テレビ電波にhtmlデータをのせて、番組をインタラクティブでマルチメディアな(^^;ものにしようという動きがアメリカでは進んでいるようです。これは、インテルが提唱しているインターキャストという技術で、インテルのWebページの記事を引用すると「ユーザーは、Intercast技術に対応したパソコン上で、通常のテレビ番組信号と一緒に送信されてくるマルチメディア情報にアクセスし、その情報をディスプレイ上に表示することができます」ということらしい。テレビを見ている画面に、そんなものを表示するスペースがあるのか、なんて疑問はともかく、これを使うと、テレビ番組の通信販売コーナーのWeb画面で、製品の詳細な情報を調べたり、3D画像でデザインを確認なんてことが可能になるのでしょうね。データはどうやって送られるかというと、テレビの映像信号のVertical Blanking Interval (VBI)という部分をつかうのだそうだ。詳しいことは分からないですが、確かテレビの信号には映像データの無いタイミングがあるので、そこにWebページのデータを挟むようです。インターキャストでは、10本あるVBIの内の3本を使って28.8kbpsモデム並の転送速度を実現するのだそうな。

実は、このインターキャストの話は、Windows 98にもからんでいるのです。これまでのところ、インターキャストの放送は限られていて、それを受信するにも、一般ユーザーが簡単に導入できるものではなかったようです。ところが、もうすぐ売り出されるWindows 98にはテレビチューナボードの拡張機能がつくのだそうで、Windows 98をインストールしたパソコンに、インターキャスト対応のチューナーボードを入れると、その日からインターキャストが使えるということになるらしい。先日、「インテルとMSがパソコンテレビで協力」というニュースが出ていたのも、これですね。以前からマイクロソフトは、WebTVを買収したりして放送に興味を示していたようですから、今度はインターキャストをWindows 98に取り込んで、全ての家庭でマイクロソフトのOSを動かそうという野望を実現しようとしているのでしょうか。そして、パソコンでテレビを見るという発想は、さらにデジタルテレビへの思惑もからんで、パソコンメーカーも巻き込んでいるようです。

デジタルテレビ放送というのは、今のテレビ放送が、映像をアナログ信号(強弱の連続した信号)で放送しているのに対して、一度デジタル信号(強弱を数字にした信号)に変換してから放送する方式です。この方式を使うと、データの圧縮が可能になるので、高精細な画像を送ることもできるし、いままでの放送よりも、同じ周波数幅で多くのチャンネルが送れるようになります。ただし、今までのテレビでは受信できないので、新しくデジタル放送に対応したテレビを買う必要があります。ここで、送られてくる信号がデジタルということは、インターネットでビデオ放送を受信するのと似たようなものですから、もはや受像器がテレビである必要はないわけです。例えば、パソコンはすでにテレビカメラから動画を取り込むこともできますから、テレビ受像器となるだけの能力があると言えます。そんなわけで、アメリカではデジタルテレビの規格に、パソコンメーカーも影響力を強めています。さらには、インテルなどは、デジタルテレビのアーキテクチャはパソコンと同じであるべきだという発想で、テレビ用のCPUまで発表している。こうなると、デジタルテレビは、テレビ売り場で買うべきなのか、パソコン売り場で買うべきなのか迷ってしまうことになるかも知れませんね。

以前この欄に、「インターネットがテレビにつながるとき」と言う題で、各家庭の全ての部屋にネットワークに接続されたテレビが置かれる時代が来ると書きましたが、実は、たくさん買わないといけないのはテレビではなくて、テレビも映るパソコンになるかもしれませんね。あるいは、パソコンソフトも動くテレビなんだか(^^)。パソコンで野球番組を見ていると、画面の端にWebのアイコンがくるくる回っている。リモコンのキーを押すと、画面にWebページが表示されて、他球場の途中経過が表示される。今度は、アナウンサーが他球場でホームランが出ました、様子はビデオアイコンをお使いください、と案内する。早速、ビデオアイコンをクリックすると、そのときの様子が小さな窓にビデオ映像で表示される。あるいは、野球番組のWebページから、並行して走っているサッカー番組にジャンプするなんてことも起きるでしょうね。なんせ、デジタルになると地上波だけでもチャンネルは三倍に増えるようだから、番組選びもWeb画面でするようになるでしょう。まあね。こういう生活も楽しいかも知れませんが、一番心配なのは、どの家庭のテレビにもインテルインサイドのシールが貼られ、スイッチを入れるたびに、マイクロソフトのロゴが表示される時代になるんじゃないかって事かもね(笑)。