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No.160 中国山東省2003−16.臨[シ畄]06 古車博物館は高速道路の下

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■10月20日

●ここでお別れ

 この日、金曜日から合流した友人と、彼のメルトモさんは泰山に向かう。中
国短期滞在なので多少なりとも駆け足だ。ぼくは、*臨*[シ畄](リンズ/りん
し)にまだ見たいものが残っているのでここでお別れだ。
 ホテル横の*郵*電局(ヨゥディェンジュ)で日本へ国際電話をかけた後、駅
のバス乗り場まで彼らを見送る。
 彼らは、臨[シ畄]区のある[シ畄]博市(ズゥポウ シ/しはくし)の中心、
*張店区(チャンティェン チュ/ちょうてんく)までいき、そこで泰山(タイ
シャン)行きのバスに乗り換える予定だ。張店区まではバスで30分ほど、市の
中心地だけあって各地へのバスが出ているようだ。
 臨[シ畄]にも長距離バスターミナルがあるのでそこから出ているかもしれな
いが、ホテルから離れているのでチェックしていないし、出ている本数がまっ
たく違うだろう。
 臨[シ畄]駅前から張店区まで行くバスは20路。すでに待機していた。すぐに
発車するらしい。
 友人たちと握手をし、ゆっくりしている暇もなくあわただしくバスは発車。
名残惜しむ暇もなかった。

*臨: *[シ畄]: *郵: *電: *張:

●どこに行こう

 友人たちを見送った跡、ぼくは今日の予定を考えた。
 臨[シ畄]で行き残したところのメインとなるのは、中国古*車博物*館(チョ
ングォ グゥチャァ ポーウーグァン)と、*東周殉*馬坑(トンチョゥ シュ
ンマ ケン)だ。どちらも春秋戦国時代の遺跡だ。特に、東周殉馬坑は中国最
大だという。博物館好きとしては、行かなければならないところだ。
 東周殉馬坑はほかにもいくつかの遺跡が点在する地域にあるが、古車博物館
はそれらから少し離れている。いろいろ考えた結果、午前中は古車博物館、午
後から東周殉馬坑といくつかの遺跡を回ろうということにした。

*車: *館: *東: *馬:

●中国古車博物館へ

 中国古車博物館は中国でも稀な春秋時代の大型車馬坑の遺跡だ。だから見た
い。
 いろいろと資料を見た結果、博物館は臨[シ畄]市街から6キロのところにあ
るようだ。バスを使わなければいけない。臨[シ畄]駅前から73路で后李村(ホ
ウリ ツン)下車という資料もあった、ホテル横伸ばすターミナルの案内板に
「古車館」とかかれたバスがある。
 73路のバスが近くにあったので、メモに「古車館」と書き、それを見せ、
「去*[口馬]?(チュイ マ/行きますか?)」と聞いたら、行くよということ
だったのでそれに乗った。
 このように、初めてバスで行くところは、乗務員にどこまで行くか印象つけ
ておくことが言い。そうすれば、降りるところで教えてくれる。
 バスは発車、市街から西のほうへ向かい、畑の真ん中に、「中国古車博物館」
という大きな立て看板があった。わかりやすい。乗務員もここだと合図をして
くれた。親切だ。
 しかしあたりは畑ばかりだ。と思っていると、左手のほうに何か三角の屋根
が見える。このあたりでは普通の建物ではない。しかも、その方向にやたらと
広い道が続いている。きっとそれに違いない。
 と、5分ほど歩いていくと、博物館はあった。

●中国古車博物館

 この博物館は、1990年、高速道路建設の時に偶然に発見された。だから、博
物館のすぐ隣を高速道路が走っている。
 入場料25元(約340円)を払って入ってみると、中は公園のようになっていた。
池もある。正面には、三角の建物があり、それが博物館のようだ。
 中に入ってみると、展示室があった。1階と2階に中国の古代の車の復元モ
デルが展示されている。その多くが戦いに使われた戦車だ。それらは精巧に復
元され、とても迫力がある。
 もちろん、出土した遺物の数々も展示されているし、戦車を使った戦法まで
展示されているのが、とても興味深い。
 春秋戦国を中心とした1階に対して、2階はそれ以後の車が展示されている。
戦争に使う車もいあれば、移動に使う車もある。復元モデルのなので、見てい
ても楽しい。

○中国古車博物館
中国古車博物館

●高速道路の下

 そして、展示室からさらに進んでいくと、地下に降りて、ここから出土した
古車がそのまま展示されている。
 ここは、前にも書いたように高速道路の工事中に見つかったものだ。だから、
天井は高速道路となっている。遺跡が出たからといって迂回はしていない。
 手が届きそうなほど低く、車が通るたび部屋中に重い音が響き、天井が揺れ
る。なんというか、少し恐ろしい場所だ。
 しかし、それだけのことをしても残そうと思った車馬坑はすばらしい。本物
の馬車と馬が発掘の当時のそのまま展示されているのだ。
 坑は南北が30.8メートル、東西の幅5メートル、戦車1O輌、馬132匹がまっす
ぐ並んでいる。馬の頭は西へ向き、四肢は曲げられ、戦車を牽きながら疾走し
ている状態で埋葬されている。壮観だ。
 近くで見ると、あちこちが崩れていて、ほこりをかぶっているのがなんとも
いえない。それと、天井が低く、上から俯瞰することができず、ガラスの覆い
が邪魔になって横からしか全体を見渡すことができないのがとても残念だ。
 この遺跡は、本当に高速道路の真下にある。遺跡の幅と道路の幅がまったく
同じように思える。すごい。

『文字鏡研究会』今昔文字鏡

●つづく●
                       Copyright(C), Taki 2003
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