メキシコの遺跡(2)


テンプロ・マヨール
テオティワカン
トゥーラ
エル・タヒン
ミトラ
モンテアルバン
ビジャエルモサ
パレンケ
トニナ
ボナンパク
ヤシュチラン
チチェンイツァ
ウシュマル
ズィビルチャルトゥン
エズナ
トゥルム
コバー
シュプヒル
ベカン
チカンナ
バラムクー
カラクムル

メキシコには、とにかくあちこちに遺跡があります。バスの路線網は発達しているので、時間さえあれば自由に安く遺跡巡りが楽しめるでしょう。失われた文明を求めてメキシコへ行きましょう。

チチェンイツァ

カスティーリョ

チチェンイツァはマヤ文明の遺跡の中でも特に有名な遺跡のひとつです。大リゾート地カンクンから日帰りで行ってこれるということもあって遺跡は毎日たくさんの人が訪れ、テーマパークのように賑わっています。実際ここにはその期待に応えてくれるかっこいい遺跡がたくさんあります。
建物全体で暦を現しているカスティーリョは古い神殿の上に新しい神殿を建てているために内部にも祭壇があり、北側の階段の横から遺跡内部に入ることができます。湿気で蒸し蒸しする狭い階段を登って行くと祭壇のある部屋が現れます。手前には生け贄の心臓をのせた台座に使われたと思われるチャクモルの像、その奥には全身が血のように赤いジャガーの像があります。
古代の天文台カラコル

もうひとつマヤの精密な暦を象徴している建物がカラコルと呼ばれる古代の天文台です。外見も現代の天文台とよく似た円形の美しい形をしています。ここでは小さな窓を利用して星の観測を行っていたと言われます。
球技場はきれいに整備されてい今でも競技が出来るようになってます。両側の壁は音を反響しやすい構造になっていて、手をたたいてみるとこだまするのがよくわかります。壁のレリーフには首を切りとられた人物が描かれていて、競技の勝者とも敗者ともいわれています。
球技場のとなりには生け贄の首を串刺しにして並べていたというドクロが一面に掘られた台座もあります。
こうした好戦的なトルテカの影響を強く受けているといわれるのが戦士の神殿です。神殿の前に林立する石柱には戦士のレリーフが描かれ、神殿上部には生け贄の台座のチャクモルの像がおかれています。
チチェン・イツァへはメリダやカンクンの街からバスがたくさん出ています。遺跡の入口では大きな荷物も無料で預かってもらえるのでメリダからカンクン、あるいはその逆の移動もかねて立ち寄ることが出来ます。
(02年7月)

ウシュマル

魔法使いのピラミッド

ウシュマルの遺跡はチチェンイツァと比べるとかなり落ち着いていて、静かな遺跡です。
遺跡を訪れると最初に現れるのが魔法使いのピラミッドです。かなり急な階段のピラミッドですが、上まで登って反対側に回り込むと眼下には尼僧院と呼ばれる四角い中庭の建物が見えます。左手には球技場、カメの館、提督の館、大ピラミッドが、右手には北のグループが見渡せます。(遺跡全体を見渡すには最適の場所だったのですが、02年6月現在、魔法使いのピラミッドは登頂禁止になっていました。)
半分瓦礫の山になったままの大ピラミッドからも遺跡のパノラマが楽しめるので、こちらに登ってみるのもお薦めです。
また、遺跡の内部にはツバメやコウモリが棲んでいるので、中をのぞくと大騒ぎしてあちこちを飛び交います。外では50センチもあるイグアナが、のそのそと歩いていたりもします。
チャック神で埋め尽くされた壁

ウシュマル近郊にはラブナ、シュラパック、サイル、カバーといった遺跡もありますが、メリダのバスターミナルからはこれらの遺跡をまわる周遊バスが出ています。
小さな遺跡は見学時間が30分ほどで、のんびりしていられませんが規模もそれなりなのでなんとか一通り見ることが出来ます。特にサイルの巨大な神殿とカバーの一面に雨の神チャックの顔で埋め尽くされた壁は見ものです。
周遊バスでのウシュマルの見学時間は2時間ほどですが、見所が多いので、じっくり見学したい人には2時間では、あわただしい感じです。出来れば半日かけてゆっくり見学してほしいところです。
(02年6月)

