◎種別カメの魅力
  リクガメ編
    日本人の私にとって、亀と水とは切り離せない印象があり、その点、リクガメは
  陸上だけで生活するというだけでもエキゾチックな存在です。
    のんびり歩く姿も良い感じです。亀はのんびりというイメージは実は
  歩く姿のもので、泳ぐのは意外にキビキビしているものです。
  
    見かけも甲高のものが多く、既存の亀のイメージを裏切ってくれます。
    甲高なのは、直射日光での温度上昇が防げるからかも知れませんし、
  逆に体積に大して表面積が少ないので日陰などでの放熱が防ぎやすいの
  かも知れません。更には、大型の肉食動物に甲羅を噛まれる事を想定した場合、
  甲高の方が上下方向に噛みにくいので、良いのでしょう。肺以外の内蔵は
  腹甲側にあり、腹甲に穴が空くと命の危険が高くなります。また、背甲の断面は
  弧であるので、背甲を横に噛むと滑る可能性も高くなります。
  
    飼育上は草食のものが多いのも私にとっては魅力です。
    
    ただ、全般に、狩りをせず、野生に対して相対的に狭いケージに
  なる事もあり、運動量は少ないので、常にこちょこちょとよく動くとは言えず、
  寝るのが多いという傾向はあるので、活動的な動きを楽しむ派には不満かも
  知れません。むしろ、のんびりを愛する人向きですね。
  
ヨツユビリクガメ(ホルスフィールドリクガメ、ロシアリクガメ)(Testudo horsfieldii) リクガメにしては甲が低いですが、円いのが良いですね。幼さを感じさせ、 かわいいです。 リクガメの理想的な甲羅の形は半球に近く、円く、甲高なものでは ないでしょうか。甲高のものは前後に長くなる傾向があるので、円さ重視なら ホルスやゴファーガメなどでしょう。 目も円くて黒くかわいいです。 ケージ内ではなかなか満足にさせてやれませんが、登ったり、穴掘ったりと 仕種も魅力です。多くの個体は神経質でもないと思うので、慣れやすさという点でも 良いと思います。 安価で、入手しやすいのも良いです。ただ、 安いのはいいのですが、 その分、扱いが粗雑な気がするので、良いショップを選びたいものです。 寒さに強く、いざとなれば冬場は冬眠という手もあり、飼育するという 観点からも良いですね。飼育下では20cm程度と大きさも小さい方です。 割りに成長も早いので、幼体から飼うと育てる張り合いもあります。
ホシガメ(Geochelone elegans) 亀の事を良く知らない母が6万5千円/頭(10cm個体)と値段に値すると いった位で、誰でも一目見て好きになるきれいなカメです。 魅力はその模様ですね。甲羅の形も特に幼体では長さがあまりなく円に 近いのでかわいらしいです。 魅力については今更語る必要もないですね。 ただ、目は意外に厳しく、その分、かわいさがないかも知れません。 成長も遅いです。温度管理を中心に飼いにくいですし、「美人との付き合いは しんどいな」って感じですかね。
クモノスガメ(Pyxis arachnoides) 神秘の国マダガスカルは島内に乾燥地から高地、熱帯雨林など様々な 環境があり、多様な生物があり、マダガスカルというだけでは棲息環境を 推測できません。 マダガスカルのリクガメはどれも高価か入手不可ですが、その中のでも 手に入れやすいのがクモノスです。CITES Iだと思っている人が いるみたいですが、CITES IIです。 模様は黒地に黄色の蜘蛛の巣模様が多く、ホシガメ系の甲羅です。 線は赤くて細いものも見た事があります。 大きくならないとの触れ込みですがもっとも良く見る基亜種の キバラクモノスガメ(P.a.arachnoides)は20cmくらいになるようです。ホルスなみですね。 ブリードものもちらほら出ています。 腹甲が肌色で、蝶番があります。日本にいる個体はほとんど、これでしょう。 基本的には乾燥系だと思いますが、高湿度に強く、日本でも 飼いやすいとの噂です。南部の海岸に分布するようです。 この他に2亜種キタクモノス(P.a.brygooi)、ミナミクモノス(P.a.oblonga)がいて、これは どうも本当に大きくならないようです。キタクモノスには腹甲に蝶番がなく、 ミナミクモノスは蝶番はありますが、キバラと違い腹甲に模様があるようです。 これらは非常に珍しいので、飼育環境や飼いやすさは不明です。
