モバイルはLANカードか赤外線になる(^_^;

モバイルは携帯電話になると書いたそばから、またまた違うことを言い始める私(^_^;。技術の進歩は、いろいろなバリエーションを提案してくるので、この先のモバイルユーザーは、クレジットカードみたいにアダプタカードを何枚も持ちあることになりそうです。

まずは、ホテルからのインターネットアクセスですが、今まで、そういうことをする人たちは、ホテルの電話機がつながっているモジュラージャックを外して、そこにモデムをつなぐか、モジュラージャックが使われていない場合には、電話機を分解してワニグチクリップで接続なんて言う荒技を使っていました。あるいは、通信速度を気にしなければ音響カプラという、マイクとスピーカーのついた道具を受話器に取り付けるという手もありますね。しかし、先日NEWS.COMを読んでいたら、アメリカで、公共の場からの新しいインターネット接続規格が提案されていると出ていました。これは、IPORTと言う名前で、マイクロソフトも含めた3社で共同開発されたもののようです。既に、ワシントンやカリフォルニア等のホテルで試行しているようですね。IPORTについては、AtComという会社のWebページで詳しく紹介されています。このシステムが導入されると、お客さんは自分の部屋に入ると、やおら携帯パソコンをデスクに置き、LANカードを差し込みます。そして、10BaseTのコネクタを壁のソケットに差し込んで電源を入れる。Windowsが起動すると、デスクトップのMicrosoft Public Internet Portというアイコンをダブルクリック。すると、まるでLANにいるようにインターネットに高速な接続ができるようになるのだそうな。伝送速度は、モデムの50倍ということですから、これが本当ならイーサネットを使ったLAN接続時の実効速度に近いものですね。

IPORT自体は、電線の種類は決まっておらず、イーサネットケーブルのほかにも、電話線も使えるようです。ですから、ホテルとしては既存の電話線を使って客室とインターネットの間を結ぶこともできる。この場合は、音声で使わない周波数帯を使って、電話回線から通信信号を抜き出すらしいです。ここらへんの詳しい技術は私にはフォローできませんが、お客としては、まるで10BaseTの出口が客室まで配線されているかのように見えるのですね。パソコンのOSとしてはWindowsに限られていて、OSがIPORTのプラグインをサポートしていない場合には、クライエントソフトというのをインストールする必要があります。このソフトは、上で紹介したAtComのホームページから無料でダウンロードできます。ただし、私も試しにインストールしましたが、デスクトップにアイコンが現れるだけで、それを起動してもサーバーが見つからないというメッセージが出るだけです。これを試すには、アメリカまで行かねばならない(^_^)。インターネットのプロトコルであるTCP/IPを通すネットワーク技術としては、Microsoft Backofficeという、マイクロソフトのネットワークサーバー製品を元にしているので、想像するに、IPXと言ったマイクロソフトのLANプロトコルで信号を集めた後、それをプロキシーを通してインターネットに流しているのではないかと思います。なるほど便利ではありますが、マイクロソフトの技術を使っているので、注意書きにあるように、ネットワークコントロールパネルで、ファイルとプリンタの共有をしないように設定しておかないと、同じホテルの他の客にディスクの中身が丸見せになります。マイクロソフトの便利機能を使うときには、別なところで注意が必要ですね。

一方、日本の街頭では、赤外線通信でパソコンをISDNにつなぐ端末が出てきました。これは、COMBASEというもので、パソコンをインターネットにつなぐだけでなく、電子メールを液晶画面に表示したり、普通の電話もかけられるものです。端末には、赤くて丸い頭のディスプレイがついていて、その手前に狭いテーブルが付いていています。ディスプレイの下には赤外線通信用のポートがあって、テーブルにパソコンを置くと、電線をつながなくても赤外線で通信ができるようになります。でも、この写真をみると、赤外線ポートが正面に固定されているので、mobio NXみたいに左側に赤外線ポートがある機種だと、斜めに置いて左からのぞき込むような姿勢になりますね。パソコンをCOMBASEに接続させる手順としては、まずパソコンにマイクロソフトの最新の赤外線通信ドライバーをインストールします。次に、上のホームページで配付しているCOMBASE用のモデム設定ファイルを使って、コントロールパネルのモデムから新規モデムを作成します。この時、普通のモデムと違って、赤外線通信ドライバーが提供する仮想COMポートを使うように指定します。つまり、あたかもCOMポートにモデムをつなぐように、赤外線という線でCOMBASEをモデムとして認識させるわけです。あとは、普通の手順でプロバイダのアクセスポイントに接続します。現状のCOMBASEはISDNの64kb/s通信のみをサポートしていて、128kb/sで通信することはできません。それでもとりあえず、これで、街頭からISDNの通信速度でインターネットにつなぐことができます。実物を見たい場合は、8月末まで、東京のマクドナルド赤坂見附店の二階で、デモをしているようであります。ただ、パソコン持っていったら、ハンバーグ片手に長電話している人がいて使えなかったなんてことがあるかも(^_^)。

PHSを使うにしても、ISDN公衆電話を使うにしても、パソコンと電話機を電線でつなぐ手間があるのでちょっと面倒。パソコンの置き場所にも困るのですね。だから、COMBASEみたいに、赤外線でリンクするテーブル付きの端末があると便利かも知れません。また、アメリカのホテルに入り始めたIPORTの方の売りは、モデムの50倍という速さのようですが、こうした技術は別な面でモバイルユーザーを助けるものでもあります。それは、これが標準化されれば、世界的のどこにいても、同じ方法でインターネットに接続できるということです。さすがに、私は海外までパソコンを担いでいく元気はないのですが、私の職場にはアメリカだろうと、ヨーロッパだろうとパソコンを持って行って、電子メールを送受信する人がいます。でも、一様に苦労していますけど。せっかく、海外にアクセスポイントがあるプロバイダに契約したのに、ホテルから散々試しても上手く行かない。いっそのこと、国際電話で直接日本につなごうとして、あとから多額の請求がきちゃった人もいます。どうやら、モジュラージャックの形が違うとか言う問題ばかりではないようですね。でも、IPORTがその内にWindowsに組み込まれると、イーサネットカードだけ持っていけば、海外でも確実にインターネット接続できるようになります。だから、これからのモバイルは、赤外線通信でISDNか、イーサネットカードでIPORTになる..、とか言っておきながら、またまた来月には、やっぱりPIAFSだとか言っているかも知れないなぁ(^_^)。

1998.07.31
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