ロボット・ペットだウィーンウィンウィン

少し前のやじうまWatchにソニーのロボット犬の話が紹介されていて、ふーん、こういうもんって売れるんだろうか、と思っていたら、今度はオムロンが猫型ロボットを出したと言うではありませんか。べつに、ドラえもんを発明したわけではないんですけどね(^_^)。一社ならともかく、複数の会社がこうしたエンターテイメント用ロボットを開発しているとなれば、これはトレンドになるかもしれない...。でも、売れるんだろうか。で、誰が買うんだろうか。

犬型ロボットの方の元記事は、ASCII 24というニュースサイトにあります。この記事には、記者が実際に触ってみて、「きゃー、かわいい」と反応してしまったと書いてあります(^_^)。でも、みたところ金属のかたまりが犬のふりをしているようなものですね。この犬はCPUの電源をハンディカムのバッテリーでまかない、モーターはニッカド電池で動かします。歩行速度は毎分6mで、動かしまくった状態で15分間遊べるというもの。CCDカメラを使った画像認識は色も識別でき、しかもソフトで好き嫌いをプログラムできるから、嫌いな色とかを設定すれば、赤い色のボールを転がすと(最大速度7.2m/分だけど)逃げ回るということも可能。聴覚は音階を理解し、飼い主の言葉も理解できます。ただし、今はフランスのイベント向けにプログラムされているので、フランス語しか分からないけど。また、頭のスイッチでなでられたのか叩かれたのかを判断して、殴られると怒るように設定することもできますね。これだけだと、ロボット対戦相撲大会で大学生が考えそうなものでありますが、ソニーが作ると一味違うのが、アーキテクチャから考えてしまうところです。

この「ソニードッグ」は、見かけは、ごっついけど中身はハイテクでありまして、なんとCPUはAperiosという独自のリアルタイムOSで動いています。さらに、このロボットの反応とか行動様式は、エンターテイメントロボット専用に開発した、OPEN-Rなるアーキテクチャで定義されています。体を構成する部品は、このアーキテクチャにしたがって規格化されているので、サードパーティが準拠した足を用意すれば、同じ犬でもドーベルマンなり、ダックスフンドなりに形を変えたり、あるいは最速のコーナリング特性を備えたレーサー犬やら、どんな障害物も乗り越えられるオフロード仕様のロボット犬にしたりもできるわけです。これらは、プラグイン機能によって、くっつけた時に、運動性能などの情報をシリアルバスで集め、最適な運動制御を行えるように自分で調節するのだそうな。犬の好き嫌いなどの性格やお手などの技を定義したソフトは、メモリーカードをスロットに差してロードするようです。さらに、本体には、拡張機能を付けるためのPCカードスロットもついています。これを使うと、無線コントロールやネットワーク機能も付け加えることができるそうな。しかし、お尻に100BaseTを引きずった犬ってのも不気味な気がするけど(^_^;。

一方の、オムロンの方のロボット猫は、まったく異なる雰囲気があります。これは、この猫のホームページに言ってみると分かるでしょう。まず、ホームページの「技術のお部屋」がこれを書いている時点で工事中なので、いったいCPUはなんなのか、アーキテクチャはなんなのかなんて、ちーっとも分からんのです。でも、なんかほのぼのしていることは分かるが。それにしても、どうみても猫好きな女の子のホームページでーすって感じですな。唯一、なんか分かりそうな、資料館なるページを開くと、まさに猫のぬいぐるみの写真が載っていますね(^_^)。なでると喜んで、叩くと怒るというところは「ソニードッグ」と同じですが、「ヒューマンインターフェイス技術 と機械の知能化技術の研究」の成果を使って作ったということなので、どうやら「飼い方によっては、怒りっぽい性格になったり、おと なしい性格になったり変化して」いくところがポイントのようです。最高移動速度などは書いてありませんが、重さは1.5kgで、動作時間は30分ということです。

