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No.177 中国山東省2003―30.烟台07 二つの道観、天后廟と陽主廟

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●烟台市街概略図

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 天:天后廟 陽:陽主廟 西:西炮台 東:秦始皇帝東宮  文:烟台大学 駅:烟台駅 Ю:東炮台 △:烟台山 ▲:毓[王黄]頂公園 ●天后廟  青*島は海の守り神、天后*廟(ティェンホゥ ミャォ)があったが、同じ港 町の烟台にも天后廟はある。こちらも博物館となっている。  烟台の大通り、百貨店やスーパー、銀行が並ぶ中心街の南大街(ナンタージ エ)に面している。しかし、南大街は昔は街路ではなかったようで、こちらは 天后廟の裏面になる。正面側は街路を建設中で封鎖されているようだ。  やたらきれいできらきらしていた青島の天后廟と違い、烟台のは古くてすす けている。だから、見た目は精彩にかけるかもしれない。  しかし、これは何を意味するのか。つまり、戦中戦後の混乱、そして文革の 破壊を逃れたということだ。  だからよく見てみると、門の天井には細かい彫り物がいっぱいある。古くて 色ははがれているものも、竜も獅子も細かい。  めぼしい博物館がない烟台、だからここもそれほど期待していなかったが、 まさか清時代の道観が残っているとは思わなかった。  中国ではいろいろと道観を見ているが、清以前の建物が残っているものは少 ないように思う。いや、それ以前に道観そのものが残っていること自体のほう が珍しいのだ。 ○烟台の天后廟 烟台の天后廟 *島: *廟: 『文字鏡研究会』今昔文字鏡 ●芝罘島へ  すでに「地球の歩き方」に載っている観光地はすべて回ったが、まだまだ烟 台には観光地がある。そのひとつが芝罘島(チィフ タオ/しふうとう)だ。  烟台市街の北西にあり、島といっても砂州でつながり、今では車も走れるほ どの陸になっている。ここには山があり、そこには始皇帝(シファンディ)も 三度登ったという。  そして、その山の麓には一つ廟があるようだ。地図には*陽主廟(ヤンジュミ ャォ)とある。ただ、道教が宗教として整理されるのは1世紀ごろの後漢時代。 そして現在のように宗教施設ができ形式化していくのはもっとあとの時代と考 えられる。つまり、この陽主廟と始皇帝は直接の関係はないだろう。  とはいえ、道観好きのぼくとしてはいかないわけにはいかない。とはいえ、 中国で買ったガイドにも行き方は載っていない。さて、どうしていこうか。  幸い中国の都市地図にはバス路線が載っている。それによると烟台駅から芝 罘島へバスが出ている。26路(アーシーリュゥ ル)のバスで田*[田童](ティ ェンハォ/でんたん)というところで降りると近いようだ。  とにかく情報がない。こういうときは行ってみるしかない。26路で1元(約 13円)。30分ほどで到着。しかし、そこは何も無い造成地。  勘を頼りに山のほうへ歩いていってみる。すると、斜面に何か建物が見えて くる。しかし、どう見ても廟のようなものではない。途中で道を聞いてもその 建物のほうだという。  そこは、もう使われていないロープウエイの駅があるだけだった。しかし、 下には古い廟があった。 *陽: *[田童]: 『文字鏡研究会』今昔文字鏡 ●陽主廟  急いでその駅から降りて廟の前まで行くと、そこが陽主廟だった。ただし有 料8元(約110円)。  古い門をくぐると、真新しい西洋風彫刻の天后像が出迎えてくれる。そして 小さな畑と兵馬俑のようなひとがたが並んでいる。どう考えても新しい。隣に ある使われていないロープウエイ駅と合わせても、観光資源としてつくられた ものだろう。しかし、どう見てもここには不似合いだ。  この廟も市街にあった天后廟と同じように古い。