ゲーム機がホームサーバーになるのか

10月6日、セガ・エンタープライズのホームページにあるBBSに、ゲームファンによる怒涛の書き込みがありました。この日、セガ・エンタープライズが次期ゲーム機のドリームキャスト(Dreamcast)を発表したのです。セガとしては、せがた三四郎の活躍にも関わらず不審に終わったセガサターンのシェアを、新製品のドリームキャストで一気に回復しようというところです。それにしても、せがた三四郎のコマーシャルは面白かったんだけどなぁ。そうそう、同じセガのがんばれ湯川専務ホームページも結構いけてますよ(^_^)。なんてことはともかく、実は、この新製品には、家庭のネットワークも支配しようというマイクロソフトの思惑もからんでいるようでありますね。

ドリームキャストについては、専用のホームページに詳しく載っています。一見、プレステにも似た形のゲーム機ですが、グラフィックエンジンにPowerVR2とかいう、300万ポリゴン/秒以上の処理ができる第2世代アーキテクチャを使っているんだそうで、なんか知らないけど、ゲーム機としてもすごいんだそうです(^_^;。しかし、これまでのゲーム機と一番違うのは、箱にモジューラージャックが付いていることです。このゲーム機には、33.6kbpsモデムが内蔵されているのです。見ようによってはゲーム機能付きのモデムとも言えるな(^_^)。セガは、ドリームキャストに通信ソフトDream Passportを同梱していて、そのソフトを使うとセガのサーバーを経由してインターネットにも接続できるのだそうだ。もちろん、ゲーマーの視点で見れば、セガのサーバーを経由して他のユーザーとの間で、ネットワークゲームが可能になるということ。つまり、ゲームセンターで通信機能付きのセガラリーで遊ぶように、ドリームキャストを使って、合ったこともない誰かさんと、ラリーの勝負ができるってことですね。まぁ、通信機能付きのゲームといえば、随分以前に、遠隔地のPC98をモデム経由でつないで将棋を指していた人もいたけど。あっ、これは余計な話でしたね(^_^;。

さらに、これまでのゲーム機は独自のOSで動いていたわけですが、ドリームキャストはWindows CEで動作します。ということは、もちろんCPUは日立製作所のRISCチップSH4であったりするわけですね。でも、これは携帯パソコンで動くWindows CEではありません。ゲーム機用にカスタマイズしたWindows CEです。もしかして、起動するとSegaのロゴではなくて、Windows CEのロゴが出るんだろうか。さらに、来年の春にはドリームキャストでWebTVが使えるようになるんだそうだ。これについては、ソフトが間に合わなかったようで、製品に同封された葉書を送ると、後から無料でソフトが送られてくるとのこと。それにしても、ここまで来ると、ドリームキャストとはゲーム機というよりも、ゲームもできるネットワーク端末ではないかという感じがしてきますね。これまで、家庭で簡単にインターネットアクセスというと、WebTVのようにセットトップを買ってつないでいたわけですが、それだけでは思うように普及しなかった。だから、いっそのことゲーム機にセットトップの機能をつければ普及するのではないか、という思惑があるように思います。アメリカでは、安いパソコンが溢れる中で、ただのWeb表示専用のインタフェースでしかないWebTVは二年で消えるなんていう意見もあるくらいです。WebTVを買収したマイクロソフトですから、ゲーム機にWebTVの付加価値付ければ売れると考えたかも知れませんね。

一方、このゲーム機はデータの保存にビジュアルメモリというPDAを使うのですが、これは、「遊びの提案」のページにあるように、ゲームのデータを持ち歩くためのものです。でも、これに個人認証などのデータを入れることで、遊び以外の使い方も生まれるように思います。例えば、オンラインショッピングのデジタル財布とか、公衆電話からの電子メールアクセスとか。しかし、セガ・エンタープライズとしては、そこまでコンセプトを広げるよりも、あくまでゲーム機に留めることで、29,800円という値段に抑えたように見えます。もし、本当に家庭のホームネットワーキング端末、あるいはサーバーとして使うのであれば、どうしても100Base/TやUSBやIEEE1394といった、AV機器やパソコンとの通信手段が不可欠になります。残念ながら、ドリームキャストとパソコンをつなぐ方法は電話回線しかないようです。ただ、モデムはリムーバブルだそうなので、もしかしてここにUSBをプラグインでさしたりすることも考えているのかもしれませんね。

以前、ここで「サイバーホームの住み心地」という題で、いろいろな企業が家庭にネットワークを入れようと、電化製品を開発しているという話を書きましたが、未だにこれといって表に出てきてはいません。そういう意味では、このドリームキャストなんかは、成功すれば、初めて売れた家庭用ネットワーク端末ってことになりますね。もちろん、以前に書いたインターネット冷蔵庫も健在です。このページによると、やはりOSはLinuxになったようですね。それにしても、すっごい仕様だこと。まあね、LANはともかくPHSやらUPS(無停電電源)まで内蔵されて、電話からの言葉の命令でコントロールできちゃうんだから、4GBのメインメモリなんて当たり前でしょうか。それはともかく、このページにあるように、「生活インターネットは、冷蔵庫ではじまる」のか、あるいはゲーム機で始まるのか、不景気な中で思惑だけ進んでいるような感じですね。でも、セガもうかうかしていられないようです。当然他のメーカーも同じことを考えているし、マイクロソフトと組んで「ウィンドウズCEオペレーティング・システムに基づいた家庭ネットワークを推進する」と発表しているソニーあたりも、やはりWindows CEで動くゲーム機をだしてくるでしょう。この一年くらい、ゲーム機ベースの家庭用ネットワーク端末がトレンドになるかも知れません。

1998.10.09
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