ホウシャガメ(Geochelone radiata) マダガスカルのリクガメはCITES Iで野生個体は入手不可です。しかし、 マダガスカルのブリードものが入ってくる(来た?)といわれています。 甲羅の模様はホシガメ系で、集まってくる条線が直線的で、ホシガメと 違い中央で交わりません。そのうつくしさはホシガメ以上でしょう。 甲羅の形も幼体時は半球形ですばらしいです。甲長は50cmで見ごたえも 十分です。 飼育も温度、湿度の適応性も良く、飼いやすいようです。
ヘサキリクガメ(Geochelone yniphora) マダガスカルのリクガメはCITES Iで野生個体は入手不可です。しかも、 ブリードものが入る当てもなし。もっとも絶滅に近いリクガメの一つです。 甲羅の色は赤茶色の粘土色ですが、半球形いやそれより球形に近い形で オスは喉の下の甲羅が長く伸び、すばらしいカメです。
ヒラオリクガメ(Acinixys planicauda) 大きなクモノスの甲羅を上から押さえたような平たい甲羅です。 その名の通り、尻尾は潰したように平らです。一時、日本に数個体入ったようで、 ショップで見た事がありますが、CITES IIながら、今後まず入ってこないでしょう。 ヘサキ同様、絶滅に近いリクガメの一つで、マダガスカルでも ブリードできていない、それどころか、長期飼育もできていないようです。 食べ物がどうも難しくらしく、主な食べ物が棲息域のみにある特殊な実らしく 買っても飼えるか疑問らしいです。長期飼育には余程の研究が必要です。 CITES IIですが、これはおそらく現地でブリードできていないせいでしょう。 状態から言えば、完全にCITES Iものだと思います。
ギリシャリクガメ(Testudo graeca) リクガメの中で良く知られてます。飼いやすく、甲高の良い形で、 模様も様々。ブリード物が主流で、その点も問題ないです。 良く似たヘルマンとの識別は臀甲板が1枚である点です。 基亜種のムーアギリシャリクガメ(T.g.graeca)では腹甲に蝶番があり、 後ろ脚の付け根にケヅメ状の尖った鱗が左右1対でます。(なお、 ムーアギリシャリクガメ以外の亜種は未確認) 亜種も結構おり、その分類には比較的いろいろな考え方も提出されて いるようです。 なお、ギリシャの名前の由来は甲羅の模様がギリシャ織りに似ている事から 分類学の創始者リンネが付けたものであり、ギリシャにはほとんど生息して いません。地中海沿いにトルコ、イランからアフリカ北岸にかけてが 主な分布で、スペイン南部にも人が持ち込んだものが少し住みついてます。 ギリシャにいないと言いきれないのは、主にトルコに棲む亜種のトルコギリシャ リクガメ(T.g.ibera)の西端がギリシャ−トルコ国境を跨いでいるらしいからで、 バルカン半島にいるとかギリシャに広く分布しているというのは誤りです。
ヘルマンリクガメ(Testudo hermanni) ギリシャに似ていますが、臀甲板が2枚です。ギリシャ同様、ブリード物が 主です。模様もきれいなものが多いです。餌食いは良く、その点飼いやすい とも言えますが、その分、甲羅が凸凹になりやすいので、滑らかな甲羅を 維持するのは意外に難しいようです。 亜種はニシヘルマン(T.h.hermanni)とヒガシヘルマン(T.h.boettgeri)がいて、 ニシヘルマンはスペイン、フランスなど西ヨーロッパにいます。しかし、 野生個体は非常に危ない状態らしいです。黄色味が強いといわれ人気があります。 亜種の区別はニシヘルマンは左右の腹甲の黒い模様が前から後ろまでほぼ連続して おり、典型的には腹甲板と股甲板の間が途切れる程度です。一方、ヒガシヘルマンは 左右の腹甲の黒い模様が各甲板で途切れ気味です。もちろん個体差はありますが。 ただヘルマンとして売られているもののほとんどはヒガシヘルマンでしょう。 なお、ロバートメルテンシー(T.h.robertmertensi)という亜種名は今は 使いません。 結構ややこしい話ですが、経緯を説明します。 最初にヘルマンとされた個体(模式標本)は東の個体だとされました。その後、 西の個体と東の個体は別亜種だという事になったので基亜種でない西個体を ロバートメルテンシーという亜種にしました。 