やったぁ、ついに日本語Windows 98が手に入るぞー。みんなで買いに行こう。でも、買う前に、自分のパソコンにインストールして動くかどうか調べたほうが良いようですよ。このマイクロソフトのページには「Windows 95個人ユーザーの約8割がWindows 98を利用する意向」なんて書いてありますが、その8割の内、ちゃんとインストールが完了する人は半分かもしれません。さらに、インストールできても、以前と同じように使える保証はないのです。すでに、先行して発売されているアメリカでは、なぜ、まともにインストールできないものを売るのかという声と、いや、ちゃんと動いているし前よりも性能がいいと言う声が入り混じっています。そして、どうやら、トラブルに巻き込まれる理由の多くは、ハードウエアが対応していない、ドライバーが無いという、Windwos 95発売当時に起きた問題の繰り返しです。つまり、ここでも、またまた、OSがパソコンをゴミにする現象が起きているのです。 CNETの調査では、アップグレードした人の46%がトラブルに合っていると報告しています。これは、市販されたソフトウエアの起こした問題としては、異例なほど大きな数字だと言えます。OSだからパッケージソフトとは比べられないにしても、これほどの割合でインストール時にトラブルがでたソフトはまれでしょう。最初に紹介したマイクロソフトのWebページでは、動作可能なパソコンとして「486DX/66MHz以上(Pentiumプロセッサ以上を推奨)を搭載したPC/AT互換機」と書いてありますが、おなじCNETの調査では、486でのアップグレードは大変困難であるとも報告されているのです。ですから、マイクロソフトの宣伝につられて買うまえに、自分のパソコンが486マシンであったら諦めたほうが良いでしょう。もちろん、あなたが再インストールマニアであれば、話は別ですが。この問題は、単純にCPUのパフォーマンスが悪いという話ではなく、パソコンを動かすための基本的ソフトであるBIOSがWindows 98に対応していないとか、既に使っている周辺機器のドライバーが対応していないといった、もっとシリアスな問題です。遅くてもWindows 98を使ってみたいから買いたいという希望も、Safeモードでしか起動できないのではかなえられたことにはならないでしょう。 以前この欄で、Windowsはインストール前に互換性リストでチェックが必要だという話を書きました。これは、Windows 98でも同じことです。ちなみに、Windows 98の互換性リストはここにあります。この表(システム)は、動作確認されている、あるいは問題が分かっているパソコンを並べたものですが、むしろインストール時の問題が具体的に見えてくる資料でもあります。表の中で、nkpと書いてあるものが動作しているもの。−(マイナス)印は動作確認されていないもの(多分、事実上使えないと理解したほうが良いでしょう)、#付きの数字が書いてあるのは、問題が明らかなものです。ここで気がつくのは、動作確認されたマシンがとても少ないことです。ここに書かれているのは117台ほどですが、18社というメーカー数から考えると少ないと言えませんか。なかには、Gateway2000のように一社で一台しか動作確認されていないものもあります。また、このリストで動作が確認されているものでも、新規インストールはできても、アップグレードインストールは未確認というものも少なくないのです。つまり、手持ちのパソコンのWindows 95のアップグレードキットを買ったとしても、動くかどうかは分からない。もっとも、そんなパソコンの利用者にメーカーがアップグレードキットを売るとは思えませんが。いずれにせよ、アップグレードすべきかどうかと悩む前に、自分のパソコンが論外である可能性はとても高いということです。 さらに、いったいどんな問題がでているのかについては、この表の#付きの数字をクリックすると垣間見ることができます。例えば、NECのノートパソコンAL20C/TS model AAF1は、先進的機能が組み込まれた98NXシリーズの一つですが、新規インストールだと「Windows 98にドライバが含まれていないため、内蔵FAXモデムボード(56K対応)は使用できません。」という問題があるし、アップグレードインストールの場合は、インストール前にレジストリエディタで、電力マネージャに関係するらしいレジストリを削除したり、元に戻したりする作業が必要です。もちろん、NECのパソコンでも、リストアップされた14台の内6台は問題なくインストールできると言うことですが。その他、このリストにインストール時にでる問題として書かれている内容には、スリープモードから戻らないから、コンセントを抜いてくれと言う笑えるものや、ドライバーがないのでVGAでしか使えないというような、馬鹿にしたものまでいろいろ。いまさらVGA表示にして仕事しろというのかね。さらには、Windows 98の売りであるUSBが、使えませんなんて言うのまである。もちろん、この表の中には、解決策が書かれているものもありますが、先程の例のように、レジストリエディタなんていう、初心者にはどこにあるのか分からないツールを要求するものもあって、道のりは平坦ではありません。 しかし、このリストに載っていなかったからと言って、すぐに落胆する必要もないようです。諦めずに、購入した会社のホームページに言ってみましょう。例えば、富士通なんかは、もっと細かくサポート予定の有無を出しています。さっき6台しか載っていなかったNECも、ホームページの適合機種一覧を見るとケタ違いに対応しているようです。こうした、メーカーのサポートを期待して、頑張ってみるのも手かも知れません。たぶん、BIOSの書き換えやらドライバーの入れ換えやら、大変でしょうけど。それではと、自分の職場で最近買ったパソコンを探すと、NECのMobio NXとIBMのThinkPad 560X、HPのKayak XUが目に入りました。Mobio NXについては、マイクロソフト版の互換性リストでもアップグレードが可能と出ています。一方の、ThinkPad 560XとKayak XUについては、どちらもマイクロソフトの互換性リストに載っていませんね。特に、HPなんか会社名すらないぞ。Kayakの場合は、どうせ、そんなハイエンドなパソコンはWindows NTでしょということかな。確かに、Windows NTでしか使っていないが。じゃ、IBM 560Xはどうだろうと、IBMの互換性リストを探すとありました。9つも注意書きが付いているけど、動くようではあります。しかし、同じページにリンクされている基礎講座というページを読むと、使えるとは限りません的な文字が並んでいて、ちょっと躊躇しちゃいますね。でも、これが現実なんでしょう。マイクロソフトのリストに載っていない機種へのインストールは、トラブル覚悟のパワーが必要なのです。 こういう現状を前にして消費者がすべきことは、「私のパソコンではインストールは簡単だったし、使ってみたらWindows 98は素晴らしい」と主張することでも、「ひっでー目に合ったぞ、金返せ」と騒ぐことでもないのです。むしろ、そういう動かないかも知れないものを、華々しくテレビで宣伝した揚げ句に、フタを開けたら「問題ない機種もあるんだから、言っていたことは嘘ではない。残念ながら動作できなかった方には、この素晴らしいOSを活用するために、完全に対応した機種へのグレードアップをお勧めします」みたいな、おちょーし者の理屈が許されてしまう、マイクロソフトとパソコン業界とマスコミを攻めるべきなのです。そんなもの、宣伝するな。とはいえ、アメリカの経済界ではWindows 98の受けはとっても良くて、経済効果が期待されているかのようであります。文句言わずに買えば、景気が回復してめでたしめでたしっていうことか。それでも、納得できない人は、このCNETの特集ページの下の方にあるWindows 98 アップグレード判定機を試してみましょう。でも、これでOKがでちゃったら、もっと諦めが付かなくなるか(^_^;。それはともかく、半年後に、このページを読んで、そんなの心配しすぎだったぜって言えたとすればラッキーですね。
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1998.07.17 |
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