<6〜8面>
さて、法華経『譬喩品』には、智慧第一といわれた舎利弗でさえ、信によって此の経に入ることが出来たとあり、成仏得道のためには信こそ肝要であり、信なくして成仏得道は叶わないと示されています。しかし、それは此の経、すなわち法華経が最も勝れ諸経中王の経なるが故であって、爾前権経ではたとえ信があっても成仏得道は叶わないのであります。例えば、法相の如き教えでは、五性各別の説を立て、先天的に仏種を持ったものだけが成仏出来、他は出来ないとしています。
これに対し、法華経は『方便品』に、「我が如く等しくして異ること無からしめんと欲しき(乃至)一切衆生を化して皆仏道に入らしむ」(法華経111ページ)と皆成仏道を説き、また、同じく『方便品』には、開示悟入の四仏知見を説いて、仏の出世は一切衆生を等しく仏道に入らしめることであると示されています。したがって、衆生には本来的に成仏出来ない者がいるとしている法相の如き爾前権経は、皆成仏道を説く仏の本意とは異なる教えであって、結局は方便の教えに過ぎないのであります。
そこで改めて信について考えてみると、信とは正しい対境、すなわち正しい御本尊に対して信を取る事が成仏の絶対的条件であって、以信得入と云っても正しい御木尊に対して信を取らなければ成仏は叶わないのであります。すなわち、成仏得道のためには、最勝最尊の正しい御本尊を撰ぶ事が最大肝要事となるのであります。
その正しい本尊とは、大聖人が『観心本尊抄』において、「一閻浮提第一の本尊、此の国に立つベし」(御書661ページ)と仰せられた御本尊、すなわち、久遠元初自受用報身如来、末法御出現の御本仏宗祖日蓮大聖人が出世の本懐として御建立遊ばされた本門戒壇の大御本尊であります。
したがって、この本門戒壇の大御本尊を帰命依止(きみょうえし)の本尊と定めて信を取る時、我が身の即身成仏もはじめて叶えられるのであります。すなわち、信仰の対境が正しく決まり、その上で信を取ることか肝要なのであります。而して、その信とは、すなわち自行化他の信心であります。特に今日、御命題達成を期して前進している時、折伏は地涌倍増達成の必須要件であり、大結集も詮ずれば同様であります。
勿論、地涌倍増と大結集の御命題を達成するためには、様々な困難が付さ纏(まと)うことは承知の上であります。しかし、苦しい闘いであればこそ、その先には何物にも代え難い勝利の歓びがあり、楽な闘いでは真の達成感も歓喜も生まれて来ないのであります。困難が付き纏うからこそ達成へ向けての意欲も湧き、異体同心・一致団結して事に当たることが出来るのであります。正しくそれは超克(ちょうこく)の原理であります。「強敵を伏して始めて力士をしる」(同579ページ)との御金言をよくよく拝すべきであります。
特に、本年「行動の年」は、御命題達成へ向けて講中一丸となって行動を起こし実践躬行(きゅうこう)すべき大事な年であります。大聖人は『土籠御書』に、「法華経を余人のよみ候は、口ばかりことばばかりはよめども心はよまず、心はよめども身によまず、色心二法共にあそばされたるこそ貴く候へ」(同483ページ)と仰せであります。法華講員各位には、この御金言を心肝に染め、御命題達成へ向けて愈々御精進下さることを心から念じ、新年の挨拶といたします。
立宗755年の新春、明けましておめでとうございます。
総本山第68世日如上人猊下におかせられましては御登座2年目をお迎え遊ばされ、いよいよ御壮健にして宗内僧俗一同に親しく正法広布への御指南を賜りますことはまことに尊い極みであります。また、御隠尊日顕上人猊下におかせられましても、益々御健勝にて新年をお迎え遊ばされましたことを心よりお慶び申し上げます。
法華講総講頭・柳沢喜惣次氏、大講頭各位をはじめ、法華講員の皆様には立宗755年「行動の年」の新年を清々しく迎えられたことと心よりお慶び申し上げます。
さて本年は御命題の平成21年『立正安国論』正義顕揚750年の大佳節に向けて、地涌倍増と7万5千名の大結集さらに記念総登山を成就する上において、最も重要な「行動の年」であります。「行動」なくして「結果」は生まれません。「折伏」なくして「地涌倍増」は達成できません。悪の元凶である創価学会をはじめ、一切の邪宗邪義を破折し、正義顕揚のために信力行力を奮って行動を起こし御命題達成に向けてひたすら前進しましょう。
年間実践テーマ3項目に掲げられている、勤行と唱題で一人ひとりが得た功徳と歓喜を原動力にして行動を起こす。すなわち、それは僧俗一致しての折伏実践であり、地涌倍増に無くてはならない行動であります。そして寺院への参詣と家庭訪問の徹底した行動により、人材の育成が計られ大結集につながります。この年間テーマの実践こそ平成21年の御命題達成の鍵を握るものと、各人が心して真剣に取り組んでいただきたいと思います。
とかく年の初めには心に固く決意しても、月日の経過と共に薄れがちなものです。日々心新たに持続して参りましょう。
何卒講員の皆様におかれましては、今年一年が我が人生の輝ける思い出多きすばらしい年となりますように、各指導教師のもと信行錬磨に励み、さらに布教区、地方部単位の支部講中と力を合わせ、広布推進のため、不自惜身命の御精進を願うものであります。全国法華講員の皆様と、各支部のいよいよの興隆発展をお祈り申し上げ、新年のこ挨拶とさせていただきます。
全国法華講員御一同には、立宗755年の新春を迎え慶賀の至りに存じます。いま宗門僧俗が、来たるべき平成21年、立正安国論正義顕揚750年地涌倍増と大結集の御命題達成へ向けて、異体同心・一致団結して、力強く前進していることはまことに慶びに堪えません。
【超克】(ちょうこく) 困難を乗り越え、それに打ち克つこと。
【躬行】(きゅうこう) 自分から実際に行うこと。
■ 総監・八木日照御尊能化