ところが、その後、実は最初にヘルマンとされた個体が東ではなく 南フランス産(模式産地)つまり西の亜種であり、ロバートメルテンシーと 同じものだと分かった(R. Bour 1986年)ので、より古い命名である 基亜種(T.h.hermanni)がニシヘルマンとなり、ロバートメルテンシーは 使われなくなりました。 一方、基亜種と思っていた今のヒガシヘルマンには急遽、今の亜種名 T.h.boettgeriが採用されました。 実は献名されたロバートメルテンさんは高名な爬虫類学者らしいのですが、 その名前が消えてしまったという皮肉な事になってしまったようです。
フチゾリリクガメ(マルギナータリクガメ)(Tsetudo marginata) 大きくなると甲羅の後ろがスカートのようになるリクガメです。 幼体ではこの特徴はありませんが、幼体でも腹甲の各甲板に逆三角形の黒い模様が 入るので同定できます。チチュウカイリクガメの中でも大きくなるカメです。 やはり、かわいいブリード物が出ています。 模様が甲板が白と黒の甲羅の個体が多く大変きれいです。 ただ、ヘルマン同様に凸凹になりやすいので注意が必要です。 最初に言ったように成体は甲羅の後ろがスカートのようになるので、 大きくなっても成長の楽しみがあるきれいなカメです。
ケヅメリクガメ(Geochelone sulcata) 良く食べ、成長も早く、丈夫で、かわいいブリード物もある。大きくなる事、 およびそれにも関わらず保温が必要な事を除けば、理想的なリクガメです。 もっともリクガメ派は飼えるものなら大きなカメがいいでしょうから、 まさに大きな個体を飼えるなら理想のリクガメです。 甲羅が凸凹になりやすいので、気をつけましょう。ただ個人的には ケヅメの場合はある程度許せる気もしますが。
アルダブラゾウガメ(Geochelone gigantea) ガラパゴスゾウガメを飼うのは一般的には絶望的なので、 アルダブラゾウガメを飼うのはリクガメ飼いの憧れです。良く似てます。 甲羅の形も亜成体では甲高で円く、理想的です。 この甲羅は凸凹にして欲しくないですね。 結構、棲息地はアフリカ大陸のの東、西インド洋のセイシェル諸島で、 灼熱で太陽サンサンの極端な環境であり、大きさを除いても 長期飼育は難しいようです。 長期飼育できたらできたで、何といっても大きくなります。大きくなれば、 移動一つ取ってもトラックもので、誠にスケールが大きな飼育環境が要求されます。 飼う人を選ぶカメの代表格ですね。
パンケーキガメ(Malacochersus tomieri) 踏み潰されたようなペッタリした甲羅。ユニークです。模様もエキゾチック。 岩場に棲むため、運動能力のために甲羅の硬さを犠牲にするという リクガメ界のスッポンとも言えるユニークなカメです。甲羅の柔軟性もあります。 「岩の隙間の入り、中で空気を吸い込み甲羅を膨らませて取り出されないように する」という話がありましたが、これは嘘のようです。 夢があるのですがね。でも、本当にやったらなら、息止めて置くのも大変だし、 内蔵も圧迫されて苦しいでしょうね。 ちなみに岩の間から取り出しにくいのは中で手足の爪を引っかけているようです。 爪も大きくて、丈夫そうですからね。 ユニークばかりでなく、絶滅の恐れのある貴重なカメでもあります。
エロンガータリクガメ(lndotestudo elongata) 縮めて、「エロン」とよく言ってますが、区切りきっとe-long-gataでしょう。 英語でもelonggateは「長くする」の意味です。 甲羅は長く、断面は丸い感じですが、でも上は平らといったところ。 タイのカメ輸出禁止でいなくなると言われましたが、お店見るのは 成体で大きいせいか、なかなか、売れないようです。 成体ペアで5万円台。この値段のリクガメはエロン以外にそうそういません。 ベビーはかわいいので、ブリードすれば売れそうです。温度には気を遣いそう ですが、高湿度でOK。果物なども好んで食べるので食事も楽しそうです。 30cm強で小さくはないですが、リクガメとしては大きな部類にはならないでしょう。 何よりも目と言うか顔がかわいいです。 でも、今、お店にいるのが売れたら、いなくなるのでしょうか? 誰かブリードしませんか?
