降りられるようになっていて、散策。つっても花は無く、当然雪もない非常にダメな時期なんだね、今は。
 でもそのぶんしみじみと。

 そんなわけで、終了。約半日。とにかく印象に残ったのは圓通寺だなぁ。

 うーん、やはり寺巡りはいいなぁ。とか思うじじい風味。

《3月13日(土)》

 2丁目劇場が閉館するという。

 関西の、特に僕ぐらいから下の世代にとっては、ちょっとした衝撃的なニュースである。

 知らない人に説明しておくと、2丁目劇場とは大阪は心斎橋2丁目にある小さな劇場で、吉本興業の若手の活動の中心となっている劇場である。

 ここからはダウンタウンを始め様々な芸人が育っていった。

 その劇場が閉館するという。

 なんだかんだいって、僕にとって2丁目劇場とは、やはりダウンタウンであり「4時ですよ〜だ」である。

 「4時ですよ〜だ」が終了して10年、それと舞台であった2丁目劇場の閉館ということもあって、本日「ダウンタウンですよ〜だ」という特別番組が放送された。
 当時の出演者達と過去の思い出話や暴露話を繰り広げるという、ダウンタウンにとっては珍しい非常にドメスティックな放送となった。聞けば、スタッフも当時の人間だという。
 その一種同窓会的な幻想に飲み込まれたか、松本のキレがいまいちだったのはご愛敬。

 しかし、松茸が見れたのはうれしいけど、ひろしとベムもみたかったなぁ。

 いっそビデオにでもして発売してくれないかしらん、とか思ったけど、第一回の放送の映像が流れたときのテロップ「この映像は家庭用ホームビデオで撮影したものです」というのを見て諦めた(^^;。

 それはともかく、やはり僕にとっては「全員集合」でもなく「ひょうきん族」でもなく「生生生生ダウンタウン」でもなく、やっぱ「4時ですよ〜だ」なんだよなぁ。

 その劇場が取り壊されるそうだ。

 番組ラストでの松本の発言「なんか持って帰りたいなぁ」というのは、すっと出た本音なんだろうなぁ。

 それを聞いてなぜだかひどく泣けてきた。

《3月14日(日)》

 「市民ケーン」を見た。

 「名画ベスト10」なんてものには必ずといっていいほど選ばれているこの作品、名前はよく聞くけど見たことがなかったんだよね。
 そういう人って結構多いはずだ(決めつけ。

 さて感想。

 古い作品(1941年)にもかかわらず、非常にテンポのいい作品で驚き。カット割りとか全然現代でも通用するよなぁ。
 いろいろ斬新な手法を使ってるんだけど、それが「実験的」にならず、脚本に寄り添ったものであるところが唸らされるよなぁ。劇中劇もいい感じ。好きよ。

 当時の新聞王を批判(?)したストーリーだそうだけど、その「当時」を知らない今見ても十分面白いんだな。
 逆に公開当時だとそのスキャンダラスな面だけがクローズアップされたのかもしれず。にんともかんとも

 最後の"オチ"は解釈はどうするべきなのかなぁ。表面どおりにうけとっていいものかしらむ。

 オーソン・ウェルズは天才なんでしょうか?

《3月15日(月)》

 「パーフェクトブルー」を見た。

 公開当時評判が良かったように記憶するんだけど、なるほど、たしかになかなか面白かったのだな。
 とくに終盤の映像はなかなかに面白いね。

 ただ、現実<>ドラマの混濁、というか視聴者へのひっかけつうのかな、は少々しつこい気はしたけども、だ。

 とゆーことで、今日読んだ本の感想。

鮎川哲也『りら荘事件』(講談社文庫)

◇あらすじ◇
 秩父の山荘に7人の芸術大生が滞在した日から、次々発生する恐怖の殺人劇! 最初の被害者は地元民で、死体の傍にトランプの“スペードのA”が意味ありげに置かれる。第二の犠牲者は学生の一人だった。当然の如くスペードの2が………。
 奇怪な連続殺人を、名探偵星影竜三はどう解く? 巨匠の本格傑作。
(文庫カバーより)


 「とにかく本格が読みたいんだオレはっ」ということで、本棚の奥から引っぱり出してきたこの作品。じつは再読なのです。
 でも、すっかり忘れてるんだな。新鮮な気分で味わえたんだな。

 しかしまぁ、古くさい文章です、ええ。まぁ、実際古い作品なんだからしゃあないんだけども。

 星影竜三つうネーミングセンスもすごいっす。

 その他にもつっこみは山ほど入れられそうです。特にクローズドサークル物でありながら、警察やその他の人間が思いっきり出入りしてるところがイカしてます。

 でもまぁ、そういうつっこみは「本格」の看板の前には無用の長物なんですな。
 そう、この作品は本格に身も心も捧げたものなんでしょう。

 で、本格というと昨今のバカミスやら某島田先生ばりの大トリックを思い浮かべる人もいるんでしょうけど、「りら荘事件」のトリックは小粒です。クイーンのうようなロジックもなし。
 なんだけど、その小粒のトリック達が非常にいい感じなんですわ。どの事件でもそれなりのトリックを考えてはるんですな、鮎川先生。
 そんなこんなで非常に好感が持てる構成なんですね。

 「不倫問題」なんかは感心しちゃったし。

 そういうわけで、本格好きにゃマストの一冊。

《3月16日(火)》

 CDを入れるための箱なんかを買ってみたり。重すぎ。

 でも、これで随分部屋がシェイプシェイプ。

 なんでも梅田にやたらとでかい書店がオープンするそうで。ジュンク堂。

 ところで、「淳久堂」の名前の由来を知ってるかい?

