岩野裕一氏の言葉によると、全演奏の1/3が何かしらの形で残されている8番です。
ブルックナーの交響曲では5番に並び最も朝比奈が得意とした曲で、彼の全CD中でも記念碑的な演奏が並ぶ曲となっています。
シカゴ響との共演が決まった際、真っ先にこの8番を挙げたそうですが、音監のバレンボイムがこの曲をヨーロッパツアーに合わせて取り上げることになっていて、結局5・9番となった経緯がありました。(しかし落ち着いて考えてみれば、ゲルマンものを大きな柱にしているバレンボイムがブルックナー没後100年の年にブル8を取り上げないはずがないですよね)
1976.1.20 L | 名古屋大学交響楽団 | 名古屋市民会館大ホール | − |
LP | レーベルなし | 番号なし | 自主制作 |
演奏について
名古屋大学の学生オーケストラがぜひに朝比奈の棒でブル8を、と氏を熱望し、招聘した演奏会。 このとき学生に乞われて初めてハース版を使用したのだが、これ以降使用楽譜はすべてハース版となった。 未聴のため批評できず。 |
1976.4.15&16 | 大阪フィル | 神戸文化ホール | ★★ |
CD | グリーンドア | JJGD-2001/17 | 全集・限定盤 |
演奏について
ジャンジャン全集に入れられるものとして収録されたが、後述の演奏に差し替えられたため、長らく未発表の演奏だった。それがグリーンドアによってCD化される際、初めて世に出された。 基本的なアプローチは本採用盤とまったく同じように聞こえるが、受ける印象は若干変わってくる。まずグイグイと進んでいく感じが薄いことで、音符冒頭における音のキレがないため、リズムに推進力が乏しく、サラッとした歌い口になっている。 低音からしっかりと鳴った立派な響きをしていて、フィナーレのコーダではキッチリと盛り上がっているが、いまひとつ朝比奈らしさが弱い演奏だ。 |
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録音について
本採用された方にあった極端なオンマイクは影を潜めて、オケとマイクの間に距離感がある。その分ホールトーンが上手くブレンドされ、音がタップリと鳴っている印象がある。また楽器の響きが繊細に録れており、自然な広がりがある。ただ音像が中央に集まり気味の傾向がある。 ちなみに7〜9番についてはマスターテープが2種類(2チャンネル1発録り・マルチトラック録音)ある。8番はこの演奏がそれに相当し、そのうちマルチ録音の方を使用している。 |
1976.8.23 L | 大阪フィル | 神戸文化ホール | ★★★ |
LP | ジャン・ジャン | JJ-101/2 | 8番のみ・限定盤 |
LP | ジャン・ジャン | JJ-1611/6 | 後期交響曲集・限定盤 |
LP | ジャン・ジャン | JJ-1600/16 | 全集・限定盤 |
CD | ジャン・ジャン | JJ-008/019 | 全集・限定盤 |
CD | グリーンドア | JJGD-2001/17 | 全集・限定盤 |
演奏について
LP時代では幻と言われたジャンジャン全集だが、CDの時代になってジャンジャンからとグリーンドアからと1回ずつ限定発売がなされた。 8番は先に録音されていたが、ジャンジャンの社長の英断により録り直しが行われた。これがその時の演奏で、レコーディング用ライブ録音となっている。 腰が据わって堂々としたたたずまいは抜群の安定感を持ち、速くもない、遅くもない、中庸的なテンポを採りながら、音楽はじっくりと進んでいく感じがある。 基本的なスタイルはこの頃から既に確立されていて後年に通じるものがあるが、所々もっさりとした部分があり、テンポ変化の振幅がかなり大きい。そのため、雄大な印象を受けるものキレがやや鈍く、荒さを残すものと言える。 しかし暴れ馬のようなフィナーレのコーダは畳み掛けるような迫力に富み、魅力あるものとなっている。 ちなみにライナーにも述べられているが、この演奏はパート譜の都合で、ハース版とノヴァーク版の折衷となっており、時折珍しい響きを耳にすることが出来る。 |
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録音について
オケが眼前に広がるようなオンマイクで、金管がやや目立って聞こえるが、音には新鮮さがあり、低音から高音までしっかりと記録されている。 |
