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No.203 中国山東省2003―44.中国の食べ物4 中国の餃子

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●餃子

 中国の食べ物といわれ日本人が思い浮かべるもののひとつに餃子があるだろ
う。実際、烟台でも多くの餃子屋を見かけた。メニューに餃子があるというの
ではなく、餃子が屋号についているのだ。
 つまり、餃子専門店が成り立つほど餃子にバリエーションがあるということ
だ。さらに、沿岸部の北の地方では餃子が主食として食べられている。
 ぼくも中国との10年近い付き合いの中で、最近、餃子を主食として認識でき
るようになってきた。この調子であと何年かすると、餃子を主食として食べる
ことができるようになるかもしれない。などと感じる。
 とはいえ、日本人にとっての餃子である焼き餃子は主食にはできそうにない。
もちろん、日本の焼き餃子もおいしいが、やはりおかずだ。しかし、中国の餃
子である水餃子は、ちゃんと主食にもなりうるように感じる。しかも、おかず
も兼ねている主食だ。
 以前、日本在住の黒龍江省出身の方の家で餃子を食べて以来、餃子を食べれ
ば食べるほどに中国の餃子の奥深さを実感している。
 中国北方系の餃子は、日本人の餃子とはちがう。よく言われる話では、日本
の餃子も中国北方系のはずなのだが。
 この餃子だが、いろいろと話を聞いたり体験したりした結果、華北の家庭料
理の餃子というのは、日本のおすしに近いような気がしてきた。親戚など大勢
が集まるときやハレの日などに、みんなで食べるためにつくる料理。
 あるときお邪魔した家で、近くに住む親戚の奥さん方が集まって餃子をつく
っている光景をみたことがある。日本の家庭のお寿司、ちらし寿司の類のよう
な気がした。

●水餃子

 とはいえ、中国中がそのように餃子を主食としているわけではない。同じ中
国でも、南方系に多い蒸餃子や水餃子(スープ餃子)も、主食ではない。特に
香港で食べる点心などは。
 そのように餃子一つとっても多様性のある国だけに、中国にも焼き餃子が無
いかというと、ちゃんとある。食堂などのメニューになっていることもある。
ごく稀に。
 しかし、中国では食べ残した水餃子を翌日焼いて食べるということで、あま
りいいイメージがないという。だから数は少ない。
 そういうことで、たまたま焼き餃子に出会っても、日本で食べるよりもおい
しいものに出合ったことがまだない。
 しかし、自分でつくった水餃子、茹でた餃子を次の日焼いて食べると、これ
がおいしい。日本の焼き餃子とはまた違ったおいしさだ。だからといって、茹
でずに焼くとおいしくない。というよりも、なかなか火が通らない。
 その場合は、とりあえず、電子レンジで火を通しておいて、焼く。しかし、
そういうことするなら、茹でて食べてしまうだろう。水餃子はやはりゆでるも
のだ。

●「餃子」とは

 餃子は、中国料理の点心の一種と位置づけられているようだ。もともと中国
東北地方の食べ物だったのが、満州族が清朝を樹立した時に漢族の間にも広が
り、華北地方を中心に普及した。
 華北地方では日本の餅と同じように正月や節日に、また冠婚葬祭などに必ず
食べられると言う。
 「餃子」。日本では「ぎょうざ」と呼ばれているが、この文字を日本語とし
て読めば「きょうし」「こうし」「きょうつ」「こうつ」といった感じだろう
か。もちろん、「ぎょうざ」とは読めない。
 また、今の中国の標準語では「チャオズ」のような発音になる。つまり、
「ギョウザ」ではない。
 では、「ギョウザ」とは一体どこの呼び名なのだろうか。それは、山東省の
発音「ギョウズ」が由来とも言われている。
 山東省は、日本の餃子とは関係があったのだ。その山東省で食べる餃子は、
なんだか味が違うように感じた。

●餃子をつくってみる

 やはり、実行あるのみ。そいうことで餃子を作ってみた。家庭料理というこ
ともあり、意外とつくり方はシンプルだ。
 日本で餃子と言うと、ひき肉やニンニクというわりとバリエーションに乏し
いものだが、中国のはそうではない。それこそ無数に種類がある。
 その中でも、もっともシンプルなものが素菜餃子だ。これは、ニラと玉子だ
けという具のシンプルな餃子で、餃子店でも最も安い餃子になる。
 だからといってばかにできない。シンプルであるのだが、ニラの風味と玉子
の甘さが一体となり、茹でたての皮の中にはたっぷりのニラ玉スープがたまり、
ニラ好きにはたまらない一品だ。それを作ってみた。
 作り方はいたって簡単だ。みじん切りしたニラと同じくらいの量の炒り玉子
を混ぜ合わせ、塩で味付けするだけ。隠し味には醤油とごま油。それを皮で包
む。あと、春雨を少々混ぜると、ニラのスープが出過ぎなくて言い感じになる。
 皮よりも餡を先につくるのがいい。なぜかというと、皮を作りながら、餃子
も作りも始められるからだ。
 先に皮をつくると、餡をつくっている間に乾くので、ゆでるときに破れやす
くなるという。

●皮をつくってみる

 皮を作るのがめんどくさければ、今では水餃子用の皮を売っているのでそれ
を買えばいい。しかし、ぼくは無謀にも皮を作ってみた。
 今まで皮を作った経験はない。つくっているところを何度か見たことがある
だけだ。
 しかし、心配はいらない。皮も簡単だ。薄力粉と水をこねるだけ。水の量は
少なめにして、様子を見ながら足していくのがいい。失敗したのなら、粉や水
をたすことでやり直しがきく。
 最初は粉に水と少しずつ入れて、混ぜながらだんだん水と入れていく。まと
めたら、力をいれて、こねている。表面は滑らかになり、ちょっと固めになれ
ば、少し寝かせて出来上がりだ。
 量は適当だが、大体店で売っている一袋500グラムで4人前ぐらいだろうか。
餡の量も適当だが、ぼくがつくったのはニラ2束と玉子3個くらいだった。こ
れはあくまで目安だ。個人の好みに合わせるべきだろう。

●皮を伸ばす

 しばらく、5から10分くらい、上に水にぬらしてから固く絞った布巾を置い
ておく。
 そして、その生地を餃子の皮一枚分の量に分ける。中国では、500円硬貨くら
いの直系の棒状に伸ばし、それを適当な大きさに切り分けていく。もちろん、
手でちぎってもいいだろう。
 それを形を整えてから、手のひらで丸くつぶし、麺棒で適当な大きさにのば
していく。このときに、大の上には引っ付かないように粉を打つのはお約束だ。
 このときの大きさは市販の餃子の皮を参考にすればいい。厚さについては、
これも経験だろうか。ただ、茹でるので焼き餃子よりも厚目がいいだろう。
 餃子というと皮の合わせ目の波模様だが、あれは単なる飾りでそれ以上の意
味はない。だから包みやすいように包めばそれでいい。
 茹でるときは、たっぷりのお湯で、あまり餃子を入れすぎないように。沸騰
したらびっくり水をいれて吹きこぼれないようにする。しばらく茹でて、餃子
が浮き上がってきたらできあがりだ。
 コツとしては、一度に大量に作るのが楽かもしれない。その日食べきれない
分は、適当な量ごとにフリーズパックなどに入れて冷凍すれば日持ちする。そ
して、多めに茹でて、残りは、次の日に表面をかりっと焼けば、またおいしい。
 食べるときは、中国風なら黒酢だが、なければ日本風に酢醤油でもおいしい。

●つづく●
                   Copyright(C), Fieldnotes. 2004
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