 創業者のオヤジはもともと本屋を始めることに反対だったそうで。そのオヤジに反発して店を作った時、「よーし、親父の名前を使ったろうぢゃん」ということで、親父の名前は「くどう じゅん」。ひっくり返して「じゅんくどう」。これホントの話あるよ。

 以上、知らなくても生きていけるが知っていても役に立たない、豆知識のコーナーでした。

《3月17日(水)》

 TVも新聞もラジオもない一日。当然ネットにも繋げず。おかげで散髪屋のラジオでニュースを聞くことになる。

 しかし、やはり現代人はメディアとは切っても切り離せない関係なんだな、と一日だけながら思ふ。

《3月18日(木)》

 自転車をキコキコ漕いでると、バイクにあてられた。痛かった。

 でも、「これで日記に書くネタが出来たぜ。ニヤリ」と思ってしまうワタシハ一人前ノweb日記書きナノデショウカ?

 久しぶりに晴明神社に行く。なんかいかにも観光客な女性のグループがいたんだが、やっぱ京極ファンな人達なのかっ?
 別にどーでもいいけど。ゲップ

 その後梅田へ行って、うろうろウロウロ。へとへと。なんでこんなに疲れなあかんねや。もう行かんとこかな、と思ってみたり、思っていたり。

 そんなわけで、中古盤屋によって2枚ほど購入。

ゴドレイ&クレーム「BIRDS OF PREY」

 安かったんで。

 ギズモってどんなの?

YES「危機」

 安かったんで。
《3月19日(金)》

 17日にWOWOWで放送されたBjorkのライヴ。ビデオに録っておいたのを本日鑑賞。

 メンバー、衣装等8月のフジロックと同様、曲目は少々違ったかにゃ。

 しかし、やはり素晴らしいねぇ、Bjork姉さんは。フジロックの時に感じた「神々しさ」はそれほど感じなかったけども(まぁ、あれはあの日あの時だったからこそ増幅されたものなんだろうけど)、生き物・Bjorkっつうのがびしばしと。

 変な生き物だぜ、いやまったく。参りますわ。参りましたわ。

 しかしWOWOWとはいえなかなかにクォリティの高い映像で良きこと哉、哉、哉。普通にビデオとして売ってもよいよ。よいよよいよいよい。
 まぁ、姉さんは出来に何か不満があったら、とにかく映像も音も出さない人だから当然なんだけどねぇ。フジロックの放送時もそのせいで彼女の出演シーンは削られたそうだし。

 そういや、昨日買ったゴドレイ&クレームだけど、いや、聴き込んでみるとなかなかいいかもしんない。さすがに「アルバム通して超もえ〜」つうのはないんだけど、結構気に入った曲があるんだな。許可。
 前半が良いね。ぇぇ。

《3月20日(土)》

 心斎橋。

 ぶらぶらと。で、ちょっちレコ屋に寄ったんやけど、いやすごいね。

 宇多田ヒカル。

 「アルバム緊急入荷!」とかって書いてたんで、店をちらっと見てみたら、なるほど確かに平積みに。
 で、これがどんどん売れて行くんだ。あっと言う間に無くなるんだ。レジに並んでる客を見たら、み〜んなアルバムが手にあるんだ。

 うーん、これがミリオン売れちゃう勢いなんでしょうなぁ。レコ屋に行ったらついついなんかマニアックなのを探してしまう自分にはちょっち異世界。カルチャーギャップ。なのです。

 あたしゃ、ろくに聴いたことはないんだけど。でも、ひとつ思うのは、彼女が藤圭子の娘じゃなかったらもっと良かったのになー、と。

 何かしたり顔でしゃべるフクトメがむかつくぢゃん。

 家に帰ると姉ちゃんがアルバムを聴いてましたとさ。

《3月21日(日)》

 てなわけで、明日から一週間ほど日記の更新はしないのである。つうか、ネットに繋げられないんだな。「メール送ったのに返事が来ない!!」とか言ってお怒りになられませぬよう。

 とゆーことで、今日読んだ本の感想。

清涼院流水『エル 全日本じゃんけんトーナメント(幻冬舎)

◇あらすじ◇
 今年も全日本じゃんけんトーナメントの季節がやってまいりました。ここ極楽ドームにお集まりいただいた7万人もの観客の皆さまの前で、決勝トーナメント進出者1024人が覇を競います。
 本日この場所で決定する今年の『ジャンケン王』は、はたして誰か? この特別な一日を、最後までごゆるりとお楽しみください。

 それでは1回戦を始めましょう。………日本が誇る、史上最大のエンターテイメント・ショウ。第13回全日本じゃんけんトーナメントへようこそ!
 〜主催者『L』あいさつより〜

(カバー裏より)


 なんだかんだ文句を付けながらも、なぜだかずっと読み続けちゃってる清涼院流水。

 講談社でのJDCシリーズではないこの作品。いや、なかなか面白かったじゃないっすか。薄いし。

 JDCのほうでの「くだらないトリック」やら「無駄な分厚さ」やら「キャラに寄りかかりすぎ」がない分、読みすすめやすかったしねぇ。薄いし。

 で、この本にも清涼院らしく仕掛けがあるんだけど、これは特にたいしたことなかったな(^^;。『19ボックス』の時のように「どうなってんだ?」ってのもどうかと思うんだけどさ。薄いし。

 そんなわけでこれまでの清涼院の著作から発せられていた異様なオーラにしり込みしてた人は、これから読むと読みやすいかもしんない。入門書ってところでしょうか。薄いし。


<<<前       次>>>