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No.232 中国山東省2003―61.復路1 日本人のここがヘン

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●帰路の燕京号

 帰国は天津新港からのフェリーだが、「天津新港」とはいえ、天津駅がある
市街から数十キロも離れている。バスを使うと一度乗り換えして2時間もかか
る。
 乗り換え場所の塘沽駅前から「新港」行きのバスに乗ったのだが、「歩き方」
にかかれてある路線番号でなかったのでちがうところについてしまった。
 実は多分間違うと思ってたが、時間があるので試してみただけなので、フェ
リーには十分間に合った。
 乗客の多くが“中国人”というのはいつもと同じだ。おもしろかったのは、
中国残留孤児の日本人、モンゴル族の中国人、中国を研究していて中国語と日
本語が達者なアメリカ人という個性的な面々がそろったことだ。
 ただ、中国人が多いという状況なので、船内の共通語が中国語になるのはや
むをえない。だから、話の半分くらいはわからなかった。
 そんな中で日本人を観察するのも面白い。以下の文章中の「日本人」は「日
本国籍の人」と言う意味ではなく、「身にしみついた言葉や価値観などが日本
的な人」、と言う意味だ。同じく「中国人」も「中国国籍の人」と言う意味で
はない。

●日本人のここがヘン

 日中間のフェリーは、いつ乗っても圧倒的に中国人のほうが多い。フェリー
に乗る日本人は、基本的に物好きばかりのようだが、中国人の場合はお金を安
くあげたい人から、一番グレードの高い部屋でのんびり旅を楽しむと言う人ま
で様々だ。
 特に、等級の高い部屋は大抵中国人というところは、日本人の旅ベタが表れ
ているのだろうか。
 海外に行って見かける日本人は、「私に話しかけないで」オーラを出してい
る人がよくいるように、ぼくには見える。
 団体旅行者も突破不可能な「団体の世界」シールド(または「ATフィール
ド」)があるように見える。ある意味、団体のほうが話しかけにくい。
 個人の場合、ホテルのドミトリーだと話しかけやすいのだが、同じホテルで
もロビーとか、外の店とか、空港の待合室なんかでも「話しかけないで」オー
ラを感じる。
 空港だったらいい。隣の席にでもならない限りは、話す機会も話をする必要
もないだろうから。しかし、これが3日間も乗っているような船の場合は……

●孤独を愛する日本人?

 たしかに、中国人も部屋から出ない人はいる。出航と入港のときしか見かけ
ない人もいる。しかし、部屋から出る人はたいてい誰かと話している。
 もちろん、一人でビデオ見ているときもあるが、ずっとひとりっきりと言う
ことはない。
 ところが、日本人ではパブリックスペースでずっと一人ぼっちというひとが
よくいる。老若男女関係なく。いつもどこかをうろついている。よく姿を見か
ける。しかし、いつもひとり。
 ならそういう人同士話をすればよさそうなのだが、そうでもない。昔は、そ
ういう人にもきっかけがあったら話しかけていたのだが、そういう雰囲気の人
はどうも話が続かなく、最後は気まずい思いするだけなので、今は必要がなけ
れば話しかけない。
 彼らは外国にいる日本人がよくかかる「日本人近寄らないで」症候群なのだ
ろうか。しかしまわりは外国人ばかり。中国から乗ったのだから、中国人が嫌
いなわけでもないだろう。
 しかも、日本語が達者な人たちばかり、中国語ができなくても問題はない。
さらに、今回はアメリカ人の一家が一緒だ。日本人が大好きな白人だ。
 中国人は社交的だが、アメリカ人も社交的だ。彼らはよく話をしていた。中
国語で。
 でも、その社交的な中国人やアメリカ人は日本人に話しかけているところを
みたことがない。ぼくが話した感じでは、中国人もアメリカ人も日本人を嫌っ
ているようには感じなかったのだが。「話しかけないでオーラ」は、日本人以
外にも見えるのだろうか。
 こういう社交性は、日本人はもっと中国人を見習う必要があるかもしれない。

●閉鎖的な日本人

 この話を日本人の中国好きが集まる場で出したところ、多くの反論が寄せら
れた。
 しかし、そのすべてが、フェリーの中で日本人が集まって集団をつくったと
いうものだ。たしかに、日本人も集まることはあるだろう。しかし、件の人た
ちの経験は皆日本人だけの集団。結局は閉鎖的なのである。本人たちはそれに
気付いていいないだけなのだ。
 この「話しかけないで」オーラは、日本でも感じるときがある。日本のユー
スホステルでは、昔はみんなで大騒ぎしてペアレントやヘルパーに怒鳴られる、
というのが定番だったが、10年位前から「話しかけないで」オーラと、ひきこ
もり」が目立つようになってきた。これではユースの意味がない。実際、ユー
スは縮小の一途だ。

○別の燕京号の旅(2001年)
 旅のフィールドノートから「歴史悠久の北京」

●つづく●
                   Copyright(C), Fieldnotes. 2004
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