そうか、バックアップCD-ROMって

少し前に、mobio NXでクラッシュしたWindows 95を修復するのに使うバックアップCD-ROMが、実は頼りにならなかったという話をしました。今週、ようやく純正のCD-ROMドライブ (PC- 9821N- CD01X)が手に入って、前回の再セットアップで起きた問題の全貌が明らかになりました(って言うほどの話ではないのだが)。なんのことはない、マニュアルの手順を忠実に追っていけば、わざわざサービスセンターに電話するまでもなく、純正のCD-ROMドライブが必要であると気がついたはずなのです。

手元に届いたCD-ROMドライブは、なんの変哲もないSCSI対応のPCカード付きのものでした。おいおい、これでは、そこらのCD-ROMドライブと何が違うんだ。しかし、これを使って再インストールをしてみたら、前回気がつかなかった点が明らかになった。やっぱりこれでないと、マニュアル通りにはインストールできないんだな。まず、マニュアルのP63「再セットアップするには」から話は始まります。ページをめくると、「別売のCD-ROMドライブ」とフロッピードライブが必要と書いた後に、データのバックアップしろとか、ネットワークから外せとか、周辺機器を外せといった注意が続きます。で、P64の「標準再セットアップ」の項目に進む。ここから番号に従って手順が説明されています。まずデータのバックアップは、前回DOSモードでやりました。次に、必要なCD-ROMとか、システムインストールディスクを用意するというのも、問題ない。そして、複製したシステムインストールディスクをドライブに入れて再起動する。ここで、フロッピーディスクから再セットアップソフトが自動起動します。ここからが私の間違いの始まりでした。

私は、起動したソフトの表示にしたがって、ハードディスクの初期化に進んだのですが、マニュアルにはまだ先があったのです。次のP69には、起動したばかりの再セットアッププログラムをF3キーで止めて、DOSプロンプトから手でSCSI01Xと入力しろと書いてあったのだな。このおまじないは、「別売のCD-ROMドライブ」のセットアップディスクからドライバーをインストールディスクにコピーして、config.sysとautoexec.batを書き換えるバッチ処理なんです。もし、あのとき私がこれをしていたら、多分、持っていたSCSIインタフェースカードのフロッピーを差していたから、バッチソフトが「これは、セットアップディスクではない」と表示しておしまいになっていたでしょう。そして、SCSI01Xなるコマンドが何かを調べれば、こいつは純正のCD-ROMドライブしか前提にしていないことに気がついたでしょう。結果的に、このマニュアルは「別売のCD-ROMドライブ」がPC- 9821N- CD01Xであることを明記しないという不親切はあったものの、それを除けば間違いを書いているわけではなかったのです。確かに、純正のドライブをつなげば、再インストールできたからね。

今回のトラブルの教訓。

  • ユーザーは、どんな末期的パソコンを目の前にしていても、冷静にマニュアルの記述を順番に追わなくてはいけない。でも、こいつは難しいと思うなぁ。
  • メーカーが「別売のCD-ROMドライブ」などというあいまいな表現を使うと、ユーザーは勝手に自分のドライブがそれだと思い込む。お馬鹿と呼ばないで(^^;。
  • ユーザーの注意が、マニュアル上の説明からパソコン画面上の説明に移ってしまうようなマニュアルの設計は、容易に誤解を招く。

特に、最後の教訓は人間工学的にも大事な点だと思います。ユーザーは、ソフトが起動すると画面の文字に目が移り、そこに書いてあるガイドに従うようになります。たとえ、正しい手順が冊子の方に書いてあったとしても、ディスプレイの指示に注意が移っていますから、そちらは読まないかもしれません。こうした問題は、ソフトにディレクトリ上のドライバをチェックさせて、「CD-ROMドライブのソフトがインストールされていません」と注意書きを表示させるだけで済むはずです。なんで、そうしないのだろう。CD-ROMドライバがインストールされていないと、絶対に最後まで行かない仕組みのはずなのに。

なんか、今回の話は疲れました。ただ、ここに書いたことはNECを非難するものではありません。一般的に、ユーザーに親切な設計というのは、実際にユーザーがトラブルに陥らないと分からないものですから。実は、私の職場の某氏のLibrettoも、時を同じくしてWindows 95がクラッシュしました。彼のは、まだ修復できていません。東芝のマニュアルには、持っているCD-ROMドライブのドライバをセットアップディスクにコピーして、config.sysを書き換える手順も書いてあるそうですが、その通りにしてもCD-ROMドライブが認識できないとか。NECは純正のドライブに限定したバッチファイルを用意することで、少なくともその組み合わせならうまく行く環境を選んだわけです。NECと東芝のどちらが、ユーザーにとって親切であるかどうかは一概に言えません。なにはともあれ、トラブルの置き土産として、私の手元には49,800円なりのCD-ROMドライブが残りました。職場の某氏は、このドライブを使ってconfig.sysをまねすれば、Librettoも修復できないかともくろんでいます。うん、そっちの方が賢いかも(笑)。

1998.02.06
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