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No.175 中国山東省2003―29.再び青島

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●青島へ

 青*島(チンタォ)は烟台(ィエンタイ)の南にある。黄海に大きく突き出し
た山*東(シャンドン)半島のちょうど北と南に烟台と青島はある。烟台から青
島へ行く方法はいくつかあるが、バスで行くのが最も手っ取り早い。なぜなら、
本数も多く、バスの種類も多いからだ。
 ひとつは、長距離バスターミナルからの豪華なバスだが、ミニバスサイズの
バスも出ている。料金は20元(約270円)ほどの差があるが、豪華は駅から離れ
たバスターミナルに到着するが、ミニバスサイズは駅に到着する。もちろん、
そのほうがいろいろと便利だ。
 日本の都市部では、中距離の移動は電車がよく使われるだろう。だから駅前
に繁華街やアーケード街ができるが、中国はそうではない。
 なぜなら、中国の列車は長距離を移動するもので、中距離はバスの役目だ。
だから日常的に鉄道を利用する人は多くない。
 だからバスターミナルは駅から離れていることが多い。その上、ターミナル
は複数あることが多い。
 前回は離れたターミナルでいろいろと面倒だったが、今回は駅に着くバスに
した。

*島: *東:
『文字鏡研究会』今昔文字鏡

●天后廟

 青島は烟台よりも観光するものは多いのだが、今回も都合があり短期滞在と
なる。さらに冷たい雨が続く悪い天気だったため、いけるところは限られてい
た。その中、雨と風の中何とかいけたところが、ここ天后*廟(ティェンホウ 
ミャォ)だ。
 天后とは道教の海の航海の神で、中国の海岸沿いに廟がいくつもある。また、
台湾や香港でも多く祀られ、日本の中華街の関帝廟にも祀られているところが
ある。
 青島は言うまでもなく港町だ。だから天后廟がある。といっても、今は民俗
博物*館(ミンスー ポーウーグヮン)というものになっている。このように、
道観がほかのものに転用されているのは、中国ではよくあることだ。その経緯
は知らないが、一時期宗教を否定していたので、そのときに博物館などに転用
されていたのかもしれない。
 今でも天后像が置かれ、賽銭箱もありまだまだ信仰の対象になっているよう
で安心した。
 本殿の隣は督財府(ドゥツァイフ)があり、そこには例によって*関帝(グヮ
ンティ)が祀られていた。また、天后の歴史の展示室も会った。
 入口は、お土産物の売り場になっている。なんというか。そこまでは無料の
ようだが、そこから先は5元(約67円)必要だ。

○青島の天后廟
青島の天后廟

*廟: *館: *関:
『文字鏡研究会』今昔文字鏡

●佳世客

 「佳世客」。これの中国語発音を無理やりカタカナにすれば、「ジャシク」。
そう、日本のスーパーのジャスコだ。その海外店のひとつが青島にある。
 今では中国のスーパーマーケット、「超市(チャォシー)」がめずらしくな
いことはすでに書いたとおりだ。だが、佳世客はちょっとちがう。日本のジャ
スコと変らないのだ。
 いや、スーパーである以上、共通しているところは多いのだが、それでも中
国的なフォーマットがある。その一つが、スーパーが囲まれていることがある。
つまり、売り場は囲いの中にあるということだ。
 もちろん、買わなくても出ることはできるようだが、警備員や店員が立って
いるエーとを通らなければ売り場にはたどり着けない。
 しかし、ジャスコには囲いはなかった。日本のスーパーと同じだ。さらに、
中国ではめずらしい日本の調味料も当たり前のように売っている。
 日本で行きなれたスーパーでもどことなく違和感を感じていた中国のスーパ
ーだったが、まるで日本にいるように感じるスーパーだ。
 会社の命令で興味も無かった中国に滞在し、日本人よりもはるかに強力な中
国人を前にして辟易しているような日本人にとっては大切なところだろう。
 ぼくにとっては、特に必要な場所ではないが。

○青島の佳世客
qinjske.jpg

●家福楽

 家福*楽。これもスーパーの名前だ。例によって無理やりカタカナで書くと
「ジャフルァ」。これはちょっとわかりにくいが、「カルフール」だ。フラン
ス系のスーパーで日本にも出店しているが、店舗数がまだまだ少ないようで知
らない人も少なくないかもしれないが。
 フランス系ということで何か新しいことがあるかというと、よくわからない。
今中国で見るありきたりのスーパーだ。中国でスーパーができたのはそれほど
古い話ではないので、みんなカルフールのまねをしているのかもしれないが。

*楽:
『文字鏡研究会』今昔文字鏡

●新華書店

 もちろん、山東省一とも言われる都市の青島にも新*華*書店(シンファ シ
ューティェン)がある。目を凝らしてみると、あちこちにあるが、佳世客の斜
め向かいにある新華書店はかなり大きい。北京(ベィジン)の王府井(ワンフ
ーチン)や西単(シータン)にある巨大書店と同じくらいと聞いていてが、た
しかに大きい。
 いくつものフロアに別れて、様々な本が売られている。香港や台湾の小さな
本屋にすら勝てないが、「漫画(マンファ)」のコーナーもあり、日本のマン
ガの翻訳版も売られている。しかし、量のほとんどを占めるのは、中国の作家
が書いた、「古い」タイプのマンガ本だ。
 とはいえ、美術のコーナーには日本のものの翻訳版とは言え、マンガの描き
方、アニメの作り方、そしてCGの書き方の本まで並んでいる。中国でも日本
で通用するマンガ家が登場するのは、そう先の話でないかもしれない。
 最上階は、CDやVCDなどのソフトのコーナーとなっている。近くの佳世
客や家福楽にもソフト売り場があるが、こちらのほうが量が多いのではないだ
ろうか。
 しかし、ぼくの中国旅行訓にこういうものがある。
 「ほしいものを見たときには、その場で買え。たとえそこよりも大きな町、
大きな店に行くとしても、そこにあるとは限らない」
 だから、必ずしも、大きな店にほしいものがあるとは限らない。

*華: *書:
『文字鏡研究会』今昔文字鏡

●つづく●
                 Copyright(C), Fieldnotes. 2003-2004
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