家電ネットワークのその後

家庭にネットワークを引くのは、SOHOとかいって普及し始めましたが、家電製品もつないでインターネットの情報をとってきたり、インターネットに情報を送ったりするというのは、まだ近未来の話です。ただ、ここにも、何度か書いているように、そうした家電製品に向けたデモンストレーションは、いくつか出てきています。今回は、そうした話題をいくつか拾ってみました。

まずは、インターネット冷蔵庫ですね。ホームネットワークサーバーの代名詞となりつつある(^_^)、インターネット冷蔵庫については、1998年5月8日1998年10月23日のページに書いていますが、ついにアメリカにも出現したようです。CNETの記事によると、アメリカのフリジデアーというメーカーがオンライン冷蔵庫なるものを発表したらしい。まだ試作品で値段はついていないようです。233MHzのCPUと32MBのメモリーでWindows 95をOSにしているとのこと。スペックとしてはそこらのパソコンなので、ホームネットワークのサーバーという感じではないですが、彼らのアイディアは、冷蔵庫から消費する商品情報をバーコードで冷蔵庫に覚えさせ、それを定期的にスーパーに送信すると、足らない食品を持ってきてくれるっていうものらしいです。なんか、これが普及すると、運動不足のおばさんたちが増えそうですね。この冷蔵庫の詳しいスペックがないかと、この家電製品メーカーのホームページに行ってみたのですが、なんも書いてありませんね。Whats Newの最後が去年の8月っていうのもちょっとね。もっとも、1997年の1月から98年の6月まで新しいネタが無かったようなので、そんな会社なのかも(^_^;。日本のメーカーのプロトタイプも、食品管理に使うという発想がありましたけど、仮にドアのディスプレイで、ほうれん草の賞味期限が過ぎていますとか教えてもらっても、それを探す手間は今と同じですもんね。むしろ、商品を放り込むと、自動的に分類して整理してくれるような機能の方が喜ばれるかも。

ちなみに、ネットワークがつながる台所製品は冷蔵庫ばかりでなくて、サムスンからは、インターネット対応電子レンジなんてのが出ています。こっちの方は、インターネットを使って、この会社のサイトから「最適な調理時間」のデータをダウンロードして設定するというもの。記事の方では、インターネットが混雑していると、データをダウンロードする間に、料理が焦げてしまうのではないかとちゃかしてましたけど(^_^)。確かに、お料理のデータベースから、蒸すだの焼くだのと複雑な手順で作るような料理を選んでデータをダウンロードすると、あとは材料を入れてチンするだけって言うような使い方はあるかもね。もっとも、普段、「ごはん」「おかず」「酒」「解凍」ボタンしか使わない人には関係のない機能のようです(^_^;。この電子レンジの詳しい情報がないかと、サムスンのホームページにいってみたけど、組織が巨大すぎてどこにあるのかわからない。"intelligent microwave"でサイト検索したら、家庭内無線LANかなんかの記事に行ってしまった。他にも、NCRという会社も電子レンジをインターネットにつなごうとしています。こっちの電子レンジは銀行とつながっていて、家計管理ができるんだって。なぜか、うちのホームバンキングは電子レンジ。お札をチンしないようにね(^_^)。とはいえ、冷蔵庫と電子レンジがきたら、つぎは炊飯器ですね(笑)。愛するダーリンに、炊飯器から電子メール。でも、日本でしか売れないかも。

ハードはともかく、ホームネットワークのソフトウエアの面では、アメリカで複数の企業が集まって、家電製品をネットワークにつなぐための新しい標準として「オープン・サービス・ゲートウェイ(OSG)」なるものを作ろうとしています。これは、JAVAベースのソフトになる予定で、これを使うことで、現在ばらばらに作られている多種の通信仕様をうまく相互に接続できるようになるそうな。多分、これが動作するハブみたいなものを作り、そこを経由して電子炊飯器から冷蔵庫や職場のパソコンに電子メールを送るようになるのだろうな(^_^)。この記事では、この企業連合の中にマイクロソフトが含まれていない点を指摘してますね。なぜなら、マイクロソフトはWindows CEベースのソフトで、家庭内LANをしきりたいから。統一したプロトコルで、簡素なネットワーキング、だけどマイクロソフトにお金を払って使ってください、というパターンでしょう。ここでも、マイクロソフトオンリーなネットワークを選ぶか、多様でも柔軟性のあるネットワークを選ぶか、将来、消費者は悩むかもしれません。まあね、使う方としては、ネットワークがダウンしなければ、どれでもよろしいのですが。

ホームネットワークといえば、以前、ドリームキャストにモデムが内蔵されているから、ホームサーバーにならないかという話を書きました。で、こんどはプレイステーション2のプレスリリースがあったわけですが、こっちのネットワーク機能はどうなるのでしょうか。話題は、もっぱら、ゲーム機としてはオーバースペックではないかという、高級ワークステーション並のCPUに向いているようですね。これと最大毎秒7500万ポリゴンを描画できる「グラフィックシンセサイザ」が作り出す世界は、「スクリーンに入り込みリアルタイムで映画を経験することをご想像いただきたい」というものらしいのですが、それは、来年の今ごろ手に入る予定。でも、そんな一年も先の話をするのは、ドリームキャスト人気への対抗でしょうか。プレイステーションのサイトの新着情報を読むと、この「映画を見ているような」という感覚を「エモーション・シンセシス(情緒合成)」と書いています。髪の毛のそよぐのまで再現することで、映画のように感情移入できるということでしょうか。まーた、RPGにのめり込むファンが増えそうね。それはさておき、この器械の仕様を読むと、内蔵インタフェースは、IEEE1394(FireWire)とUSBしか書いてないので、いきなりインターネットにつなぐよりは、パソコンと通信するとか、AV系の器械につなぐことを考えているようですね。通信ポートについては、PCカードで対応ということですから、ドリームキャストほどはインターネット接続を表に出すつもりは無いようです。でも、ドリームキャストのインターネット接続が使われるようになると、最初からモデムカードがついているかも。あるいは、イーサネットアダプタを差して、家庭内LANにつながるようになるのかな。

家電製品をネットワークにつなぐ話は、だんだん具体化しつつありますね。もっとも、日本の家電メーカーは、AV機器間の通信はともかく、こういう家電製品のネットワークにあまり熱心でないように思います。台所は、一番文化が影響するところですからね。日本人には、そこまでしてネットワークを家電製品につなごうとは思わないかもしれない。ただ、アメリカにスタンダードを決めてもらって、決まると同時に参入みたいな日本の産業文化ってのも、なんか寂しい感じがする。他人のこと言えないですけどね。

1999.03.05
ひとつ戻る HOME つぎに進む