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No.157 中国山東省2003―13.臨[シ畄]03 斉国歴史博物館

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■10月19日

●臨[シ畄]歴史遺跡群探索

 *臨*[シ畄]到着初日目は、かるく市街の姜太公祠(ジャンタイゴン ツ)を
まわった。といっても、ちょっと遠回りをしてしまったので、駅前の新*華*書
店(シンファ シュティェン/しんかしょてん)で臨[シ畄]の地図を入手、今
日はそれを頼りに行くことにした。
 臨[シ畄]の遺跡や博物館の多くが市街の北に点在している。今日はその最も
南にある*斉国*歴史博物*館(チィグォ リーシー ポーウーグァン)から順に
北上することにした。
 さっそく地図でバス路線をチェック、ホテル横のターミナルから乗り込んだ。
 中国の街中の移動は、バスが中心だ。縦横無尽にバスが走っていて、たいて
いのところにはバスでいける。反面、路線が複雑になりすぎて、慣れるまでは
乗るバスの見当をつけるのに苦労するが。
 26路のバスが博物館の前まで行くが、近くまで行く28路のバスがあったので、
それに乗った。
 中国の近距離バスは、簡単に分けると大型のバスと小型のミニバスがある。
このミニバスは大型バスよりも少し高い。*臨*[シ畄]は、このミニバスばかり
走っているので、ちょっと割高の感じがする。
 博物館の近所まで2元(約27円)。

*華: *書: *斉: *歴: *館: *臨: 
*[シ畄]:

●斉国歴史博物館

 資料によると市街から2キロほどのところにある。市街からバスで20分ほど
走ると道沿いに集落があった。そのはずれに斉国歴史博物館がある。街の大き
さや雰囲気とは違って、大きく立派な外見だ。
 日本でも、地方の町や村の民俗展示室などは小規模なものが少なくないが、
中国の場合はそれに輪をかけてすごいものも珍しくはない。それでいて有料だ
ったりするので、さらにすごいのだが。
 正直、そういうものを想像していたので驚いた。古代の城を思わせる外観で、
かなり立派なつくりだ。

○斉国歴史博物館
斉国歴史博物館

●展示室

 25元(約340円)の入館料を払って入った内部も、入館者の動線を考えたつく
りで、スムースにすべての部屋を見て回ることができる。
 ぴかぴかの展示ということはないが、それなりに手入れはされている。さら
に、斉国時代を再現したジオラマなどが多数あり、歴史の知識に乏しい人でも
興味深く見ることができる。
 学問一辺倒で想像が入る余地を許さず、当時の様子の再現も少なく、出土し
たぼろぼろの状態で展示するのを良しとしているとしか思えないような日本の
博物館とはちがう。
 学問の府のひとつとしての博物館と考えれば、一般に不確実な再現を見せる
わけには行かないことは理解できるが、そのためある程度の基礎知識がないと
何のことかわからないという展示もどうだろうか。
 博物館は何のためにあるのかを考えると、やはり中国式のほうがいいと思う
が、反面、姜太公(ジャンタイゴン)や管仲(クヮンチョン)などの胸像が所
狭しと並んでいるように、何でも安易にやってしまうのも、ちょっと行き過ぎ
と感じないわけにはいかない。

●春秋戦国時代

 展示は新石器時代から新漢時代までだが、やはり中心は春秋戦国時代の斉国
だ。それを展示室によって政治、経済、文化、芸術、科学技術、軍事、民俗な
どに分けている。それがまた見やすい。
 それらを見ていくと、日本ではまだ縄文時代と弥生時代が交代しようとして
いるような時代に、それよりもはるかに進んだ社会がここにあったことがよく
わかる。
 今の中国からしてみると狭い地域だが、そこに文字があり、貨幣があり、学
問があり、国家があった。
 何気なく見ていると、「へ〜」の一言で終わってしまうが、同時代の日本と
くらべると、とんでもない差があることがよくわかる。
 ただ、展示されているものは豊富なのだが、それほどすごいと感じるものは
なかった。やはり、そういったものはここには展示しないか、済南などに行っ
ているのだろうか。もちろん、ぼくが素人なので、目利きができないというこ
ともあるだろうが。
 別棟にはミュージアムショップがあり、臨[シ畄]の歴史の本などがあるので
買ってしまった。だいたい20元(約270円)前後だ。
 中国の博物館では、このようにその土地の歴史の本などが売っているので、
とてもいい。このような本は、街の本屋では売っていない。
 しかも著者の略歴を見ると、その博物館の館長経験者であることが多い。一
般人から見れば、こういう中国の博物館のあり方は親切であり、好感が持てる。

『文字鏡研究会』今昔文字鏡

●つづく●
                       Copyright(C), Taki 2003
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