1980.10.24 L | 大阪フィル | 東京カテドラル教会・聖マリア大聖堂 | ★★★ |
LP | Victor | SJX1151-9 | 選集・限定盤 |
演奏について
残響の長い教会での演奏のためか、驚くほどのスローテンポで、ゆったりと流れるように音楽が進んでいく。またジャンジャン盤にあったテンポの大きな落差は今回非常に厳しく抑えられており、極めてストイックな造形をしている。しかしこれだけのスローテンポながら、全体の構成がしっかりと捉えられているため、冗長さを感じさせないのはさすがだ。 オーケストラの技術的問題か、多少荒くてごちゃつく箇所はあるもの、朝比奈特有の重いリズムが曲をじっくりと進めていき、このテンポがかえって心地よく感じるほどだ。ただ終楽章のコーダでは小節数を間違えてしまったパートがあるが、その点はご愛敬。 70年代の力強さと80年代以降のインテンポによる堂々としたスケール感が希有のバランスを取っている演奏となっている。 |
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録音について
残響のせいか、管楽器がややぼやけ気味ではあるが奥行き感があり、弦楽器が左右に良く広がって録れている。 |
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同時収録
・第4番/日本フィル ・第5番/東京都交響楽団 ・第7番/東京交響楽団 ・第9番/新日本フィル ・序曲ト短調/新日本フィル このLPセットはシリアル番号が付いた予約限定盤で、5番と9番のみがビクターの全集に再録されCD化されている。 |
1983.9.14 L | 大阪フィル | 東京カテドラル教会・聖マリア大聖堂 | ★★★★ |
CD | Victor | VCD-5013/4 | 単売 |
CD | Victor | VICC-40128/38 | 全集 |
CD | Victor | VICC-60281/91 | 全集 |
演奏について
悠然としたテンポで進められるが、旋律に力がこもっており、じっくりとこの曲を味わわせてくれる。第1楽章のコーダなど数ヶ所でテンポを揺らしてくるが、その他はガンとしたインテンポを守っていて、抜群の安定感がある。 曲が始まってすぐは乗り切れない音楽が聞こえてしまうが、第1楽章の真ん中ぐらいから興が乗り始め、尻上がりに集中力が増していく。特に第3楽章以降は響きがタップリと鳴り、音楽に深く浸り込めるものとなっている。 |
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録音について
まず、単売の方は明晰さには乏しいが、力強さがある。木管がやや弱いもの、全体的なバランスは良い。 一方、全集の方は明晰さにやや甘さを残すもの、背景の静けさはこちらの方が良く、楽器の分離もはっきりとしている。しかしその分、音の力強さはやや後退しているように思う。 |
1993.2.16 L | 新日本フィル | サントリーホール | ★★★★ |
CD | fontec | FOCD9050/5 | 選集 |
CD | fontec | FOCD9064/5 | 単売 |
演奏について
これまでの悠然とした感じが後退して、強固な意志の力で前へ前へと進んでいく勢いがある。加えて旋律の奏で方には高い凝縮力があり、無駄に思わせる響きがほとんどなくなっている。 またそれまでの朝比奈と比較して速めのテンポを採り、それを果敢に揺らしてくるが、その部分が浮き上がってしまうことはなく、全体の中でも調和が取れ見事な説得力を持っている。 オケの方も高い安定力を持っており、危なげに感じるところはほとんどなく、伸びやかに演奏している。 曲の冒頭から漲る充実感が楽章を追うに従って更に高まっていく、徹頭徹尾充実した音楽が聴ける動的な演奏だ。 |
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録音について
音の粒にキレがなく、金管がやや奥まって聞こえるもの全体的に平坦な音場をしている。ただ自然な感じで左右に広がっているため、奥行きの平坦さに違和感は少ない。 |
1993.11.13 L | 東京交響楽団 | サントリーホール | ★★★ |
CD | Pony Canyon | PCCL-00362 | 選集 |
