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No.205 中国山東省2003―45.中国考10 中国の博物館と書店

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●中国の博物館

 何かあると歴史が長いことを強調する中国人だが、そのわりには歴史の扱い
はとても雑だと思う。
 今回の旅でも、*臨*[シ畄]の古車博物館も殉馬坑も展示物にほこりが積もり、
蜘蛛が巣を張り、挙句の果てにひび割れていた。たしか、展示されていたのは
レプリカではなく実物だったはずだ。
 中国中の博物館がそういうひどい状況というわけではないが、やはり数とし
ては多いように感じる。
 博物館のあり方は、それを管轄する国や地域、企業の文化に対する考え方を
反映していると思っている。だから、中国の社会が変わり、人々の文化に対す
る考え方が変れば博物館も自動的に変わってくるだろう。
 新しい博物館は、いろいろな面で、今までの悪いところが直されている。今
の状況が続くのなら、あと10年もすれば、日本のトップ10と中国のトップ10を
比べれば、確実に中国の方が上と言う状況になると思う。もちろん、収蔵物の
時価の比較ではなく、博物館施設としての比較で。
 なぜなら、歴史好きの日本人だが、日本の博物館も中国よりはまし、と言う
程度のような気がする。現場の方はがんばっていることはわかっているのだが。

*臨: *[シ畄]:
今昔文字鏡

●博物館の将来

 ちなみに、同じ臨[シ畄]の*斉国*歴史博物*館は、地方都市の博物館としては
かなりしっかりした博物館だと思う。だた、歴史的人物、しかも古代の人物の
胸像のオンパレードがあるなど、すこし、首をひねるところもあったが。観光
としてはいいんのだが、一緒に記念写真撮るなどして。しかし、博物館には。
斉国歴史博物館は、来館者の動線も考えられた展示室のつくりで、中国の博物
館としては、ほんとよくできていると思います。
 ぼくが、中国で行ったことのある博物館関係の施設で、もっとも設備にお金
をかけていると思ったのが、上海博物館。
 次が、*盧*溝*橋のそばの抗日*戦争記念館。地方の小さな博物館とかにもい
いものがいっぱいほこりまみれているというのに、どうして怪しい資料ばかり
集めた抗日記念館にこれだけの金をかけるのか、複雑な思いだ。
 それににしても、はやく北京の首都博物館と故宮博物院の地下展示室が完成
して、悠久の歴史を持つ国の首都に相応しい博物館がそろうといい。なんとい
っても、今は……
 中国の博物館を見るときも、そんなことを考えながら見ている。ともあれ、
文化に対してお金をケチる国は、貧しい国だと思う。それで、日本は……
 それは日本の国だけでなく、日本人自体もそうだと思う。旅先で話していて
も、多くの人は本当に有名はところしかよっていないようだ。これはもったな
い。
 ぼくは、外国であっても、日本であっても、旅行であっても仕事であっても、
その土地の自治体の博物館にはできるだけ行くようにしている。
 そして、一通り見たまわったとは、ミュージアムショップで図録の類を買う。
今回の山東省旅行でも、買った本の1/3は博物館だった。

*斉: *歴: *館: *盧: *溝: *橋: *戦:
今昔文字鏡

●中国の書店

 中国にも本屋はある。大都市には、日本の大型書店以上の広さを持つ書店も
ある。そういうのは、中国語では「*書城」と書く。確かに、城のようだ。
 そういうう大型書店にはもちろん本も多くある。なかでもおもしろいのは、
本タワーだ。同じ本だけを、人の腰から胸の辺りまでになるほど積み上げてあ
るのだ。もちろん、床から。
 中には円形に並べ、互いに重なり合うように、レンガ積みの塔のようなもの
もある。それは、書塔と呼ぼう。
 あと、大型書店でおもしろいのが、棚に同じ本が何冊も入っていることだ。
日本の場合は、同じ本を大量に売るのは基本的には平台で、棚は各1〜2冊程
度並べるだけだ。最近は、デザインのためか、表紙を見せるように並べている
ところもある。
 それから、同じコーナーでも2年たったらまったく違う本が並んでいる。奥
付を見ると、最近のものばかり。
 重版という考えはないのだろうか。そして、一定期間がすぎた書籍はそのま
ま再起されるのだろうか。
 それと同時に、これは重要なことを示唆する。つまり、ほしいと思った本は
そのとき買わないといけないということだ。特に、ぼくのような旅行者は。

*書:
今昔文字鏡

●料理の本

 ぼくは中国へ行くと必ず本屋に行く。大都市でも田舎の村でも。大都市の大
型書店なら、時間が許せば1日かけてゆっくり回る。
 書店でチェックを入れるコーナーはいくつかあるが、その中のひとつに料理
所のコーナーがある。
 数年前はまったく面白くもないコーナーだったのだが、今では全ページカラ
ーで20元(約270円)もしない料理の本がいくつも並んでいる。なんというか、
新米奥さん向けの本って感じだろうか。
 写真が多くて、文字が少ないのでぼくでも読める。写真見るだけでもまた楽
しい。四川とか広東とかの中国各地の料理や、スペイン料理、イタリア料理、
もちろん日本料理のような外国の料理の本もある。
 そういう本を見て、「これは買いだ!」と思ったわけだ。
 しかし、ほかの本を買うことに注意がそれてしまって、すっかり忘れてしま
った……
 たとえば、日本料理の本だが、結構ちゃんと書いているのもある。しかし、
本当に日本料理なだけに、中国で材料がそろうのか、と言う疑問があるが。
 ファッションの本(雑誌じゃなくて)などでは、日本の本の翻訳版が出てい
るので(多分海賊版じゃない)、料理もそういうのかもしれない。

●旅行の本

 あと、中国も旅行ガイドが豊富だ。前回の北京でも、今回の山東省でも、中
国のガイドは役に立った。
 もちろん、「歩き方」にも載っているのなら、「歩き方」の方が役に立つ。
やはり、日本の出版社の蓄積にはかなわない。
 と思うのだが、世界中のバックパッカー御用達の「LONLY PLANET」も必ずし
も見やすいとはいえないので、これは日本人の感性ということだろうか。
 そのようにデザインも凝っている「地球の歩き方」によく似たガイドブック
のシリーズもある。これは海賊版ではないかと思っている。
 見た目だけでなく、中の編集も「歩き方」そっくりで、写真も網の上に網が
かかって、つまり一度印刷した写真をそのまま写真原稿にした状態のように見
える。なによりもあのシリーズで日本は見たことが無い。中国人にとっては身
近な海外だというのに。
 というのは2年前の話で、今年見たら写真だけはだいぶまともになっていた
が。
 中国のガイドでおすすめなのは、「*華夏之旅」と言うシリーズで、中国の省
と自治区ごとに本がある。だから、どの都市でも日本で出版されているガイド
ブックよりもページが多い。もちろん、日本で紹介されていない地域のガイド
もある。
 今回の臨[シ畄]の旅も山東省編に助けてもらったのだ。

*華:
今昔文字鏡

※中国の通貨「元」の日本円への換算は、旅行中の私の両替率の平均から概算
しています。                      1元=約13.3円

●つづく●
                   Copyright(C), Fieldnotes. 2004
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