この猫は「ペットロボット」という名前がついていますが、「ソニードッグ」と違って、ひざに上においてなでなでして遊ぶもののようでありますね。その証拠に、動作を行うアクチュエータ(モーター)は、まぶたの開閉、首の上下左右、両前足、尻尾だけですから。でも、オムロンが独自開発した 心と意識(MAC)のモデルを使って「認識結果に基づいて満足・怒る・不安などの感情を生成」するとか、「生理的なリズムに基づいて、眠りたい・甘えたいなどの欲求を生成」するなんてところは、ちょっと前に流行った人口知能的なものを感じます。入力された刺激に対して、プログラムされた反応を返す「ソニードッグ」とは、この辺が違うのかも知れません。でも、このホームページの映画館にあるビデオ映像を見ても、そのあたりはちょっと想像できませんね。やはり、事業化していただいて、買ってみないと分からないなぁ。とぼやきつつ、最後は同じホームページの美術館でお気に入りの絵をさがしましょう。でも、なんなんだ、このプリクラっぽいノリは(^_^;。ハイテクなんだか、おねぇちゃんの遊びなんだか分からん。あっそうか。ターゲットは、猫を飼えないマンション住まいの女子中高生か。

さて、それはさておき、以前に光通信するバービーちゃんを紹介しましたが(笑)、これからのおもちゃに、どのようにコンピュータや通信の技術が入って行くかって所が興味があるところですね。ここで紹介したロボ犬とロボ猫は、かなり高度なOSで動いているように思います。犬の方は、しっかりしたアーキテクチャを作って、おもちゃロボットの標準規格を作ってしまおうという意図がありますし、猫の方は、より現実に近い感情を持った疑似動物を作ろうという意図がみられます。でも、一方で、ソニーの担当者が記者に言っているような、産業用ロボットよりも開発費は安いし数もでるから儲かる、というストーリーは有りうるのでしょうか。座敷犬や、猫の代替としてのロボットペットという位置づけは、子供のおもちゃと違って、常にスタンバイモードにあり、かつ何年も継続して使われるものだと思います。つまり、常にそこにあって、あたかも自分の意志が有るように反応するぬいぐるみであれば、今までにない新しい存在価値が生じるかもしれません。すると、まず動作時間は15とか30分では足らないでしょうね。無限であるべきです。ってことは、バッテリー駆動であるかぎり、自分でバッテリーを充電できないといけない。予備のバッテリーの場所を覚えていて、おなかが空いたら自分で交換。でも、いつもバッテリーを抜いたところで止まっちゃうか(^_^;。そうねぇ、かといってコンセントに自分のしっぽを突っ込んでるのも気色悪いし。それなら、充電器端子付きのバスケットを用意して、自分でそこに入ると充電できちゃうって言うのがいいかもね。そのかわり、バスケットはロボット犬の行ける場所に置いてあげないとバッテリーが上がってしまう(^_^)。

1998.09.25
ソニーの犬型ロボット(AIBO:AI-EYE-ROBOT)は、1999年6月1日からインターネット経由の予約に限って販売されます。販売台数は、日本3000台、アメリカ2000台です。詳細は、ホームページに出ています(99年5月現在)。デザインは、もーちょっとだけ犬らしくなっていますが、ぬいぐるみは着なかったようですね。それと、言語を理解させるのはやめて、音階の組み合わせで命令を出すようになっています。絶対音階を使えるオペラ歌手なら、声で命令を出せるでしょうが(^_^;、そうでない人のためにリモコンみたいなコマンダーが添付されています。25万円はおもちゃとしては破格ですが、機能からいって、値段の価値はあると思います。ただ、あのロボットの写真を見せて奥さんやお姉さんが可愛いと思うかどうかが、いちばんの問題かもね。
1999.05.12
タイトルの単語に著作権侵害の警告が来ましたので、「ロボット・ペット」で置き換えました。この名称は、2000年9月29日現在、出願も登録もされていないことを確認しています。
2000.09.29
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