CD | Pony Canyon | PCCL-00518 | 単売・HDCD |
演奏について
じっくりと進むテンポを採っていて、その歩みの確かさは安定しきったものがあり、緩みを感じさせる所はまったくない。 東京響の音色はブルックナーをするには繊細な感じを受け、弦と管が分離して聞こえるアンサンブルとなっているもの、楽章が進むにつれ尻上がりに集中力が高まっていく様子が手に取るように判る演奏となっている。 特に終楽章は無駄の一切ない厳しい造形に併せ、最高度の集中力とクライマックスに向かって登りつめていく興奮があり、この演奏最大の聴き所となっている。 |
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録音について
細かい音まで実に良く拾っており、楽器同士の分離も良く、音場が良く広がっている。一般的にはかなり良好な録音だが、音自体にフレッシュさが不足しているのが残念に思う。 |
1994.7.24 L | 大阪フィル | サントリーホール | ★★★★★ |
CD | Pony Canyon | PCCL-00253 | |
CD | Pony Canyon | PCCL-00400 | 全集 |
CD | Pony Canyon | PCCL-00476 | HDCD |
演奏について
この演奏も東京響とほぼ同じのやや遅めのテンポでじっくりと進んで行くが、第1楽章冒頭のひと鳴りからその集中力の高まりがこれまでの演奏からは決して聴けなかった域に達していることを感じることが出来る。また頑なに守るインテンポが強固な意志を感じさせ、音符のひとつひとつを刻み込むように丁寧に丁寧に描いていく。そのため音楽にはやや素っ気なさと生真面目な堅さが見られるが、音色は尋常ではないほど厳しく、旋律の描き込みには一分のスキもなく、曲全体を把握する構成は一切の無駄を省いたものとなっている。 この冒頭からの高いテンションのまま、曲が進むにつれて更に盛り上がっていくので、この演奏はいったいどこまで登り詰めていくのだろうと心配になってしまうほどだ。実際、目一杯にタップリと鳴り響くアダージョの至福感を経て、一歩一歩至高の境地を目指してついに頂上に立つフィナーレの神々しさを持ったカタルシスは数多ある8番のディスクの中でも最高のもののひとつに挙げられるだろう。 この至高の演奏に唯一難癖を付けるのなら、音色の堅さと中音域の充実度が少し不足していることだろう。しかしそれもこの演奏の前にはどうでもいいことのように思える。 ちなみに朝比奈はコーダの時にはトロンボーンを強奏させるので、トランペットが落ちていると勘違いする人がいるが、普通に聴くとちゃんと鳴っているが判るので心配は無用だ。 |
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録音について
ノーマルとHDCDの両方とも自然な音場の広がりと奥行きを持ち、楽器の存在感がその音場の中にナチュラルにとけ込んでいて無理がない。また非常に繊細なニュアンスを良く拾い上げている。 HDCDの方は、音の背景が非常に静かで、音色に輝きがある。その一方、ノーマルの方は、音色に艶と力強さがあり、両者とも高いレベルでの一長一短の魅力を持っている。 また終演後の拍手が全て収められているのは賛否両論あるが、最後の音が消えた際の沈黙がよく判るので、その点では非常に価値がある。 しかし拍手の中には感極まって何やら叫び出す人がいるなど、ひとによっては聴くに耐えない部分があるため、プログラム機能を使うなりして自由に扱って良いと思う。 |
1997.3.6 L | NHK交響楽団 | NHKホール | ★★★★★ |
CD | fontec | FOCD9184/5 | |
演奏について