ズィビルチャルトゥン

7つの人形の神殿

ズィビルチャルトゥンはメリダの街の郊外、15Kmほどのところにある遺跡です。
チチェンイツァやウシュマルのような、かっこいいピラミッドはありませんが、サクベと呼ばれる古代マヤ人の造った道がしっかりと残っていて、その延びて行く先には7つの人形の神殿と言う印象的な建物があります。この神殿は、マヤ文明の天文学の知識を活かして造られたもののひとつで、毎年、春分の日と秋分の日に東西の窓を朝日が突き抜けていくようになっています。
また、この遺跡には水の澄んだきれいな泉があるのも特徴です。チチェンイツァの生け贄を投げ込んだと言われる緑色をした無気味なセノーテとは違って水中の水草も見える透明な泉です。訪れる人が少ないためか、泳ぐ事も出来るようになっていました。
遺跡へ行くには、メリダの街中のサン・ファン公園にある教会のとなりの小さな遺跡の絵の看板前から、1時間おき(毎時5分前)にコレクティーボと言われる乗り合いのミニバンが出ています。市街地を抜けて行くので多少時間がかかりますが、遺跡までは40分位で到着します。
簡単に行ける所なので、周辺の主要な遺跡を見てしまって、メリダでちょっと休んでいる人にはお薦めの遺跡です。遺跡の規模はあまり大きくはありませんが、隣接して博物館もあるので、隈なく見て歩こうと思うと1時間位かかります。
(02年7月)
フォトギャラリー

エズナ

5層のピラミッド

エズナ遺跡は5層の美しいピラミッドが有名な遺跡です。後ろの方は植物に覆われたままになっていますが、このピラミッドも、見る角度によって様々な表情を見せてくれる独特の形をしています。基壇部分の階段には神聖文字が刻まれているのも見逃せません。3層目の左後ろのところには彩色されたレリーフも残っています。
更にピラミッドの上まで登っていくと1Kmほど離れたところに遺跡らしきものが見えます。こちらのピラミッドは、ほとんどが植物に覆われたままの状態になっていて、見た目の美しさはありません。それでも、時間に余裕がある人にはここまで足を伸ばしてみるのもお薦めです。頂上まで登っていけば、エズナの5層のピラミッドが樹海の中に頭を出している姿を見ることが出来ます。
遺跡を訪れる人はそれほど多くありませんが、綺麗に整備されているので、公園をのんびりと散歩するような気分で見て廻れます。
エズナ遺跡へはカンペチェのアラメダ公園に隣接するRepublica通りから2等バスが出ています。バスの便はあまり多くないので、午前10時頃のバスに乗って午後の早い時間に帰ってくるのがお薦めです。遺跡の近くにはお店が無いので飲料水などは予め用意して行きましょう。
(02年7月)
フォトギャラリー

トゥルム

トゥルムとカリブ海

マヤの遺跡とカリブ海。このコンビネーションが見れるのがトゥルムの遺跡です。多くのマヤ遺跡が密林の中にあるのに対し、この遺跡は海岸に建ち、海水浴の楽しめるビーチまであります。遺跡の規模はそれほど大きくはないので1時間もあればゆっくり見てまわれます。
トゥルムの遺跡へはカンクンのバスターミナルと、その向い側のバス会社から多数の便があります。遺跡に行く場合はトゥルムルイナで降ろしてもらって遺跡へは1キロほど歩いて行くか、途中でタイヤの付いたミニ列車に乗って行くことになります。トゥルムルイナには数軒の宿がありますが、遺跡を見てしまった後は高めのみやげもの屋があるくらいで、売店で売っているジュースなども観光地料金ですごく高く、へたをするとカンクンより高かったりします。海辺にはコテージもありますが大きな荷物を持って歩いて行くには遠すぎます。プラヤデルカルメンあたりに宿をとって来た方が交通の便はよくなるし、町も退屈しないですむかも知れません。
(95年4月)

コバー

イグレシア

ユカタン半島のマヤ遺跡の中でもチチェンイツァやウシュマル、トゥルムといった遺跡と比べると知名度は低いのですが、湖とジャングルに囲まれた遺跡は公園のようにきれいに整備された遺跡とは違った風情があります。いびつな形をしたイグレシアと呼ばれるピラミッドの上に登ると遠くのノーチムルの大ピラミッドまで見渡すことができます。遺跡の分布範囲はかなり広くて大ピラミッドまでは1キロぐらい離れています。それぞれの遺跡の間をつなぐ道は整備されているので迷うことはありませんが、かなり歩くことになります。ジャングルの中には瓦礫の山となったピラミッドや石碑もころがっています。ピントゥーラと呼ばれるピラミッドの上部には今でも彩色された絵が残っています。
コバーの遺跡へ行くにはバスがあるのですが、あまり多くはなく、帰りのバスも満員状態になった2等バスに乗ることになります。カンクンあたりではツアーを扱っているところもありますが、それほど多くはありません。トゥルムでタクシーをチャーターするか、レンタカーで来るとお金はかかりますが時間のない人にはいいかも知れません。
(95年4月)