それは、手入れされていな いので汚れているというのではなく、建てられたのが古いのだ。天后廟といい 烟台には古い廟が残っている。一体何があったのだろうか。  ここもそうだが、烟台と青島の道観を見て感じたことは、どれにも本殿の正 面に舞台があることだ。日本の神社では、本殿の前に神楽などを奉納するとき に使う舞殿があるものがあるが、道観で舞殿というのはここで始めてみた。  何か特別な理由でもあるのだろうか。それとも、今まで見た大陸の道観は、 最近再建されたものばかりだから、ここのように古いものは見たことがない。 ということは、舞殿というのは道観に本来あるべき建物だろうか。 ○陽主廟の中門 陽主廟の中門 ●西炮台  海岸線にある東炮台(トンパオタイ)は高級住宅街の近くにあり、きれいに 整備され公園となっている。烟台には、もう一つ炮台がある。それが西炮台 (シーパオタイ)だ。市街のはすれにある西炮台はどうだろうか。  炮台を通るバスはないので、近くに行くバスに乗る。駅から1路(イー ル) で烟台電視台で降りる。1元(約13円)。正面に丘が見えるのでそこを目指す。  途中、看板があり、坂を上っていくと城壁が見えてきた。6元(約80円)の 入場料を払おうとしたが誰もいないのでそのまま入った。出るときに払えばい いだろう。  門をくぐり、植え込みの間の道を登っていくとすぐに石門があり、そこをく ぐると戦車や野砲が展示されている。いや、野ざらしにされているようだ。一 応、ここは国防公園(グォファン ゴンユェン)だ。  素人のぼくが見ても時代遅れとわかるそれらの兵器は、展示されているとい うよりもただそこに置かれているだけだ。  その先に歩いていくと、炮台をすえつけた台があるが、ただあるだけ。いろ いろ名パネルなどの展示があった東炮台とは違う。入場料4元(約54円)の差 だろうか。よくわからない。 ○小さな大砲が据えつけられている西炮台の砲台跡 小さな大砲が据えつけられている西炮台の砲台跡 ●秦始皇帝東宮  西炮台の次は、まだ時間があるので烟台*経*済技*術*開*発区にあるという秦 始皇帝*東宮(シファンティェ トンゴン)に行くことにした。始皇帝の東宮だ。 二千年以上前のものが残っているわけはない。まちがいなく、後世の建物だ。 もしかすると、最近のものかもしれない。  ともあれ、資料がない以上、行って見なければつまらないものかどうかはわ からない。西炮台の北に芝罘屯路(チィフトン ル/しふうとんろ)に走って いるバスでいけそうだ。21路(アーシーイー ル)のバスで西蒙西(シーメン シー/せいもうにし)で降りる。  ところが、それからが大変だった。気温が低い中、工業団地の中を30分歩か なければならなかった。  そしてたどり着いたのは、巨大な建物。古代の城郭を参考にした外観は、こ こ数年に作られて物には見えないが、数百年を経た建物にも見えない。しかも、 砂浜を造成したところに立っている。  とても怪しいが、せっかくきたので入ってみようと思うと、入場料15元(約 200円)。しかも一人では入れないという。こんなバカな話はないので入るのを やめた。  帰ろうとしていると駐車場に説明板があった。それによると、この建物の中 には始皇帝が東宮へ行幸した様子を再現したジオラマが展示されているという。 これで15元。入らなくてよかった。  しかし、延々と続く砂浜はきれいだ。 ○ものすごく新しいものに見える秦始皇帝東宮 ものすごく新しいものに見える秦始皇帝東宮 *経: *済: *術: *開: *発: *東: 『文字鏡研究会』今昔文字鏡 ※中国の通貨「元」の日本円への換算は、旅行中の私の両替率の平均から概算 しています。                      1元=約13.4円 ●つづく●                  Copyright(C), Fieldnotes. 2003-2004 □□□□▲旅のフィールド〈メモ〉▼□□□□□□□□□□□□□□□□□□
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