朝比奈&N響コンビにおいて伝説の演奏と呼ばれていたもので、多くの人々がCD化を待望していたが、朝比奈の2周忌の年にその念願が叶って初めて世に出された演奏だ。それまで発売されなかったのはN響のメンバーが反対していたと言う風説が流されたが、実の所はこの録音テープが“放送用”として残されていたため“CD発売用”には使えなかったと言った契約上の問題が主であったと思われる。 まず最初に気が付くことはN響が冒頭から楽しんで演奏していることで、朝比奈の創り出す音楽にのめり込んでいる様子がパッセージの端々から滲み出している。そうなるとこのオケが持つ高い技術力がものを言い、些細なミスで耳を囚われることがなくなっている。 演奏の方はここ数年のテンポより少し速めのものに設定し、濃縮されて締まったフォルムをしている。しかし音楽の流れは自然で、どんなフォルテでも力みを感じさせることはない。また音符のひとつひとつに込めたニュアンスが非常に重く、そのコクは非常に濃い。 対位法を構成する各旋律線のどれもが充分に響ききっており、全パートが存分に鳴り渡って抜群の安定感がある。 第3楽章以降は更に拍車が掛かり、アダージョでは音楽のスケールがグンと大きくなって広がりを持ち、微細な表情付けが素朴さの中にうねるような起伏を生み、音楽が生き生きと展開する。そして終楽章ではコーダに向かってひたひたと盛り上がり、クライマックスでの追い込みと爆発力に強烈なカタルシスを得られるものとなっている。 |
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録音について
フォンテックから出た割りには音に作為性が少なく、音場における楽器の配置に不自然さはない。低音がブーミーであるが、この点はこのホールの特性を捉えたものと言えるだろう。 |
1998.9.28&10.1 L | 東京都交響楽団 | 東京芸術劇場 | ★★★★★ |
CD | fontec | FOCD9124/5 | |
演奏について
9月28日のゲネプロの際、「この日に本番はない」と勘違いした朝比奈がオケをしごきすぎたために、28日の演奏はヘロヘロだった、と言うエピソードがあった。このCDは10月1日のテイクを中心に編集されていると思われる。 4年前の大フィル盤と比べて、音符の一音一音を刻み込むような切れ味の鋭さや厳格なまでの厳しさを感じさせる音色がこの演奏では大きく影をひそめる。その代わりに各音符のつながりが非常に滑らかで、対位法を構成する各旋律が一体となって大きな流れを創り出している。また音色には透明感があり、低音から高音までが充分に鳴っているのに重苦しさや騒々しさはなく、非常にバランスが良い鳴りっぷりをしていて、先に挙げた透明感と併せて大変心地よい。 完成され切ったかのようなその演奏スタイルはもはや不動の安定感があり、大きく包み込むように流れていく。 曲の冒頭から気の満ちた演奏となっており、そのテンションは曲の最後までみごと持続する。コーダでの晴々とした終結は聴いた後にスカッとした心地よさを残すものとなっている。 |
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録音について
一枚ベールを被せたような感じがあるもの、ノイズが極めて少なく、音の背景が澄み切っている。また各楽器の音色と存在感が自然で、音場も充分に広がっている。 |
2001.7.23&25 L | 大阪フィル | サントリーホール | ★★★★★ |
DVD | EXTON | OVBC-00005 | 25日のみ |
CD | EXTON | OVCL-00061 | HDCD |
演奏について
朝比奈最後の8番であり、東京の聴衆に見せた最後のステージだった。 一切の力みがない演奏なのにすべての対位法が自然に鳴り響いて聴こえる。それぞれの旋律がお互いの音を聴き合って絡み合うような息吹があり、音楽が自発的に展開していくような気にさせる。 朝比奈の統率力が甘くなっているためか、アンサンブルや細かいニュアンスにずいぶん雑なところがあるが、いかなる姿を取ろうと滞ることのない流れの自然さ、そして歌わせ方の懐の大きさ、何より響きの透明さがブルックナーの音楽を聴く歓びを実感させてくれる。 テンポは全体的に速めで、それが積極的に動いて行くが、どこにも引っかかる所がなくその変化は自然である。またすべての楽器が良く鳴ってバランスが取れ、大フィルらしい潤いのある音色が充実した響きをしているのにむしろ軽く聴こえるのが不思議に感じる。また意外にもピアニッシモでは大きく音量を落としている点も従来の朝比奈とは違う。 アダージョの何とも言えない静けさが印象的で、フィナーレの前半だけが全曲中でやや生気に欠けるもの、再現部以降はどこまでも広がっていくような懐深い響きに心奪われるものとなっている。 |
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録音について
