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No.184 中国山東省2003―34.中国考02 中国のファッションを考える

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●中国とファッション

 中国の服といえば人民服。というのはもうはるか昔の話となってしまった。
10代や20代の、特に女の子はファッションに気をつかっているようだ。
 テレビをみていても、そのまま日本に来ても十分通用するような女性が活躍
している。
 中国は日本以上に貧富の差は大きい。それは、貧しい人は日本人が想像もで
きないほど貧しいことを意味するが、豊かな人は一般の日本以上に豊かという
ことも意味する。
 たとえば、大学に通うからといってみんなお金があると言うわけでなく、日
本以上の学歴社会の中国では、大学に入るために借金をすることもあるという。
 つまり、大学に行けるかどうかは、先に書いた貧しいままか、豊かになれる
かの分岐点の一つでもあるのだ。
 大学のキャンパスを歩いていると、中国風のおしゃれな服装をした学生が大
勢いる。町を歩いていても、おしゃれな服を着た女性は大勢いる。だからとい
って、彼女ら彼らはお金持ちかというと、必ずしもそうではないという。
 中国人は、洋服にお金をかける傾向がつよいようで、見た目は日本人と同じ
ような服を着ていても、住んでいるところはそうではない、ということも多い
らしい。

●茶髪

 服装以外でも、一つのキーワードとして茶髪がある。数年前は、上海のよう
な中国一おしゃれな町でもほとんど見かけなかった。しかし、今は烟台のよう
な町でもごく当たり前のように見かける。
 若い学生はもちろん、おばさんでも茶髪はめずらしくはない。ただ、色は文
字通り茶色で、日本のヤンママのように、黄色かったり、プリン状の人はまだ
まだ少ない。
 あとは中国の特徴として、赤く染めている人がやたらと多いということがあ
るだろうか。茶髪ではなく、赤髪だ。
 このように、おしゃれに気を配る人々が増えていることからもわかるように、
ファッション雑誌も数多く売られている。
 多くが日本の雑誌の中国語版だが。といっても、日本も欧米のファッション
雑誌の日本語版を多数出しているので、中国のことを笑えない。
 中国の雑誌の内容は、半分は日本の記事をそのまま翻訳、残りに中国オリジ
ナルの記事だという。
 話を聞いたところでは、中国人自身も、日本の記事と中国の記事の差を感じ
ていて、日本の記事のほうがよりおしゃれだという。

●哈日族と哈韓族

 このように、中国でのファッションに基準のひとつは、日本のファッション
だ。
 10年位前から台湾では日本ブームで、日本語がわからないものの、日本のフ
ァッションを追いかける10代が現れた。彼らは、「哈日族(ハーリーズ)」と
呼ばれていた。それが、大陸にも影響を与え、日本ブームが来たとのだろう。
 しかしその後、台湾では韓国のファッションブームが起こり、そういう10代
を「哈韓族(ハーハンズ)」と呼ぶようになった。
 その結果、今の台湾は、20代が日本ファッション、10代が韓国ファッション
と分かれているらしい。
 日本ブームが台湾から入ってきたのなら、韓国ブームも台湾から入ってきて
も不思議ではない。ちょうど、今いるのは大学の近く、そういう年代だ。
 また、烟台は韓国との定期航路がある港町で、駅前などにはハングルの看板
も多く、韓国人も多く居住しているようだから、情報が入りやすいのかもしれ
ない。
 大学周辺にはCDショップがあり、大音量で音楽を流しているのだが、すべ
て中国語か、韓国語の音楽だ。そんな中、唯一聞いた日本語の歌は、サザンオ
ールスターズの「TSUNAMI」だった。

●若い国

 これだけ韓国があふれているが、正直言って韓国のセンスは日本ほど洗練さ
れているようには感じない。実際、町で売られているファッション雑誌は、圧
倒的に日本の雑誌の翻訳版だ。
 さらに中国の町を歩いている人を見ていても、日本のファッションセンスが
いかにアジアではいいものかがわかる。日本で生活をしたことがある中国人も
それは認めている。
 しかし、今はファッションに関しては日本ではなく韓国ブームなのだ。これ
は、単なる流行の移り変わりと解釈するほうがいいだろう。
 となると、日本、韓国と続いたあとは東南アジアのファッションのブームが
来るだろうか。
 いや、その頃には中国自体がアジアの情報発信地のひとつになっているよう
な気もする。
 中国の若い人たちのファッションへの注目度は非常に高い。今の中国自体が、
若い国という状態のような気がする。だから新しいものに対する貪欲さはすご
いものがあるのだ。
 今の中国をあらわす言葉として、半年たてば新しい建物が建ち道に迷う、と
いうものがあるが、ファッションにしてもしかり。
 あと、気になったのは、メガネの人が非常に多いことだ。視力が悪い人は日
本人の方が多いだろうが、コンタクトレンズが普及していない中国は、メガネ
の人は日本人よりも多いかもしれない。
 中国人は目がいい、と言うのは、すでに過去の話かもしれない。もっとも、
ぼくがいたのは大学周辺だったので、目立っただけかもしれないが。

●つづく●
                 Copyright(C), Fieldnotes. 2003-2004
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