シュプヒル

シュプヒル遺跡は3つの塔が印象的な遺跡です。遺跡の塔は横一列に平面的に並んでいるので、離れた所から見るとなんだか迫力不足な感じなのですが、近くまで行って空にそびえる姿を見ると急角度の塔が、なかなかかっこよく見えてきます。
それぞれの塔をよく見ると、正面にかなり急な階段がついています。これらは装飾用として作られた階段なので、ここから上に登ることは出来ませんが、左側の塔の横に内部から上に登れる階段があるので、こちらを利用して塔の中腹まで登ることが出来ます。
また、塔の裏側にまわってちょっと離れたところから真中の塔の上部の方を見ると、保存状態のいい雨の神チャックのレリーフを見つける事が出来ます。高いところにあるので双眼鏡を持って行くとよく見えます。
シュプヒル遺跡はシュプヒルの町から徒歩で行けるところにあるので、シュプヒルの町を拠点に周辺の遺跡を見て廻るなら簡単に行く事が出来ます。だたし、シュプヒルの町までたどり着くのがなかなか大変なので、ツアーやタクシー等をチャーターしてカラクムル等、他の遺跡見学と合わせて効率よく廻る方が便利です。
(02年7月)

ベカン

ベカン遺跡は周囲を堀に囲まれているという、他の遺跡では見られない特徴のある遺跡です。規模の大きな神殿がまとまったエリアに建っているので比較的楽に歩いて見て廻れます。
それぞれの神殿の美しさと言う点では他の遺跡ほど際立ったものはないのですが、いくつかの神殿ピラミッドは登ることも出来るようになっていて、神殿の上からはシュヒル遺跡の3つの塔の姿を見る事が出来ます。西のアクロポリスの神殿には、巨大な顔のレリーフが残っていたりと見どころは多くあります。
訪れる時期にもよると思いますが、ベカン遺跡には蜂の巣が何ヶ所かあったので注意が必要です。ベカン遺跡はシュプヒルから車で数分の所にあります。
(02年7月)

チカンナ

チカンナ遺跡には樹海を見下ろすような大きなピラミッドはありませんが、門や神殿を飾るモザイクの装飾がとても綺麗な遺跡です。
マヤ文明の遺跡はそれぞれの地方によって建築様式に特徴があるので、注意して見ていくと、その時代の地方の文化と影響力を知る手掛かりにもなります。この遺跡も大きな建物がない分、 遺跡の各所に見られる装飾や建築様式など細かいところを見て歩くと楽しくなる遺跡です。
(02年7月)

バラムクー

バラムとはマヤの言葉でジャガーを意味しますが、この遺跡にはその名のとおり、美しいジャガーのレリーフが残っています。ジャガーのレリーフは古い神殿の外壁を飾っていたものでしたが、その後に建てられた新しい神殿によって内部に隠された状態になっていたため、保存状態もよく、美しい原形をとどめています。
遺跡の規模自体はそれほど大きなものではなく、外見もシンプルなものですが、このレリーフを見るためだけにここを訪れても損はありません。
現在は外側の神殿の外観を損なうことなく内部のレリーフも見られるように改修されています。内部への扉が施錠されている時でも、係の人が鍵を持っているので、頼んで見せてもらいましょう。
バラムクー遺跡はカラクムル遺跡へ向かう自然保護区への道路の分岐点の近くにあるので、カラクムルへ行く前に見学して行くと効率よく見て廻れます。カラクムルの後では時間的に遅くなるので見学出来なくなってしまう事もあるので注意が必要です。
(02年7月)

カラクムル

カラクムルはティカル、パレンケと並ぶ先古典期マヤの三大勢力のひとつでしたが、1995年までは一般の人は近づく事が出来なかったということもあり、その規模の割にはあまり知られていない遺跡です。
メキシコの自然保護区の最深部に位置するこの遺跡は、交通の便がよくないため、訪れる人も少なく、とても静かなところです。遺跡は綺麗に整備されていますが、発掘や修復作業は現在も続けられていて、立ち入り禁止になっているところもあります。密林の広範囲に点在する遺跡なので主な見どころを見て歩くだけでも2時間以上かかります。
遺跡の中でも建造物2と言われる神殿は階段の途中に居住区のようなものまである巨大なものです。遺跡の頂上はジャングルの所々に頭を出した神殿が見渡せる眺めのいいところで、双眼鏡があれば、一面の樹海の向こうに隣のグアテマラにあるミラドール遺跡まで確認できます。
ここを訪れた時は2号神殿内部も発掘作業中でしたが、マヤの神殿の多くは古い神殿の上に新しい神殿を建てる事が多いので、とんでもなく巨大なピラミッドだけに、内部にどんなものが見つかるのかとても気になるところです。
カラクムルへ行くにはバスなどの公共の交通機関は無いので、タクシーをチャーターするか、ツアー会社のツアーに参加するなどしなければなりません。観光の拠点となる町はシュプヒルですが、カンペチェなどの大きな街から、この町へ行くバスは昼に1本のみで6時間以上かかります。この場合、現地でタクシーをチャーターしての遺跡めぐりということになるので、他の遺跡と合わせて効率よく廻るのであればカンペチェからツアー会社のツアーに参加するのもお薦めです。ただし、行く人はあまりいないのでツアー会社で車とドライバー、ガイドを手配するといった感じになります。遺跡までの道は舗装されていますが、アドベンチャー要素の残る場所なので訪れる際は水や食料なども忘れずに用意して行きましょう。
(02年7月)


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