CDの方は2日間のテイクを編集したものだが、ベールを被せたようなくすんだ音色をしていて、会場がサントリーホールだと言うことをあまり感じさせない。ただ楽器の位置や音の広がりはしっかりとしていて不自然さはない。 DVDの方は25日のみのテイクを使用し、音楽はまったくの無編集となっている。CDの様に太く存在感のある音とはなっていないが、高音の伸びや音の粒立ちはDVDの方が良好となっている。 死の5ヶ月前となる映像で、往年の姿と比較するとかなり痩せてしまっているが、ブル9の様な危うさは少なく、まだ元気な棒捌きを見ることが出来る。 カメラアングルは多彩な方向からショットを抜いているが、音楽の進行に合わせた落ち着いたもので、ズームインの手腕に甘さがあるもの、目障りになることはない。 あとこのCDには編集ミスの盤がある。その盤ではスケルツォのトリオの最後でフルートが同じフレーズを4回繰り返す所(91小節目)が見事に欠落している。 発売当初、大変話題になったためEXTONは社長である江崎氏のサイトのBBSでのみミスを認め、良盤に交換する旨を告知した。(現在、受付は締め切り済み) ちなみに今現在流通しているものは訂正が施されている。 |
1976.8.23 | 大阪フィル | 神戸文化ホール | − |
CD | グリーンドア | JJGD-2001/17 | 全集・限定盤 |
演奏について
このリハーサルは録り直しを行った8月23日の演奏会直前のもの。 ブルックナー特有の対位法による半音のぶつかり合いを解決する方法を、テンポを落とし、該当パートだけで演奏させて、ひとつずつつぶさに取り上げていく。また8分音符と16分音符の違いを明確にすることやffの前でクレッシェンドしないよう注意することなど、実に細かいことを丹念に磨いていく。 ライナーで吉野金次氏が書いているが、第3楽章での「いつまでもトレモロ弾いてないで!」とカツを入れた後の演奏の熱さは思わず目を見張ってしまう。 第3楽章の頂点でのハープで、朝比奈がセクハラっぽい冗談を言ってみんなを笑わせる。この冗談以降、オケから堅さが取れ、リラックスした雰囲気になる。 また第4楽章では、朝比奈「批評家の宇野さんが来ています。宇野さんには多年にわたって我々のブルックナーを誉めていただいています。ありがとうございます」 (オケが床を鳴らす) 宇野「楽しみにしています」 と、宇野氏をオケに紹介するシーンがある。 |
1994.7.24 | 大阪フィル | サントリーホール | − |
CD | Pony Canyon | PCCL-00400 | 全集 |
演奏について
3回目の全集録音のセットを購入した際についてくる特典盤。 8番のリハーサル風景(ゲネプロ)については第1,3楽章の一部が収録。 未聴のため批評できず。 |
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同時収録
・4番の第3楽章 ・5番の第1,2楽章 ・9番の第1楽章 |
《 総 評 》
どの演奏も素晴らしいため、★印を厳しく付けてしまいました。みんな+1個ぐらいで考えて下さい。
一通り聴いてみると、ジャンジャン盤からすでにスタイルが完成していたように思います。それを25年かけて少しずつ洗練させて行った印象を受けました。
ですからどの演奏も(ジャンジャン未発表バージョンを除く)かなりの水準で、何を聴いても満足できるのではないかと思います。それでも最後の4盤はやはり頭ひとつ抜けていて、特別な演奏だと感じました。
また★の数は振るってませんが、カテドラル教会80年盤は独特の味を持つ演奏で、この演奏をナンバーワンに挙げる人がいても不思議ではないと思いました。私はこの演奏を聴いて、チェリビダッケに通じる何かを感じました。
ただこの演奏、限定販売されたLPにしか収録されていないため、入手は非常に困難です。
あと未確認情報ですが、宇野功芳氏がよく引き合いに出す74年の東京公演が残っているとかいないとか……。
当ページで使用した略称
・大阪フィル=大阪フィルハーモニー交響楽団
・日本フィル=日本フィルハーモニー交響楽団
・新日本フィル=新日本フィルハーモニー交響楽団
以下のリンクは、CDとは別に聞きくことのできた演奏について書いたものです。
・ 2001. 2. 9 大阪フィル at フェスティバルホール
・ 2001. 7. 7 大阪フィル at ザ・シンフォニーホール