トラバンコアリクガメ(セレベスリクガメ)(lndotestudo forsteni) エロンのついでと言っては何ですが、もう少し小型のトラバンコアリクガメ、 でも、お店ではセレベスリクガメというのしか見た事ないです。 以前はエロンの亜種でその頃は和名がセレベスリクガメでしたが、 独立種になり、その時トラバンコアリクガメになったようです。 セレベス島にいるのが良く知られていましたが、実はこれは人間が 持ち込んだいわゆる人為分布らしいので、種名は内陸のトラバンコアの方が 採用されたようです。でも今でも定着していないようですが...。 エロンと違いこちらは10cm前後の若個体を良く見ます。この位の時は ホルスのように円いのですよね。背甲の甲板はほとんど黒いものも多いです。 大きくならないエロンとも言えますが、売っている数は少ないですね。
アカアシガメ(Geochelone carbonaria) 低温に弱い以外は飼いやすく湿度も高めです。甲羅も黒地に黄色で奇麗です。 頭や手足も奇麗ですね。故郷の南米を思わせます。 特に頭部の赤みの強い個体は「チェリーヘッド」と呼ばれ奇麗です。 かわいいブリードベビーを良く見ますが、成体も迫力ありgoodです。 大きさは30cm程度です。 キアシガメ(Geochelone denticulata)と良く似ていますが、違いは 頭の鱗板である吻端板が前額板より広い事ですね。(下図参照) また裏返すと喉甲板が2枚(キアシは4枚に見える)で、鼠蹊甲板も広いです。 大きさはキアシガメの方が大きくなります。
ヒョウモンガメ(Geochelone pardalis) 豹紋柄の美しい模様、丸く甲高になる甲羅といい良い感じです。 大きくなり、ベビーなどは飼育が難しい事もあるようですが、 苦労の甲斐もあるというものでしょう。 ブリードベビー、ワイルドらしい亜成体といろいろ見ますね。 シャイでお店ではお尻を向けている事が多いですが、 目がかわいいらしいです。飼ってみるとわかるらしいです。
セオレガメ(Kinixys spp.) お腹ではなく、背中に蝶番(ヒンジ)がある珍しいセオレガメ。 飼育はシャイで難しいらしいです。ワイルドは寄生虫も多そうです。 たまにベビーもいますが、ベビーから飼育したの方が慣れるという 意味では良いようです。ベビーだとまだ背折れてませんが...。 15cm以下くらいの亜成体が多いですが、20cmクラスの大きなものは 迫力があり、独特の魅力があります。 やはり、お店で見るのはベルセオレ(Kinixys belliana)が多いですかね。 モリセオレ(Kinixys erosa)とか他も見たいですが。
半水棲ガメ編 日本におけるカメのイメージです。実際多くのカメがこの仲間ですし。 泳ぐためか背甲が低いものが多いですね。
ニホンイシガメ(Mauremys japonica) 日本固有種で外国にいないし、如何にも日本らしいわびさび系でgoodです。 長い尻尾もいいですが、特に目が良いですね。黒くて丸い目です。リクガメの ようです。クサガメやスライダーって、目の横に筋が入るので目を細めている ようでちょっとな感じですが。半水棲ガメでも陸棲が強いと黒くて丸い目で、 水棲が強いと目の横に筋が入るのかなぁと思っています。 それにしても、かわいいですよ。 飼育は皮膚がカビにやられやすく、いつも奇麗な水で飼うか、逆に、 藻が発生して緑になったグリーンウォーターが良いようです。
ほぼ完全水棲ガメ編 水中にいる時間の長いものを括りました。独特の生活をしているものが 多く、形が面白いものもいます。
マタマタ(Chelus fimbriatus) 意外に擬態、特に模様ではなく形体で擬態するカメは少なく、ワニガメと マタマタだけだと思います。どちらも待ち伏せ型の捕食目的ですね。 特にマタマタは川底の木の葉の擬態が見事です。 魚吸い込みという捕食もユニーク。不思議なカメですね。 大きくなり、迫力あります。アマゾンであってみたいですね。
ウミガメ編 世界の海を股に掛けるウミガメたち。サイズもビッグです。 海岸から這い出したたくさんのベビーが、あんな大きくなるとは。 地球の神秘ですね。
オサガメ(Dermochelys coriacea) 現存最大のカメです。甲長2mはいくと言われてます。 甲板はなく、黒い皮のような甲羅です。ウミガメ界のスッポンといった趣です。 背甲には前から後ろまで5本の大きなキールが走ります。 結構、不明点が多く謎に満ちたカメですが、その巨体をクラゲなどを食べて維持 しているようです。 南の海にいますが、時には氷山の下も泳ぐようで、「どうなってるの?」と 聞きたいです。 ちなみに和名は亀の長(おさ)の意味で、オサガメらしいです。

前へ 次へ 戻る