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No.201 中国山東省2003―43.中国考09 神舟、宇宙の旅
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●世界で3番目の国
ぼくが烟台に着いた10月15日、中国は歴史上3番目の人間を宇宙空間へ送り
込んだ国になった。ただし、1番目も2番目も今から40年も昔の話だ。
ただ、早朝烟台に着いたところなので、それらしいことを知ったのは、列車
の中で読まれていた新聞からだった。
だから、詳しい内容はわからなかったが、事前にぼくが中国滞在中に打ち上
げられるだろうとい情報を耳にしていたので、驚きはしなかった。
15日、烟台に到着すると、まだ新聞でも大きく取り上げていないようだった。
中国のロケットの詳しい状況はわからないが、北京の人気のある夕刊では、月
への探査にも乗り出すとの記事があった。
打ち上げたロケットが無事帰還し、有人宇宙飛行の成功が確認された翌16日、
有人ロケット打ち上げ成功発表の報道があり、朝から特別番組をしていた。た
だし、10局くらいある中の2局だけだが。どちらも国営系の全国ネットの放送
局のようだ。
内容も、基本的には録画番組のようだ。宇宙飛行士のインタビューもある。
宇宙で撮影した映像もあった。早い。
●神舟
「神舟(シェンチョゥ)」と言う名前は、江*沢民氏が国家主席時に名づけた
ものと言う。日本語の感覚で解釈すると、「神の舟」ということになるが、こ
の場合の「神」は、「神々しい」「神秘的」に近い意味という。実際、中国語
の辞書を見ていると、「神」という文字には、日本語の「神」と言う字が使わ
れる熟語の意味も兼ねているようだ。
船体は最大直径2.8メートル、全長8.8メートル、重さは7.6トンの円筒形に近
い形で、3人乗り。恐らく、日本人にとっては宇宙船と言うと、スペースシャ
トルか、アポロ指令船と言うことになるかもしれないが、中国の宇宙開発はソ
連の技術を導入したと言われているので、ロシアの宇宙船ソユーズとよく似た
構造とされている。
宇宙を飛行中は、軌道上で宇宙飛行士が船内活動をする「軌道船」、打ち上
げや帰還時に乗る「帰還船」と、動力部の「推進部」の3つから構成され、軌
道船と推進部に太陽電池パネルが2枚ずつ付いている。このあたりをみると、
ソ連・ロシアの宇宙船のような印象を受ける。
この「神舟」というのは、あくまで宇宙空間を飛行するための部分のはなし
で、テレビなどでよく見るロケットはまた別だ。こちらは長征(チャンチェン)
2Fロケット、別称「神箭(シェンチェン)」ロケットで打ち上げられる。
今回の打ち上げは、15日午前9時(日本時間同10時)、中国北西部、甘粛省
(ガンスー シェン)の酒泉(ジゥチュァン)衛星発射センターから打ち上げ
られた。
その後、約21時間をかけて地球を14周し、16日午前6時23分(日本時間同7
時23分)、予定通りに内モンゴル自治区中部の四子王旗(スゥズ ワンチ)着
陸場に帰還した。
*沢:
●報道と人々の反応
成功が確定した16日には新聞も多くが1面で特集を組んでいた。それらを3
誌買った。
しかし、烟台の人々の反応は意外とクールだ。友達に聞いたところでは、日
常会話の中には宇宙飛行の話し入っていないようだ。
これは、自分たちの生活には何も影響が無いだろうと思っていると同時に、
深刻なお金の無駄使いとも思ってないようだ。いいことか悪いことか。
それから、人民日報のインターネット日本語版ページにはいろいろと関連記
事があるが、酒泉が観光スポットになるだろうとあった。これで、酒泉も世界
での知名度も、これからじわじわと盛り上がっていにちがいない。とそのとき
はそう思っていた。
●1週間後
有人ロケット打ち上げから一週間がすぎた。もう新聞の1面でもテレビでも
神舟の名前は見かけなくなった。今は、いつもどおりの日常だ。
烟台大学の学生の一部に中国のロケットについて聞いてもらったところ、全
員知っているものの関心がなく、一部にはお金の無駄使いという意見もあった
そうだ。
しかし、有人宇宙飛行の成功は国民としても自慢すべきことだと思う。技術
的にも、国家的にも人間を宇宙に送り込むことができる数少ない国だからだ。
国内的にはあまり効果がなかったようだが、国外的にはとても大きな効果が
あったと思う。これで国際社会における中国の威信も向上すっるだろう。
とはいえ、月だ火星だと言うのはちょっと早いんじゃないかな、と思うが。
日本は宇宙では中国に負けてしまった。もちろん、すべてにおいてではない
が、かまわない。宇宙よりも難しい海底は、日本の独断場だから……
※中国の通貨「元」の日本円への換算は、旅行中の私の両替率の平均から概算
しています。 1元=約13.3円
●つづく●
Copyright(C), Fieldnotes. 2004
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