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No.219 中国山東省2003―52.中国の食べ物8 水族館とおいしい

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●狗肉

 中国の食べ物のうち、多くの日本人にとってさけたいと思うものの一つが犬
の肉だろう。しかし、ぼくはまだ犬を食べたことはない。
 その理由の一つに、中国で会う知り合いは皆犬食なんてとんでもないと言う
人たちばかりというのが、最大の原因だろう。つまり、中国人全員が犬食をす
るわけではない。
 中国で犬食で有名なのは、朝鮮族ということになるが、韓国でサッカーのワ
ールドカップ開催時に、動物愛護団体などからクレームがついて大統領が禁止
令を出したらしいので、そちらではかなり盛んなのだろう。
 この中国での犬食のはなしをするといつも思い出すのが「羊頭狗肉」と言う
ことわざだ。
 羊肉を食べる習慣があることが前提のことわざだから、あきらかに中国由来、
そして羊肉よりも犬肉のほうがかなり価値が低い社会での話しだ。
 やはり、中国でも全体から見ると、犬肉はあまり歓迎されていないのだろう
か。それとも、豚肉でなく羊肉だから、元の時代にモンゴル人がつくったこと
わざだろうか。
 確かに、今の中国見てると、漢族がつくったのなら「猪頭狗肉」ということ
になるだろう。

●水族館とおいしい

 中国のことを話したが、ところ変れば食文化も変るということだろうか。同
じ日本でもところ変れば食文化も変るので、海の向こうの中国ならなおさらだ
ろう。
 さて、視点を変えてみて、日本にやってきた中国人の友達から聞いた話だ。
 来日して間もないころ、日本人ホストにいろいろなところへ観光に連れて行
ってもらったそうだ。その中にあったのは水族館。
 そこで学芸員が説明をしてくれたそうなのだが、魚を飼育展示している水槽
の前で、彼はことあるごとに「これはおいしいです」を連発し、時には調理法
まで説明してくれたとか。
 料亭の生簀の前ならともかく、水族館で、しかも飼育している学芸員が「お
いしい」を連発することにとても不思議がっていました。
 確かに、水族館は魚を食べるところでも、食べるために飼育するところでは
ありません。
 しかし、この学芸員が特別ではなく、普段食卓に並ぶような魚を見た場合、
それが水族館であってもおもわず「おいしそう」といってしまうのが、悲しい
かな日本人ではないだろうか。
 しかし、何でも食べると形容され、ペットショップのような市場に買い物に
行く中国人にもかかわらず、水族館の魚を見ても「おいしそう!」という感想
を持たないのは、不思議だ。

●好吃

 と思っていたら、こんな話を聞いた。
 ある人が北京のある水族館に行ったとき、「美味しそう!」という声を何度
か耳にしたという。やはり、日本人だけじゃなかったのだ。
 しかし、その人と一緒に行った中国人は、苦笑いしていたという。というこ
とは、水族館で魚を見て「おいしい」と言うのは中国でも苦笑いされるような
ことなのかもしれない。
 多くの日本人は、豚小屋や鶏小屋へいっても「おいしそう」とは言わないだ
ろうが、こと魚についてはこうではいようだ。
 かくいうぼくも、和歌山の水族館へ行き、近海魚の水槽でクエを見たときは
おもわず「おいしそう」といってしまった。クエのようなグロテスクな魚を。
食べたこともないというのに……

●キュリとヘチマ

 キュウリは日本ではポピュラーな食べ物だと思う。ただ、日本の多くの地域
では生のままサラダや酢の物にした食べるのが一般的だと思う。
 キュウリは漢字では「胡瓜」と書く。「胡」の字が使われるということは、
西域から中国へ伝わった食べ物だろう。
 ということで、もちろん中国でもキュウリはポピュラーな食べ物だ。
 ただし、中国で食べたキュウリの多くは火を通したものだった。炒めもの、
和えもの、スープもの。これほど火を通したキュウリが当たり前のように出て
くるのには、沖縄でヘチマを食べたときと同じように、なにか新発見したよう
な気がした。
 もちろん、どれもおいしかった。

●つづく●
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