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No.159 中国山東省2003−15.臨[シ畄]05 金陵寺参拝2時間
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●お寺参り
*臨*[シ畄](リンズ/りんし)市街に戻って昼食後、これからの行き先を相
談した。
今回の旅では、姜太公祠(ジャンタイゴン ツ/キョウタイコウシ)と晏嬰
墓(アンイン ムゥ/あんえいぼ)に行くことが目的だった友人は、中国3日
目にして達成してしまったので少し脱力状態だ。
そこで、彼のメルトモさんの希望でお寺に行くことにした。日本の場合はお
寺というと、古い町ならいくつもあるが、中国の場合は新旧を問わずほとんど
無い。だから、探すのには苦労する。
前日、臨[シ畄]の地図から区内にあることをぼくが見つけていた。金陵寺
(チンリン スゥ)と書いてあるので、お寺にちがいないだろう。そこに行こ
うというのだ。しかし、地図の上では区のはずれ。どれだけの時間がかかるの
だろうか。
そこは中国人。信仰深そうな老人を見つけて話をし、バスターミナルで聞き
込みをしながら近くまで行く路線バスを見つけた。ぼくたちはそのバスに乗り
込んだ。
*臨: *[シ畄]:
●バスで20キロを……
そして走り出したバスは、あっという間に市街を出て、畑の中の道を走って
いく。料金は3元(約40円)。博物*館までが2元(約27円)だから、もと遠
い。メルトモさんが聞いたところでは、バスターミナルから20キロらしい。
時速60キロだと20分の距離だが、悪路を客を拾いながら行くので、ぼくは1
時間と読んだ。
実際、道は未舗装になり、狭い家の間を走りながら、客が降り、そして乗り
込みながら進んでいく。
未舗装とはいえ、しょっちゅう車が走るので路面はわりと固まっている。し
かし、凹凸は多いので、バスがはねる。ぼくたちも座席の上で跳ねながら目的
地まで座り続けた。
出発の時にはそこそこだった乗客が、市街から遠ざかるほどに増えていった。
大きな荷物を持った人が大勢いる。どこかでの買い物の帰りなのだろう。
農民だろうか、汚れた服を着た人が乗り込んできた。今まで、町の中ばかり
を移動していた友人にとっては、興味深い体験だったようだ。
そうしているうちに客が減ってきた。走り始めてから1時間近くたっている。
そろそろ着くだろう。
ついたら乗務員が教えてくれると思うが、念のために車窓から寺らしい建物
を探した。
すると、畑の中に三角の瓦屋根の建物が見えてきた。四角い家ばかりのなか
で、妙に浮いている。間違いないだろう。ぼくが指差すと、メルトモさんもう
なづいていた。
ぼくたちが降りる体制に入ると、乗務員が知らせてくれた。間違いなかった。
走り始めて1時間以上、やっとたどりついた。
*館:
●金陵寺
バスはお寺の前に止まった。道からまっすぐ山門に向けて道が伸びている。
とても小さい寺に見えた。山門にかかっている扁額の字もペンキで書いたみた
いだ。
門をくぐると、すぐ正面にお堂がある。中に祭られているの阿弥陀仏のよう
だ。なんとも小さくすすけた寺だ、というのが正直な感想だ。
しかし、境内にある図を見てみると、このお堂のさらに奥にもっと大きなお
堂が描いてある。そして、その左右にも伽藍が連なっている。この絵なら納得
できる。お堂が縦方向に連続する中国式の寺だ。
何が原因かはともかく、この寺は一時期廃れたようだ。それをなんとか今の
状態で維持し、そして修復の機会を得たのだろう。
人が集まる市街ではなく、そこから離れたこんなところにもかかわらずお寺
を維持することができたのは、それだけこの辺りの人たちの信仰が篤いという
ことではないだろうか。お寺参りが趣味というメルトモさんも、感慨深そうだ。
などと話し合いながら、お寺を参拝したあと、ふたたび1時間バスに揺られ
て市街に戻った。
○金陵寺現本殿
『文字鏡研究会』
●つづく●
Copyright(C), Taki 2003
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